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第四十話 擬態蛭《ミミクリィリッチ》

足音が近づいて来る。


同じ階層に到着したようだ…だが、そこに来て異常な音を捉えた…


水音がする…ピチャリピチャリと…何だこの音は…水筒の水の音?


いや、唯の水にしては粘性が少し高い様な音だ…




そこに来てとある生物の情報が頭の中に浮かんだ…


名無し   「なっ!?燐!機関散弾銃を構えろ!!!」


咄嗟に凛の名を叫び、垂直二連散弾銃ではなく、機関散弾銃ダーリンを使うように指示する。


燐     「えっと…?何で?」


戸惑いを見せるのは当たり前だろう、だが戸惑っている暇は無い。


咄嗟に凛に近づいて、燐に銃を向ける。


白影   「おい!名無し!」


白影が驚いた表情をした。


燐は一瞬、戸惑った後、垂直二連散弾銃をしまって、機関散弾銃を一瞬で構えて


その銃口を入り口に向ける…その瞬間に扉の前に人影が現れた。


名無し   「撃てっ!」


ギュガッガッガッガッガッガッガッガッと言う音と共に凄い勢いで散弾がばら撒かれる。


スチール製の扉はまるで紙屑の様に千切れ飛び


その扉の向こう側に居た人物ごと、原型を留める事なくコンクリートの壁に叩きつけられた。


グシャリッ…そんな鈍い音が、機関散弾銃のたてる轟音の中に聞こえ、その瞬間に凛は射撃をやめた。


燐     「いきなり銃口を向けないでよ、寿命が縮むじゃない」


燐がこちらに文句を言ってくるが、その間にFaithfel-02の銃口を


“青黒い色”の血溜りに沈む紙屑の様にぐちゃぐちゃになった元人型の何かと扉に向ける。


名無し   「リッチだ…」


先ほど、頭に浮かんできた生物の名を言う。


名無し   「リッチだ!こんな乾燥地帯に居る訳ないのに!」


叫びながら、マガジンの中に装填されていた電撃弾スタンバレットLv3を遠慮なく発射する。


それは、紙屑の様になった扉に着弾した瞬間に激しい電撃をおこし、


そして肉が焦げた臭いが漂い始めた…


燐     「え?リッチ?もしかして擬態蛭ミミクリィリッチ?でもここに居る訳ないわよね?」


白影    「待て、まだ後3人居たはずだ」


凛が疑問を発するが、白影が燐に注意を促す。


スイレンは先程の光景がショックなのか、動揺して、手足が震えている。


名無し   「来るぞ!」


他の3人(匹?)の様子を音で伺っていると、一気に入り口から入って来ようとする音が聞こえたので、


咄嗟にほかの奴に注意を呼びかける。


スイレンの手を引いて入り口から距離をとった後に、スイレンを背に庇う様に立つ。


白影も燐も名無しの行動に習う様に入り口から距離をとり、入り口に銃口と矢先を向けた。


ズルリッっとゴム底を擦る様にしながら、真っ黒な人物(?)が入ってくる。


真っ黒の軍用ブーツに、漆黒のズボンにベスト、そして顔を完全に覆うようなヘルメット…


武装は、ベストに固定された手榴弾3個に片紐で吊るしているM4カスタム…


その人物(?)達はゆっくりとこちらに近づいて来る。


白影が矢を放つ…ブスリッっとその矢は最初に入ってきた人物(?)の左足の太腿に突き刺さる…


だが、その人物(?)は一瞬だけビクリッっと体全体を揺らした…一瞬だけ人型を保っていた


腹部の部分がダラリッっと形を崩すが、それも直に元に戻る。


白影   「確かに、擬態蛭ミミクリィリッチだ、炎か電気で焼くしか無いぞ、こいつらは凍らせても死なない」


その様子を見届けた白影は魔力を弓に流し込んで、放つ矢に電気を纏わせる。


燐    「ここで炎を使うのは得策じゃないわね」


燐の言う通りだ、可燃物が散ばっており、通気性も悪いこの室内で炎を使えば、


己の放った炎で引火し自分達も危険だ。


このメンバーの中で電気を扱えるのが白影と名無し、それとスイレンだ…


白影は勿論、矢に纏わせるので直接当てるよりも威力は落ちる。


それは弾丸も同じ事であり、名無しの電撃弾スタンバレットも威力は落ちる。


そのため、止めを刺すのであればスイレンが放つ「憤怒落雷インデグネイション」が適切だが…


頼みの綱のスイレンはショックで固まってしまっている。


燐の機関散弾銃ダーリン擬態蛭ミミクリィリッチを足止めしつつ名無しと白影の二人が止めを刺すという方法しかない…





擬態蛭ミミクリィリッチについて


・名称「擬態蛭ミミクリィリッチ


・体長 5~10cm程


・説明

普段は水辺に生息しており、不用意に近づく動物や魔物を捕食している。


名称にもあるようにこのヒルは擬態を行う。

動物の体内に潜り込んで内部の筋肉組織や内臓等を貪った後の残った毛皮の内側で繁殖を繰り返し、

その擬態対象の生物と同等の体積まで繁殖が完了すると、

その毛皮の内側でヒルがそれぞれの部位の働きを補い始める。

擬態中は、内部で蛭同士が筋肉の役割をする為に、粘度の高い体液を発生させる。

その為、見た目は元の動物でも、独特の水音で見分ける事が出来る。

粘度の高い体液は蛭自身の体液であり、水を元に作られている為、

水場から離れた所での擬態は出来ない。


一匹でも擬態蛭ミミクリィリッチが残っていると、

その一匹から再度、大量に増殖する可能性があるため、

炎で焼き殺すか、電気で感電死させる必要がある。


注意点は擬態蛭ミミクリィリッチは、体液がとても氷結しやすいが、

擬態蛭ミミクリィリッチは体液が凍結し生命活動が停止したとしても、

再度、体液が常温に戻って液体に戻る事で再度生命活動を再開するのが確認されている。

その為、氷結等の魔法を使っても完全に殺す事は出来ない。

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