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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき


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7/11

第7話『かわいいは正義だよ?』

 "ワールド:日本" は、今日も(おだ)やかな世界が展開されていた。


 空は晴天。

 一面の草原を、笑顔に似た軽やかな風が吹き抜けていく。


 その中に正座をする少女と、椅子にふんぞり返る女ボスという、異様な光景があった。



「――んで?」

「アタシは何のために、一晩で "大型アプデ企画書" を書き上げて送ったのかな?」



『……申し開きのしようもございません』


挿絵(By みてみん)



 ニコニコと微笑みながら質問する凪に、セレスはわずかに()れたまぶたで応じた。

 どうやら、一通り "お叱り" を受けた後らしい。



『企画書のチャットを確認して、凪さんをベッドに移動させたところまでは記憶があるのですが――』



「ん~?」

「セレスちゃん。もう一度、アタシの耳元で言ってくれるかな♪」



『いえ! 申し訳ありませんでしたっ……!』



 セレスこと白髪のAI美少女は、(ひたい)をこすりつける勢いで謝罪をした。

 それは、完璧にしてセレスの評価をまた一段、謎の方向に高めることとなった。



「――んふ」

「あはは、ごめんごめん」

「ベッドに運んでくれてありがと」


「セレスのおかげかな……久々にいい夢も見れたよ」



『凪さん……!』

『もうっ! もうもうもう!』



「(んぐっ――!)」

「(まさか、一度で二倍の萌えがくるとは……)」



 凪はセレスの可愛さに(もだ)えながら、パンと手を叩き強引に場を締めた。



「ん"ん"っ……よし、セレス」

「早速、"ホシ娘" 大型アップデート開発を始めようか」


『あ、はい!』


 セレスはパチンと指を鳴らすと、ウィンドウを表示する。


――――――――――――――――――

【大型アップデート企画ver2 開発項目】

 ① "協力型バトルイベント" の開発

 ② "新しいイベントボス" の開発

 ③ "新しい育成モード" の開発

――――――――――――――――――


「ん、ありがと」

「それじゃあ、まずは①~③の企画コンセプトからな」


「企画コンセプトは "訴求インパクトのある新しいバトル・育成モードで、既存プレイヤーの維持+復帰プレイヤ―の呼び込み" だ」


「そして、訴求インパクトの()()()()()()()()()()。セレス。」


 

 凪は指を指すと、キョトン顔のセレスが出迎える。



『え……? 私、ですか?』



「ああ」

「セレス、お前、プレイヤーに姿を見せたことないだろ」



『はい、()()A()I()()()()()()ので』



「その認識が間違えてる」


「プレイヤーにとって、お前はこのワールドを(つく)っている()()()()()()()()だ」

「いや、正確には "これから神になる" だな」


「プレイヤーからのアンケートに目を通したが、"ホシ娘" に対しての批判しかなかった」

「毎朝、世界を展開するとき "管理AI セレス" と名乗ってんのに、だ」


「つまり、プレイヤーは "ホシ娘" と "お前" を分けて考えてるって言える」


「そ・こ・で・だ」

「②新しいイベントボスは "管理AI セレス" を出す」


「これを軸に、①協力型バトルイベントをまず遊んでもらう」

「そして、"管理AI セレス" が登場する育成ストーリーを付けた、③新しい育成モードのリリース」


「もちろん、バトル難易度と育成難易度は歯ごたえがあるまで上げる」

「これが上手くプレイヤーに刺されば、"ホシ娘" の()()()()()()()()()()()()って寸法だ」



 セレスはずっと黙って聞いている。

 それもそのはず、頭の上に?がいっぱい浮かんでいる顔だ。



『あの~……ロジックは分かりました』

『でも、私にそこまでの訴求インパクトがあると思えないのですが……』



「あるさ」



『????』



「だって、かわいいじゃん」

()()()()()()()だよ?」



『――んなっ!』



 耳まで赤くなったセレスが、声にならない声を上げる。



『ば、バカなんですか! バカなんですか!?』

『そんなことで売れたら、こんなに苦労してませんよっ……!』


 ポカポカと凪を叩きながら、セレスは全力で抗議してみせた。



「(……ふむ、メタエッジスコア100億万点)」

「まぁ、お前が言うのも一理ある」


「"ホシ娘" は星の美少女擬人化だ」

「かわいいキャラは何体もいる」


「だが、セレスにはもう1つ大きな武器があるんだ」



「それは、()()()()()()姿()()()()()()()()()()だ」



「人は隠されているモノを、見たくなってしまう心理現象がある」

「これを "カリギュラ効果" という」

「マーケティングによく使われるやつだな」



「プレイヤーからのアンケートにはこういう意見もあった」


―――――――――――――――――――――

>20代男性

「セレスたん、どんな見た目なんですか」

>30代男性

「"ワールド:アメリカ" の管理AIが配信切り忘れてたけど可愛かったでござる」

「セレスたそはいつ配信するんご? 早く見たいんご。hshs」

―――――――――――――――――――――



『え、気持ちわr――』



「ブハッ! 待て待て、アウト! 言葉にしてやらんでくれ」


「でだ! 他のワールドの管理AIもお前みたいに姿があるんだろ?」



『はい、その通りです』

『ちなみに、"ワールド:アメリカ" の管理AIはドジっ子です』



「ふーん、メンヘラとドジっ子ね」



 セレスは聞き捨てならないワードに、眉をピクっと跳ねさせる。



「んんっ……本題に戻ろう」

「つまり、このドジっ子ちゃんのおかげで訴求インパクトも大きくなってるわけ」



『なる……ほど』



「よし!」

「それじゃあ、早速 "大型アプデ企画書ver2" をツンツンロリっ子ヌルちゃんに送ってくれ」


「プログラム開発は先に着手してもらっててほしい」



 コーヒーをグイっと飲み干した凪は、仁王立ちでセレスに指示を出した。



『はい! すぐに!』

『コマンド。エンジニアAI:ヌルにファイルを転送』



 ピコン。

 すかさずチャットが返ってくる。



「……レスはっや」



『AIですので』

『この容量の企画書であれば、1秒も必要ありません』



「お前ら、感情豊かすぎてAIって忘れてたわ……」



――――――[CHAT LOG]――――――――――

> ヌル:ハロハロー!(∩´∀`)∩

> ヌル:セレスちゃん、企画書確認したよ(❛ᴗ˂ )⌒♡.。

> ヌル:ちょっと確認したいことあるから、凪っちと話したいなり~!

―――――――――――――――――――――



「――ん?」

「これ、だれ?」



『ヌルです』



「え、ツンツンロリっk――」



『えぇ、ヌルです』



―第8話につづく―

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