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序幕:それは突然嵐のように

「弟子にしてくださいッ!!」

「は?」


 翔太は目の前の爛々と輝く瞳を見て思いきり顔を歪めた。


「だから! 弟子にしてくださいッ!!」

「無理」

「え? あッ……ちょっと待ってくださいよ!!」


 人の制止も聞かずに翔太はスタスタと歩き出した。

 その背中には大きく『めんどくさい』と書いてあるのが見える。

 その様子を見ていた風磨は小さく笑って翔太の隣に並んだ。


「いいの?」

「何が?」

「別にいいんじゃない? 弟子の一人や二人……」

「普通に無理! 俺ガキ嫌いだもん」


 風磨がチラリと振り向くと、その小さな身体で必死に自分達についてくる、子供がいた。



 ***



――紫苑家


「つまり、前に翔太に助けられて憧れちゃった訳だ?」

「はい!」

「で、翔太の弟子になりたい、と」

「はい!」


 ハキハキと自分達の質問に答えていく。

 その少年がイイ子なのだという事は、すぐに理解出来た。


「だってさ? 翔太」

「つーかさ……なんでうちにコイツがいる訳?」


 部屋の真ん中に座る小さな背中を一瞥すると、翔太はあからさまに嫌そうな顔をした。

 そんな翔太の内心を知ってか知らずか少年は無邪気に微笑み、翔太は眉間のシワを一層濃くした。


「ついて来ちゃったんだもん。仕方ないじゃん」

「だからって、中に入れるなよ」

「話くらい聞いてあげれば?」

「そうだよ。せっかく訪ねて来たんだから、ねぇ?」


 渉の言葉に押し黙る。 何故か翔太は渉にだけは弱い。

 でも今回ばかりは自分の意見を曲げられないらしい。


「俺はまだまだ修行中なの。だから弟子を取る気もないの。分かったら帰れよ」

「弟子にしてもらえるまで帰りません!!」

「お前なぁ……」

「強くなりたいんです! 大切な人を守れるくらい……強く!!」


 その揺らぎのない目が決意を語る。

 この少年が簡単な気持ちだけで言い出した訳ではない事くらい翔太にも分かっていた。



「ガキ……名前は?」


「けんと! 松山健斗!」

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