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第十三話 単独行動

砂煙が立ち上がる場所を確認するが、やはり人間の肉眼での確認は不可能である。


クルシスが手を筒の様にして、その筒を覗き込むようにして、


砂煙が立ち上がる場所を見る。


手に魔力が宿っているので、多分遠見の魔法を使っている。


遠距離を確認するのに使われる初歩的魔法である。


クルシス  「良く見えんぞ、何か大きな魔物が居るな」


ミラーズ  「魔物?」


必死で砂煙の上がる場所を見るが、


必死に目を凝らしても、確認できるのは砂煙が上がっているだけである。


と、体か勝手に動き、魔力を目に集め始める。そして、口が勝手に言葉をつむぐ。


名無し   「魔物名称、切裂蜘蛛スラッシュスパイダー

        状況、15~16歳程の蝙蝠獣人フルークフーデの少年と10~11歳程の蝙蝠獣人フルークフーデの少女が

        スラッシュスパイダーに襲われている。少年の武装は短剣

        少女の武装は――


クルシス  「おい、お前・・・」


と、その台詞を半ば強引にクルシスが止める・・・


その場に居る全員が名無しに注目している。


名無し    「あれ・・・?」


しかし、名無し自身も今の自分の行動にびっくりしていた。


今のは、視野距離を魔力で強化して、あの戦場を確認し、


戦場の状況把握と情報伝達を高速で行ったのである・・・


名無し    「少年と少女の救出、魔物の討伐をする

        脚力強化、直線距離1500メートル

        到着までの時間55秒、突撃する。」


いきなりだ・・・まるで自分の体が勝手に動いている感覚・・・


足に魔力を溜める。脚力の強化が完了、リボルバーを手に持ち、


王座の後ろに空いた大穴に向かって走り出す・・・


クルシス   「おい!何してる!」


ミラーズ   「ちょっ!待ちなさい!」


スイレン   「っ!」


クルシス、ミラーズ、スイレンの三名は、名無しの急な行動にびっくりしていた、


その声を振り払うように、大穴から外に飛び出す――


      ――飛び出した先は足場の無い崖――



体は重力にしたがって落ちていく・・・浮遊感・・・


後ろからクルシスとミラーズが何かを叫んでいるのが聞こえたが、体は言う事を聞かない・・・


体が勝手に動く・・・地面がどんどん近づいてくる・・・


右手に握っているリボルバーに装填された弾丸を変化・・・


瞬間で空気砲エアーショットLv4に変化・・・


地面にぶつかる・・・いや、地面ではない、大きな川である・・・


そこにぶつかる寸前に右手に握ったリボルバーを地面に向け、発砲。


エアーショットの効力で空気が破裂する・・・そこに、自分の体が落ちる・・・


そのエアーショットの効力で、着地の衝撃は完全に消滅する。


音もなく地面に着地し、そして瞬間で砂煙の立ち上がる森の一角へを走り出す・・・



森の中を疾走して、55秒足らずで目的地に到着。


目的地は森の一角の土煙が上がっている場所、


木々がなぎ倒され、また振動が起き、そして土煙が上がる。


その先に少年と少女の姿がある。


少女の手を掴み必死で走って逃げている。


その後を体長20メートル程の大蜘蛛が追いかけている。


大蜘蛛が一歩を踏み出すたびに地面が振動し、木々がなぎ倒される。


大蜘蛛の歩みはあまり速いわけでもない、しかし人間の足で必死に走っても


一歩一歩の長さの違いによって差は広まるどころか逆に縮まってしまう。


蝙蝠獣人フルークフーデ特有の翼を使って逃げれば良いものを、必死に走って逃げているせいで


もうすぐ追いつかれそうだ、手に持つリボルバーの弾薬を変化させる。


火炎弾ファイアバレッドのLv5に、威力は最高値、鉄をも溶かす灼熱の爆炎を放つ弾丸。


背負っている長銃の弾丸を完全被覆鋼弾フルメタルジャケットにする。


大蜘蛛は少年と少女に気を取られ、こちらに気がついた様子はない。


銃口を大蜘蛛の頭に向け、引き金を引く。勿論急所を狙い、


動く大蜘蛛の動きも完璧に予測した上での射撃なので外れる訳がない。


その発砲音が辺りに響き渡る前に弾丸は蜘蛛の頭に吸い込まれ、


爆炎を上げる・・・爆発の衝撃が少年と少女をこけさせる。


急いで少年と少女のもとに近付こうとする――


と、そこで頭を炎上させている大蜘蛛の背中がミシリと音を立てて裂け始めた・・・


名無し   「目標は雌個体であると判明、固体状態から子を宿した物と判明」


口から、その敵の情報を漏らしつつも、倒れて気絶している少年と少女のもとに向かう。


名無し   「大丈夫か?」


少年    「う・・・うぅ・・・」


少年の方はうっすらと呻き声を上げるが、どうやら立ち上がれそうにない様だ・・・


少女は少し離れた場所に倒れている。

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