第四話 小型地下都市
小型地下都市 [影潜魔法都市]・・・収容可能人数は5~6万人。
生活に必要な設備が整えられている地下都市である。
現在の人口は236人・・・名無しを含めると237人だそうだ。
[魔術結社]ギルドの合計人数は132人である、
内、付近の魔物を討伐したり、廃都市の調査をしている戦闘部隊が68人、
残りの64人は都市内部に存在する大型コンピューターから
まだ何とか生きている人工衛星を使って他の都市のギルドと連携をとる為に通信を担当したり、
ギルドの物資を振り分けたり等の雑用を引き受けている援護部隊である。
都市に居る人の内、36人が獣人である。
獣人の半数はギルドの戦闘部隊に所属している。
ギルドに属さないで街で暮している人々は市民と呼ばれている。
クルシスの説明を一つ一つまとめていく・・・
都市の内部――と言っても基本的な設備のみ――を回って、説明してくれていた。
そして、現在位置は都市内部のギルド本部にあるギルド員の憩いの場のカフェである。
そこで、クルシスは基本的な都市の状態の説明をしていた・・・
クルシス 「そういえば自己紹介してねぇな・・・」
俺はクルシスだ、見ての通り戦闘部隊所属の大剣使いだ」
右手を差し出されたのでとりあえずこちらの右手を差し出して、握手を交わす。
名無し 「俺は・・・」
自分も自己紹介をしようとして口を開くが・・・何も思い出せないのでどんな
自己紹介したら良いのかわからずに口を瞑ってしまう・・・スイレンも少し困っているようだ・・・
クルシス 「あぁ・・・すまん、記憶喪失なんだよな・・・わりぃ」
つい口が滑ってしまったらしい・・・
クルシス 「ところで、名無しはこれからどうするんだ?
今の雰囲気を変えようとクルシスが話題を変えてきたのでそれに乗ることにする。
名無し 「わからないです・・・」
新しい話題に食いついたのはいいが、なんて答えていいのかわからない。
クルシス 「ぁーまぁ、そうだよな、記憶喪失でこれからどうするかなんてさ
まぁ、スイレンみたいにギルドに入るのもいいと思いぞ?」
名無し 「ギルド・・・?」
ギルドに入る・・・確かにそれはいいかも知れない・・・
記憶喪失で・・・薄っすらと残る記憶にはスイレンと良く似た少女が居て・・・
スイレンも記憶喪失で・・・ギルドに入っているらしい・・・
だったら自分もギルドに入るのが良いのではないのだろうか?
クルシス 「無理にとは言わないな、ここの都市の内部は安全だからな
でもな、お前は武器を持っていただろう?旧式のリボルバー・・・
確か名称はFog-10だったか?」
クルシスの言う通りで、名無しはリボルバーを持っている。
正確には自分の物かわからないが、握ってみた感じは
まるで自分の腕の延長の様な感じで、しっかりと狙って撃てば百発百中するのでは?
と言うぐらいに自然な感じな握り具合であった。
そのリボルバーをバッグから取り出す。
名無しはクルシスに渡されたこの街での衣服に着替えていて、
その時に一緒になって渡されたバッグの中に自分の所持品・・・
持っていたのは旧式魔銃Fog-10だけであるが・・・
そのリボルバーを取り出す・・・
スイレン 「その銃・・・」
と、スイレンが横から銃を取って観察し始める・・・
名無し 「えっと・・・」
その様子を眺める・・・特に乱暴に扱ったりせずに、丁寧に扱っているので問題はないと思った。
クルシス 「ん~・・・とりあえず、射的場に行くか・・・」
椅子から立ち上がるとクルシスが建物の奥を指差して言った。
クルシス 「あっちに射的場があるからよ、そこで銃を使ってみろよ
使えばその・・・なんだ、記憶が戻るかもしれないからよ」
クルシスはクルシスなりに気を利かせてくれているようだ・・・
クルシスの気遣いを無駄にする訳にはいかないし、
この銃を一度使ってみたかったので射的場に行く事にした。
スイレン 「・・・・・・・・・」
スイレンは銃を返した後も無言であった。