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第二話 出会い

自分の名前を思い出せず・・・殆どの事は思い出すことも出来ない・・・記憶喪失・・・


だけれども、一部思い出せる部分があった・・・断片的だが・・・高い所から落ちている時の映像・・・


何故落ちていたのかはわからない。


ただ、思い出せたのは、高い所から落ちている時の浮遊感と・・・


水に叩きつけられた時の衝撃・・・


それと、落ちている時にもう一人居た・・・茶髪の活発そうな印象の――少女。


その少女の名も思い出せない・・・しかし・・・なぜかその少女はとても親しい人物だと感じた・・・


何故だかはわからない・・・唯、その少女は自分が水面に叩きつけられる随分前に喪失していた・・・


記憶が断片的なので状況がまったくわからなかったが・・・



これは憶測であるが・・・


多分、自分はその少女と何かをしていた――何かをしようとしていたのだろう。


しかし、その途中で高い所から落ち・・・落とされた?・・・そして、


その少女は落下の途中で何かの魔法を使って助かり、


自分は魔法を使う余裕も無く水面に叩きつけられたのだろう・・・


そして、そこは自分が倒れていた河原の上流だったのであろう。


そこから流され、偶然にもあの河原にたどり着いた・・・そう考えるのが普通ではないだろうか?



河原に倒れていた自分を助けてくれたのは「魔術結社マジックキャバル」と言うギルドの隊員であった。


その隊員達はその地域の魔物を討伐する為に組まれたチームであり、


河原に倒れている所を発見した時に、既に力尽きていると思ったらしい。


しかし、実際には息があったらしく、咄嗟にここにつれて来たそうだ。


ここに来てから2日程は寝続けていたらしい・・・


ここは地下に作られた地下都市である。


出入りは基本的に転移装置か魔法か数箇所存在する出入り口で行う。




目を覚ました場所は地下都市のギルド本部の医療室・・・まぁ、いわゆる病院である。


最初に出会った白衣の女性はミラーズと名乗った。


その女性は少年に対して呼び名が必用だと判断し、一時的にだが


「名無し」と言う名で呼ばれる事になった。


ミラーズ  「記憶喪失・・・強い衝撃や精神的ショックを起こした時に起きる病気の一種ね・・・

        ただ・・・水面に叩きつけられた時の衝撃は相当な物だと思うのだけれど・・・

        体に目立った打撲が無いのは何故かしら?」


名無しの腕や足や背をぺたぺたと触って外傷を確認するが、特に外傷らしい外傷も無い・・・


今はベッドに腰掛、ミラーズを向かい合って座っている。


ミラーズ  「う~ん・・・所持品からして銃使いなんだろうけど・・・この銃って物凄い旧式なのよ       ね・・・」


ベッドの横の台の上から銃を取り上げる・・・


シンプルな作りのリボルバーである。


不思議な事に普通のリボルバーなら「弾倉振出式スイングアウト」か「中折れ式(トップブレイク)」、


もしくは「固定式ソリッドフレーム」のどれかの方法でリロードするはずなのだが、


このリボルバーは 回転弾装部分が完全に固定されていて、リロードが出来ない。


理由は魔銃・・・簡単に言えば魔法と銃をあわせた物であるからである。


回転弾装内に魔法を使って弾丸を精製し、それを撃ち出すタイプの銃である。


ミラーズ  「それにこの銃・・・壊れて・・・とまではいかないけど、

        相当酷使したのか弾装部分がボロボロね・・・使えない事も無いけど・・・

        これ、貴方の物のはずよ?」


行き成りミラーズに銃を投げられたので、心の中では慌ててそれをとろうとするが・・・


・・・その銃はすんなりと名無しの手に収まった・・・


名無し   「あれ?」


その銃を持った時一瞬何かがフラッシュバックした・・・


しかし、そのフラッシュバックが何かは良くわからなかった・・・


一瞬見えた光景は・・・真っ赤な視界の中・・・燃え盛る炎の中に背に膜の張った翼を広げた・・・


悪魔の様な・・・逆光で顔は見えなかったが、影のみでそんな感じに見えた・・・


ミラーズ  「大丈夫?銃を握り締めて・・・何か思い出した?」


考え込んでいる間にミラーズがこちらを覗き込んでいた・・・


名無し    「え・・・えぇ、何か見えた気がしました・・・」


自分の手の中の銃を知らず知らずの内に弄んでいた・・・


ミラーズ  「それは名無しの物で正解か・・・使い込まれてる銃ね、旧式だけど」


自分の手の中に納まっている銃はまるで自分の体の延長であるかのようだ・・・


くるくると手で弄んでいると誰かやってきた。


???   「おう、目が覚めたか・・・で、どうだ?」


やって来たのは大剣を背中に担いだ青年と自身の身長よりも長い杖を背に背負った少女であった・・・


名無し   「なっ!?」


現れた少女は、最後に記憶の中で見た少女にそっくりだった。

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