表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

安らぐ場所

作者: ありま氷炎
掲載日:2026/04/14

 他人行儀な、とよく言われるけど、俺の場合、人とは他人行儀な距離を取っている。

 だって、親しくなったら嫌われるから。


 俺は自分が嫌い。

 だから、自分の領域内に人を入れると、距離感がゼロになって、本当の俺を見せてしまう。醜い俺。


「こんな人だなんて、思わなかった」


 そう言われたくなくて、他人行儀な距離をとって、笑顔を振りまいて人に接する。いい人を演じる。


「なんで、そんな他人行儀なの?」


 また言われた。

 他人行儀にしているんだよ。

 だって、俺の領域にあなたを入れたら、きっとあなたは俺を嫌う。


「ほら、いこう」


 距離を取っているのに、あなたは俺に近づいてく。

 だから俺はあなたから離れる。


「ウィルソン、クローディア様に近づくなよな」


 俺は距離をとっているのに、勘違いした男子生徒から文句を言われる。

 彼は高位の貴族。取り巻きもいて、両隣には他の男子生徒を連れている。

 

「申し訳ありません。今後は気をつけます」


 彼女に伝えなければ。

 俺に近づかないでくれって。


「わかればいいんだよ」


 反抗することなく、顔を伏せて答えれば、彼は満足したようで背を向けていなくなってくれた。

 

「ウィルソン。大丈夫だった?」


 彼がいなくなったら近づいてきたのは、俺の友達のルイス。

 友達だったら、傍で一緒に何か言ってくれるはずなんだけど、彼は違う。

 だから友達じゃない。

 でもいいんだ。

 これくらいの距離で俺は十分。

 

「ありがとう。大丈夫だ」


 俺は笑顔を浮かべる。

 友達への他人行儀な笑顔を。


 本当は俺の領域に入ってきてほしい。

 だけど、きっと本当の自分を知ったら嫌われる。

 だから、近づいてきたら、離れるしかない。


「近づかないでくれ」

「どうして?」


 離れても離れても、彼女は近づいてくる。

本当の自分が知られて、嫌われるのが怖くなる。

 

「ほら、大丈夫でしょう」

「え、うん」


 いつの間にか彼女は、俺の領域にいて隣に立っていてくれた。

 本当の自分を見せても嫌わない。

 無理に自分を取り繕わなくても、彼女は俺を受け入れてくれた。


 俺はやっと安らぐ場所を手に入れた。


 



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ