23 ミカ
理事長室を出たコユキは、校舎のどこかにあると言われる閉ざされた教室へとやって来た。
「遅くなったわね。」
教室にいたのはミカ。事前にここで密会することを決めていたみたいだ。
「エリカはなんて言ったの?」
「彼女自身が全てを理解したわ。正直そこからどれほど強くなるかはわたしのIQをもってしても分析は困難を極めるわね。更に相当な大物へと成長するはずよ。」
「ふふ。よかったね。わたしもマジメにレベルアップしないと、学園祭でみんなに勝つのは無理かもね。」
いつものように笑っているミカ。
「アナタは頭がキレるわ。わたしから何も言わなくてもすべき事は分かっているでしょう。」
「そのつもりだよ。強くなることが全て。小さい頃海に出て、世界の海を渡ってきて、わたしは世界で一番強くなったと思ってた。この学園の、コユキやエリカ、ゴウキに会うまではね。過去のことを深く語るつもりはないけど、わたしが強ければ、一緒に航海してきた仲間や家族が死ぬことはなかったし。争いを止めるのは、悲しいけどやっぱり争いなんだよね。でもわたしが世界最強になれば、きっと争いのない世界になると思うんだ。ふふ。わたしの性格的に。平和になるよ。」
「そうね。、、、忘れないで。ミカの言ったとおり、争いは争いで止めるしかないのよ。」
「うん。コユキは?誰と戦うの?自分の地位を脅かす強者を育ててどうするつもり?」
「そのうち話すわ。アナタの資質はわたしの想像を越えるものがあると信じてる。それでは、ごきげんよう。」
太陽の光と共に居なくなってしまった。なんなんだこのハゲは。
「最強になることが全て。わたしの価値が、真価がそこにある。かつてない闘いにするよ、学園祭は。」
何か目標を一点に定めたミカは、いままで見たことのない真っ直ぐな表情で、津波と共に海に消えてしまった。




