1 いい日旅立ち
火を吹き、素手で岩を砕き、雷を自在に操ったとされる、はるか昔に存在した大魔王。
大魔王は、世界を力で支配することのみを生きる糧にしていた。おそらく、コーコと同じように、何らかのキッカケでインからやってきた魔人だと思われる。
そもそもヨウの人間とインの魔人間、通称魔人の違いは大きく分けて2つ。
生まれたときから、人間の3倍の力を持ち、耳が尖っているとか、キバがあるとか、肌質が爬虫類甲殻類のようだったりだとか、固有の成り、形がない。先祖が大魔王であるその子孫ガクトも、尖った耳をしており、口から火を吹いたり魔人特有の性質を持っている。
ガクトは、大魔王と人間の間で反映していった、魔人の力を持つ他に類を見ない血筋の人間なのだ。その大魔王と人間の混血である子孫の中で、歴代ナンバーワンの実力を持つと言われている。
神の名を持つ勇者に倒され、どこにあるか分からないようなド田舎で細々と暮らしていた 大魔王の子孫たち。数えれる程度の家や田んぼのある中、そびえたつ魔王城。そんなド田舎で、自分こそが世界で最強だと絶対の自信を持っていたのが井の中の蛙、ガクトなのだ。現、大魔王であるガクトの父は、我が子の成長のため、以前にどこからともなく郵便ポストに入れられていた、とある学園の入学パンフレットを見せる。
パンフレットにはこう書かれていた。 「井の中の蛙たちに送る学園案内。 我、私こそが世界最強と思う者のみ入学を許可する 。入学の期日は指定しない。この学園のある場所を感じ、行き着くことができる実力を持つ者であれば。」 あとは制服の無料支給だの、部活動案内などが書かれていた。
「この大魔王Jr.ガクト様に対して送ってきたのか?こんなふざけたこと抜かすやつはどこのどいつだ?」
「興味ねぇぇぇかぁぁぁ」と、現大魔王であるガクトのパパ。
「ん?」
「俺はぁぁぁ、感じるぞぉ。凄まじい~ぃ、この大魔王の私より邪気、狂気、強気に満ちた生命体がどこか遠くにいることをぉぉぉ。その力を感じ取れないぃぃお前はまだ未熟半熟ぅ、文字通り井の中の蛙ー、ただのどっこい生きてるシャツの中ぁぁ」
「パパ。」
父からの言葉がよほどショックだったのか、この日からガクトは血の滲むような修行を続けた。
早3ヵ月。ガクトは修行の末、全てを捉え、感じることのできる、魔眼とゆう第三の眼を額に生み出し、 父である大魔王をも遥かに凌ぐ強さを持つ者がいることを感じることができるようになった。
「しゃ!行ってくるわ。その学園とやらによ!」
「いってらっしゃぁぁぁい」
パパはこの日をもって大魔王を引退。Jr.ガクトが29代目大魔王へと就任して、ド田舎を夕焼けの綺麗な中旅立った。