第二十六話 緊急事態《エマージェンシー》
今日の討伐のクエストは完了。
クエストカウンターで報酬を受け取って、次のクエストの準備を始めようとした時であった。
スピーカー 「緊急事態、緊急事態
ギルド員の皆さんは直ちに集会場に集合してください、繰り返します……」
クエストカウンターに取り付けられていたスピーカーが大音量で警告音を発し始めた。
名無し 「なんだ?」
辺りを見回すと、他のギルド員達が慌てた様子で集会場へと向かっていくのが見えた。
スイレン 「集会場に集合って言ってる、行くよね?」
名無し 「あぁ、何があったんだろうな」
名無しとスイレンも集会場へと向かった。
集会場には都市内に残っていたり、クエストが丁度終わり帰って来た者達が集まっていた。
舞台の上には、髭を蓄えた老人が立っており、その手にはマイクが握られている。
と、横から双剣使いの男があれは市長だと教えてくれた。
市長 「えー、緊急事態宣言です。この都市から12km先にて、魔物と都市防衛システムの
激しい戦闘が確認された、そして都市防衛システムが敗北した事も確認できた、
次に魔物が襲うとすればここの都市かもしれぬ。」
市長の演説が前置き無しに始まり、あたりの者達はざわめき始めた。
市長 「静粛に、これはこの都市の存続に関わるかもしれん問題じゃ
攻撃された都市の名称は[ブラッド]じゃ、この都市に関しての情報は殆ど無い。
つい最近保護した蝙蝠獣人のもたらしてくれた情報のおかげで、
そこに都市が有る事が判明したのじゃ、そして、その都市が魔物の大群に襲撃され、
殲滅されたらしいのじゃ、そして次の獲物がこの都市になるかもしれん
お主等には直に防衛線の準備をしてほしい。
[ブラッド]の調査じゃが、それはこちらで選別した人物にやってもらう。
調査は調査者に任せる。そして魔物達の殲滅は狩人に任せる。
魔物の襲撃は十分あり得る、皆気を引き締めてかかるように」
そう言うと、市長は一度言葉を区切ってから、再度言葉を続けた
市長 「なお、以下名前を呼ぶ者はここに残ってくれ。
高速射撃の名無しと多重魔導士のスイレン、
月下鋼刃のミラーズと叩斬者のクルシス、
無影戦機の風鈴、闇黒尖弓の白影
永久煉獄の秋春、絶滅絶望の燐
以上の8名じゃ、では己のやる事に全て責任を持て、生きていれば明日は来る。」
何故か名前を呼ばれてしまった。
ミラーズとクルシスは、スイレン、名無しともに知り合いだが、
後の4名の事は、二つ名と、特徴は教えてもらったが、 実際に顔を合わせたことは無い。
無影戦機の風鈴
性別は女、年齢は14、年齢は低いが、相当な実力を持つ。
耳着き帽子に、手にはめた実用性の無い肉球の手袋、鼠の尻尾と言う変わった服装をしている。
特徴的なのは武器である。戦機・・・いわゆる戦闘機械がその少女の武器となる。
戦闘機械は魔力によりその場で量産されるタイプで、何処かから転送、転移している訳ではない。
口癖が「チュー」と言う鼠の鳴き声の様なので、皆から「ネズ公」と呼ばれている。
闇黒鋭弓の白影
性別は男、年齢は20代後半、忍者の様な格好をしている。
武器は二つ名にある通り弓で、月影と言う名の漆黒の弓を使っている。
魔物だろうが人間だろうが何者にも悟られずに相手の命を刈り取ると言う、暗殺が得意。
寡黙的であまり言葉を喋らないが、意思疎通は普通に出来る。
この4人の中では結構な常識人。
永久煉獄の秋春
性別は男、年齢は20、真っ赤な頭髪の目付きの悪い人物である。
二つ名の通り、炎を使い戦うのが得意。 その炎はシェルターの壁をも焼き尽すので、
都市内では絶対に魔法を使うなと厳重に注意されている人物。
殲滅絶望の燐は、
性別は女、年齢は22、西洋の女ガンマンの様な服を着ている。
二つ名の読み名にショットガンとある通り、散弾銃を使った敵の殲滅が得意である。
使う武器は自分で改良した、機関散弾銃(機関銃の弾丸を散弾に変えた物)を使っている。
武器に「ダーリン」と言う愛称を付けており、少々変わった人物らしい。