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第四十四話 決断

白影のもたらした情報はメンバーを驚愕させるのには十分だった。

白影によれば、名無し達は引き続き都市調査をする為に、都市内部に侵入を試みているらしい。

しかし、現状を考える限り、この都市はもう…いや、生存者の救出か…


襲撃者達を無力化し、最後の一名を生きたまま捕縛して、詰問をしてみたが、

何も言わないどころか、歯に仕込んでいたらしい毒物で自害してしまったので、

襲撃者からは何の情報も得られなかった。

アリスが地下都市内部の様子を詳細調査(スキャン)し、様子を映像として出力している。


都市は壊滅していた…


都市中心部のギルド管理本部にて銃声や爆発音、魔法使用の音も聞こえるので生存者は居るらしい。

巨大な嵐の様な竜巻がギルド管理本部の建物に近付こうとする魔物を粉微塵に消し飛ばしている、

殲滅嵐ジェノサイドハリケーンのコールが居るのだろう…

だが、威力が自分の知っているものよりもはるかに落ちている。

このままでは魔物に押し切られる…


アリス  「現在状況が続いた場合、防衛中の建築物は1時間後に陥落します。」

秋春   「救助に向かうべきだ!」

白影   「………名無し達を呼び戻そう」

秋春   「何言ってんだてめぇっ!見捨てるってのかよ!」

ミラーズ 「クルシス、落ち着いて、アリス、私達が救助に向かったとして最大何人救助できる?」

アリス  「…救助成功率は非戦闘員の場合1人90%、2人60%、3人20%、4人5%、

      5人以上で1%未満です。現在状況で救助が成功したとしても、食料等の物資が

      ここから最短の都市に辿り着くまでに尽きる可能性が高いです。」

ミラーズ 「名無し達が戻り次第……最短の都市に向かいましょう」

秋春   「ミラーズ、てめぇっ!見捨てるのかっ!」

ミラーズ 「五月蝿いわねっ!私だって助けたいわよっ!でもっ……」

クルシス 「二人とも落ち着け、援軍を呼ぶ事は出来ないか?」

アリス  「通信設備の大半が意図的に破壊された痕跡があります。通信塔も破壊されているため

      現在、この都市から救難信号を出す事は出来ません。」

ミラーズ 「都市の通信設備、全部破壊されているなら他の都市から調査隊が来ると思うけど」

アリス  「都市内部の記録ではどうやら8時間前に都市が襲撃され、10時間前の時点で

      都市の通信設備に異常が発生していた模様です。」

ミラーズ 「…普通なら通信に異常が発生してから直に調査隊が派遣されるはずなんだけど…

      つまり、見捨てられたわけ?」

白影   「いや、擬態蛭(ミミクリィリッチ)が擬態していた人物達がこの都市以外の装備品を

      使っていた。あれが調査隊だったのではないか?」

ミラーズ 「調査隊が全滅、もしくは一部帰還している…その場合は、次の救援部隊の到着は…

      最短で2時間後かしら?」

アリス  「通信機にて通信を行っていたと仮定した場合で2時間です。」

ミラーズ 「…通信妨害されてるから、到着は8時間後?……」

アリス  「いえ、妨害範囲外へ出れば通信機器は回復しますので、予測では3時間程かと」

クルシス 「通信障害はさっきの襲撃者と無関係って訳じゃねーみたいだな、

      それに白影達が出会った擬態蛭(ミミクリィリッチ)についても気になるしな…」

アリス  「現在とれる行動の中で最も好ましい行動は、すぐさま最短距離にある都市に向かう事です」

ミラーズ 「………」

秋春   「チッ……」

クルシス 「名無し達は、どうする」

白影   「俺が名無し達を迎えに行く、お前達は先に別の都市に向かってくれ」

ミラーズ 「どうするつもり?」

白影   「緊急避難用の装甲車があるはずだ、それを使って名無し達と脱出する。

      可能な範囲で住民の救助を行う。」

ミラーズ 「そうね、今はそれしか無いわね、白影、頼んだわ」

白影   「承知した、では行ってくる」


白影が気配を消して車両を降りていった。


秋春   「最短距離の都市の名称と到着予想時間は」

アリス  「都市名称はDT-03、中規模地下都市で到着予想時間は6時間です。」

クルシス 「往復…12時間か…」

秋春   「俺はここに残る」

ミラーズ 「駄目よ」

秋春   「俺が援軍に向かって殲滅嵐ジェノサイドハリケーンと組めばっ」

ミラーズ 「都市内部が既に再生不可能な程破壊されてる」

秋春   「…それでも俺は残る」

ミラーズ 「………勝手にしなさい」


無言で秋春が車両を降りていく。


クルシス 「良いのか?」

ミラーズ 「良いのよ、アリス、直にDT-03に向かって」

アリス  「畏まりました」


ブォンッっと音がして、車両が動き出した。


クルシス 「……とりあえず、俺は運転に戻る、全部アリス任せはきついしな」

ミラーズ 「えぇ…」


麻酔によって寝ている風鈴と、眠りの霧(スリープクラウド)で眠らせたスミレの

頭を撫でながら、ミラーズは苦い表情を浮かべていた…

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