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第十四話 切裂蜘蛛《スラッシュスパイダー》

少女の方の容態を見る為に近付く――


と、その少女がいきなり立ち上がり、こちらに突っ込んできた、


咄嗟にリボルバーを引き抜き、引き金を引く――


銃弾は少女に当たらず、少女は全体重を乗せ、名無しにタックルをしかけてきた。


名無し  「うぐっ」


少女に押し倒され、上に跨られる。


と、気がつけば少女は名無しが背負っていたはずの長銃を名無しに向けていた。


少女   「動かないで」


名無し  「まて、俺は――


咄嗟に弁解をしようと口を開くが、銃口を首に押し当てられ、黙るしかない。


少女はゆっくりと名無しに銃口を向けながら少年に近付いていく。


少女   「大丈夫ですか」


こちらを油断無く睨み付けながら、少年に声をかける。


少年   「うぅ・・・あぁ、大丈夫だ」


少年もゆっくりと立ち上がる、この状態ではできる事はない様なので


その二人を観察してみる事にした、


少年の方はくすんだ銀髪の野性味のあふれる感じの名無しと同い年かちょっと上の少年である。


とそこで気がつく、少年の蝙蝠獣人フルークフーデ特有の翼膜の張られた翼はボロボロになっていた。


先程の爆炎に焼かれた訳でも、先ほどの衝撃で破れた訳でもない、


どうやら、もとから使えるような状態ではないらしい。


少女の方も少年と同じくすんだ銀髪をしているが、整っている顔立ちから


美少女と呼んでも差し支えない10~11歳程の少女である。


少年はこちらをにらみつけ、傍らに落ちている名無しのリボルバーを見つけ、それを回収した。


少年   「何だお前、俺達に何のようだ」


少年は左手に短剣を持ち、右手でリボルバーを向けてきた。


名無し  「質問は別に良いが、出来れば銃を返してくれ」


とりあえず、刺激しない様に銃の返却を求めてみる。


少年   「質問に答えてくれ」


少年はこちらを睨み付けてくるが、敵意を向けられてはいないようだ。


名無し  「魔物から助けた、これでは駄目か?」


少年と少女は一瞬唖然とした表情をした後に疑うような視線をこちらに向けてきた。


少年   「本当か?」


名無し  「本当だ、それよりも早く銃を返してくれ」


流石に時間がやばくなってきたので、少年を急かす。


少年は悩んでいる様だ、時間がやばい、少々手荒な真似をしないと命に関わる。


一瞬でその場で立ち上がり、瞬間で少年に近付いて、その手から銃を奪い取る。


少年   「なっ!?」


少女   「っ!」


少年も少女も突如の出来事に反応できなかったらしい。


奪い取ったリボルバーの中の弾丸を確認する。


装填されているのは先程の火炎弾ファイアバレッドのLv5であった。


咄嗟に銃口を向け発砲する


と少女がこちらに銃口を向けなおし、引き金を引こうとする――


その銃身を掴み、銃口の先を別の方向に向ける。


名無し  「撃てっ!」


強引に銃口の向きを変えたせいで、銃を掴んでいた少女の体も強引に向きを変えられる。


バァンッと大きな銃声・・・こちらに近付いていた黒い影がビクリッと震えた後に


ゆっくりと地面に倒れる。


少女   「なっ・・・」


少年   「何・・・」


名無しの放った弾丸はちゃんと目標に命中し、爆炎を上げ、敵の大多数を吹き飛ばしていた。


そこで少年と少女は初めて自分達がどういう状況にあるのかを悟った様だ。



名無しと少年と少女の三名は自分達を中心に半径10メートル程の


防壁シールドウォールと言う魔法によって守られている空間の中に居るという事。


そして、その防壁シールドウォールの向こう側には数多くの子蜘蛛が居た。


防壁に攻撃を仕掛けていた一部の子蜘蛛が爆炎に撒かれていた。


そして、先程少女が撃ったのはシールドを突破して接近していた子蜘蛛であった。


名無し  「状況が判ったなら協力頼む、後2分しか防壁がもたない

       その長銃は貸す、少しでも敵を倒してくれ」


有無を言わさぬ態度で少年と少女に指示を出す。


先程の銃の持ち方から、少年は完全な素人、少女はそこそこ使えるという程度であろう。


二人とも、短剣を所持しているが、短剣の持ち方から、


短剣の取り扱い方は少年は魔物と戦える程度、少女は人並みというぐらいである。


ここは、少年に少女の護衛を、少女に銃による援護射撃をさせて、


自分が最前線に出て敵を引き付けつつ敵を一部排除後、


この地域から撤退し、スイレン達と合流する・・・と、計算を終了させる。


名無し  「お前は短剣でこいつの援護、お前は護衛されつつその長銃で援護射撃をしろ」


少女   「了解」


少年   「わ・・・判った」


この状況で名無しの言う事を聞く以外に良い案が思いつかないのか、


戸惑いつつも返事を返してくる。


敵の数を数えつつ、溜息一つ。


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