第十七話 帰還、魔物化の情報
転移装置を使い、転移装置管理施設に飛び、
そこから蝙蝠獣人の少女を医療施設に運んだ後に、
報告書類を纏めてクエストカウンターまで向かった、
その時に名無しの単独行動に関してと、
その時の状況と結果を記載した書類を提出後に、
無許可の単独行動に対する厳重注意を受けた後に、
やっとの事で開放されたのであった。
現在は厳重注意の際に指摘された物資の補給である。
クエスト出発前に準備しておくのだが、ミラーズがまとめて用意したので、
名無しやスイレン、クルシスは所持していなかったのだ、
そこの辺りもついでに注意されたのである。
名無し 「疲れた」
バックの中にリボルバーと護身用に手渡された魔力弾を使用しない通常種の拳銃を入れ、
ついでに発信機と予備の通信機、携帯食料、応急処置キッド等を詰め込みながら、溜息をついた。
ミラーズ 「貴方のせいでしょうが」
ミラーズは手元にある携帯食料の使用期限を確認している。
クルシス 「報告は終ったし、保護した女の子の様子でも見に行くか?」
クルシスは既に準備を終えていて、大剣に砥石をかけている。
スイレン 「あの子は大丈夫でしょうか?」
スイレンは一番最初に準備が終っていて、手持ちの杖で地面を突いたりしていた。
ミラーズ 「大丈夫よ、傷に関してはちゃんと治癒はしたから」
クルシス 「こう見えてもこいつは医療技術は高いんだぞ」
ミラーズ 「こう見えてもは余計よ」
スイレン 「様子を見に行くんですか?」
ミラーズ 「準備が終ったらね」
手元においてあった予備弾倉を掴み、中に弾薬が詰まっているのを確認して、
バックの中の取り出しやすい位置に入れる。
それと、渡された弾倉を入れる為の飛び出し防止の止め金具付きのポケットのついた
ジャケットのポケット部分に弾倉を数分入れて、止め金具をしっかりとつけて確認する。
ついでに通信機を入れる部分に通信機を入れて、長銃用の光学標準器を取り付けて、
暗視ゴーグルと赤外線ゴーグルを確認してバックに入れて―完了。
バックの重量が40kg前後、ジャケットだけで重さが10kg程という重装備の完成である。
ここに、行く場所によっては酸素マスクや簡易テント等の機材も必要になるらしい。
とりあえず用意した物資に関しては自分の自室に置いておく。
用意された部屋は、そんなに広くは無く、クルシスとの相部屋であった。
以外にもクルシスは整理整頓ができていて、部屋はそんなに汚れていなかった。
準備が終ったので医療施設に向かった・・・
医療施設は住居区画から結構な距離がある。
と言っても都市自体がそんなに大きくないので、
離れている=1駅分あるか無いか程である。
都市内は常に一定温度に保たれていて、酸素濃度も常に一定、
唯一足りない物は天然の太陽光のみである。
それ以外は完璧に整備された人間にとっての楽園のはずであったのだ。
地下都市というのは元々、地上での生活がだんだんとしにくくなっていってしまったので、
仕方が無く地下に生活に必要な環境を整えた空間を作成し、
そこに移住する計画が立てられたらしいのだが、
その計画は地下都市が各国に建設されて、いざ地下空間での生活を~と言う段階になって
問題点が発覚した為、中止となったのである。、
都市一つあれば中で数千年は人類は生きる事ができると言われている。
だが一つの都市に居住可能な人数が人口よりも余りにも少なかったため、
その問題点に関してをどうにかするまでは地下都市は使用禁止になっていたのだが、
その矢先に魔物発生の事件が起きたのである。
魔物化は海から始まったと言われている。
海中に居る生物の殆どが肉食になったり、異常な巨大成長や突然変異等が起きた。
次に鳥、昆虫が変異を初め、動物の変異が始まる頃には、
人間にも変異の兆候が見られ始めた。
多量の変異化物質(当時の呼び名)を摂取すると、
異常が起こり始める。
第一段階が精神汚染、ここまで進行した人の事を「狂人」と言い、
第一段階では精神不安に駆られ、疑心暗鬼に陥り、
辺りの者を形振り構わず危害を加えると言う異常行動が見られるようになる。
第二段階が肉体汚染、ここまで汚染された人の事を「死体人」と言う。
第二段階では肉体的変化と知能低下が訪れる。
例えば腕部の肥大化、脳内組織の死滅、筋肉組織の異常発達、
内臓器官の退化等が上げられる。
第二段階まで進行した時点で、元々の生物は、生物学的に「死」と断定される。
第三段階が完全汚染、完全な魔物化した個体として識別される。
第三段階では完全な肉体的な変化と、知能の完全な消滅が起きる。
肉体的には二足歩行ではなく四足歩行になり、皮膚組織の硬質化、視野感覚の退化
聴覚・嗅覚の異常発達等が上げられる。
第一段階までなら薬品等の投与により治癒が可能であるが
第二段階以上まで進行してしまった場合は、治癒は不可能である。
ちなみに、死体人は、人間を襲い喰らう事がある。
襲われた人間が死亡した場合、死体人の仲間になるが、
生き残った場合は、狂人になる。
その為、ゾンビに襲われても生き残って直にワクチンを投与すれば平気なのだが、
稀に突然変異を起こして一気に魔物に進化する場合がある。
その場合、突然変異型魔物として、自我を保持した状態で魔物化する場合があるが、
極稀なケースの為、基本的にこの事はあまり知られていない。