17 豚の角質と、コユキ、エリカの確執
各自解散した理事長室にミカ、エリカ、コユキの、学園三大女傑が残っていた。
「ねえコユキ。一等級繰り上げのときに問題が起きたって言ってたけどなんなの?」
「そういえばまだ聞いてねえな。なんだよ?」
コユキが席にすわり、しばらく沈黙を通した後、話を始めた。
「わたしはわたしの目的のため、学園の舵を取り強者を育てている。そして、わたしに敵対心を抱くゴウキでさえ、学園にいるうちはライバルとして、同じ学園の仲間として見ている。つまり学園から一歩外に出れば味方になることはない、ただの敵になるとゆうこと。」
「どうゆうことだ?」
「エリカに課した、仮生徒の繰り上げ等級試験追試の際、実力をあげたのはガクト、アポロだけではないわ。イナ吾に関しては、もう一度ゼロから自分を鍛え直すと、自ら二等級へと留年したけど、妖獣ミヤモンは体得した術により完全に覚醒し、自らを最強と確信し学園を出ていった。そのあと、自分の学園を設立したと聞いている。」
「なんだと?なめた豚だ。わたしが単身乗り込んで3秒で粉にしてきてやるよ。」
「いいえ。そう易々と事が進む次元の闘いなら、とうに手をうってるわ。相当な強さを身につけたと見える。甘くみてこちらに被害が出るような事態は絶対に避けなくてはならないわ。」
「、、、コユキがそこまで言うのならそうかもしれないね。」
ミカはそう言ったが、エリカはなにやら不満なご様子。
「たかだか最近まで二等級でくすぶってたような雑魚になにを危惧してやがる。コユキ、前々から聞きたかったが、お前の目的はなんなんだ?なんのために学園に強いやつを集めて育てようとする?」
コユキはその言葉に過敏な反応を示し、冷酷な表情を浮かべエリカをじっと見つめる。
「、、、」
黙ったままなにも言わないコユキ。
「感じる闘気でお前が相当強い、てのはなんとなくだが、分かる。でもコユキ、お前が戦う所はいまだ一度も見たことがないんだよな。わたしたちが最強を目指すのとは別に、お前には目的があるように思うんだよ。違うか?」
「わたしはわたしのため、明確な意志を持ち学園を造り、強者を育てている。最強とゆう称号にこだわりこそないけど、更なる高みを目指していることに変わりはないわ。」
コユキが本質を隠しているように感じたエリカは、それから喋らなくなった。
「でもコユキ。ミヤモンはここで力をつけて敵対するように学園を去った裏切り者でしょ?ケジメはつけないといけないんじゃない?
」
いつも陽気なミカが真剣な表情で問いかける。
「、、、。そうね。邪気のみで覚醒したミヤモンは、学園にとって敵でしかない。早めに対処しなければいけないわ。
エリカ、ミカ。ガクトとアポロを連れて四人で事を解決してくれるかしら。単独行動はわたしが許さないわ。」
「、、、、」
コユキに苛立ったままのエリカは首を縦にふらない。
「わかった。使命として受け取ったよ。いくよエリカ。」
「ああ。嵐とゴウキが命令されて動くような奴らじゃないのは分かるが、コユキ。お前のゆうことに従うのはこれが最後だ。実力のみが物を言うこの学園で、いつまでも頂上から見える景色を眺められると思うなよ。わたしは絶対に学園祭でお前たち二人をぶっ倒す。」
「………ええ。肝に命じておくわ。では、頼んだわよ。場所はここから遥か南西に位置する孤島にある、プリンセス女学院と銘打った新生ミヤモンの根城。気を付けなさい。」
学園の裏切り者を排除すべく、エリカたちが学園の外へと出動する。




