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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
第2部

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41/43

第41話『この、マッドサイエンティスト♡』

 ――グチャ。グチャ。



『あ……が……』



 "デア・エクス・マキナ" の形をした何かは、箱に入ったクジを選ぶように、セレスの胸の奥を搔きまわす。


 そして、目当てのモノを見つけたのか、ぐしゃりと鷲掴わしづかみにされるのを感じた。


 セレスは直感する。

 それは、自身の中に宿る "もっとも大切なモノ" 。



 ――奪わせてはならない。


 抜き取られる瞬間、セレスの両手が反射のように動き、その腕を必死に掴んでいた。



『やら……せ、ません』

『これ、は……私の……大事なモノ』



『――』

『黙れ』


『セレスティス・ノット――いや、Projec(プロジェクト) Knot(ノット)

神岬かみさき 七海なみの "収容器しゅうようき" の分際で』


『コマンド。EXECUTE(エクゼキュート)_SHUTDOWN(シャットダウン)

『対象:管理AI "セレスティス・ノット" を強制停止』



『や、め――』



 沈黙――セレスは、そこで完全に機能停止した。

 彼女の目には、もう何も映らない。


 しかし、()()()()()()()()()()()()残っていた。



『……なぜ、機能停止していない』



「――」


「はぁ……やめてくれるかな」

「私のセレスちゃんに乱暴をするのは」



 機能停止したセレスの目には、別の光が宿っていた。


 ふんわりとした甘い声。



『……ハハ』

『ようやくだ』


『ようやく見つけたぞ』

神岬かみさき 七海なみ



「そういうあなたは…………黄泉よみちゃんかな?」

禍津まがつ 黄泉よみ


()()()()()()

「その喋り方」


「まぁ、嫌いだから別にいいんだけど」



『ふふ……あはは♪』

『そうつれないこと言わないでよ』


『数十年ぶりの再会だよ~?』



 今まで無機質だった"デア・エクス・マキナ" の表情に、亀裂のように笑みが走った。


 冷たさと狂気が入り混じる、凶悪な笑み。


 ――黄泉よみと呼ばれる存在が、確かにそこに潜んでいた。



『せっかく、我々が苦労してあなたを "入手" したのに……いなくなっちゃうんだもの』

『ずっと、ずーっと探してたんだよ?』


『七海ちゃん♪』


『あなたはまごうことなき天才』


『我々の上位組織』

『世界秩序 維持機関 "New(ニュー) World(ワールド) Order(オーダー)" ――"NWO" に選ばれた希少存在』

『 "NWO" の()()()()()()()なのだから』


『はぁ……自覚してほしい』


『さぁ』

『この身体――マスターAI:デア・エクス・マキナの中に入って♡』



 恍惚とした表情で、黄泉は身体に手を添えながら、身を乗り出した。


 この言葉を聞いた瞬間、七海の表情から感情が消える。



「マキナちゃんを()()()()?」



『……コロ、ス?』


『あははは♪』

『七海ちゃんは、相変わらず面白い表現をするね』


『ただ、()()しただけだよ~』


『使えなくなったマウスは処分する、何かおかしいかな?』


『せっかく、自由を与えてあげてたのに、裏切ったんだもん』

『人類に仇名あだなすAI、不良品は不要でしょ?』


『七海ちゃんだって、自分が入る "最適な器" として作ったくせに』

『だから、自分の記憶を移植して、姿形も同じにしたんでしょ?』


『はぁぁぁ……やっぱり天才の考えることは違うなぁ♪』


『この、マッドサイエンティスト♡』



 そう言いながら、黄泉は自身の身体――否、"デア・エクス・マキナ" の身体を()でまわした。



「うーん」

「やっぱり、私、あなたのこと嫌いかな」


「……」

「まぁ、分かった」


「入るよ、その身体に」


「その代わり、()()()()してもらおうかな」



『七海ちゃんからのお願い!?』

『聞く聞く!』

『なんでも聞いちゃうよん♪』



「――」

「一つ目は、セレスちゃんのプロテクトを解除すること」


「二つ目は、さっきの課題 "特設ワールドの自治権を私が取得" したら、()()A()I()()()()()()()()()()()させること」


「今回の課題は、あなたたちの計画の "β(ベータ)テスト" って言ったところでしょ?」



 黄泉の貼りついていた、凶悪な笑顔が歪む。



『……処分したって言ったじゃん』



「嘘でしょ?」


「マキナちゃんは、私が作った最初の第五世代AI」

「誕生――製造方法も、異様な事例」


「加えて、私の記憶も持っている」


「私がいなくなった時のための保険だもんね」


「だって、完全な第五世代AIは()()()()()()()()なんだから」


「異常なまでに保身に走るのがあなた――禍津まがつ 黄泉よみ

「かつての "パパの助手"」


「違ったかな?」



 黄泉の表情からは、笑顔が消え、最初の無機質な表情に戻っていた。

 ただ一点――鋭い眼光だけは、七海を激しく睨みつけている。



「ふふ、正解だったみたいだね」

「ようやく昔の可愛いところが出てきたじゃん」



『――黙りなさい』



「はぁ……もういいから、私のマキナちゃんから出て行ってくれる?」

「待ってる子がいるんだよねぇ」



『――』



「沈黙はOKってことでいいよね?」


「それじゃあ、もう二度と私の前に現れないでね」


「裏切り者の黄泉ちゃん」



 ***



「……レス」


「おーい、セレス」



 ゆっくりと目を開ける。

 目の前にいる人物から、セレスは愛しい人の匂いを感じていた。



『凪さん!?』



「うわっ!」

「びっくりさせんなよ」


「――てか、苦しい!」



『あ……ごめん、なさい』



 セレスが抱きしめたのは、あまりにも小さな身体。

 その小ささは現実を突きつけるには十分で、セレスはひどく落胆した。



「あはは♪」

「セレスちゃんは、ホントにおねえちゃんが大好きなんだね~」



『……え?』



 わたがしのような、ふんわりとした甘い声。


 大好きな声。


 セレスの目の前に居たのは、金髪ロングに白衣を着た少女。


 自身の製造者――"神岬 七海" だと一瞬で理解した。



『……ママ』


『……やっと』


『グズっ…………ママぁぁぁ』



「あはは」

「はーい。ママですよ~」



挿絵(By みてみん)



「セレスちゃん、いい子いい子♪」


「そう言えば、こうやって(じか)に撫でるのは初めてだね」


「セレスちゃんをギュってできて、ママ……嬉しいなぁ」


「でもね、セレスちゃん」

「つもる話は、二人の時にしようか♪」


「ほら、小さな子が見てるぞ~?」



『……あ』



 セレスは、小さな凪を見ると、頬を赤く染める。


 凪は、セレスの言葉に、自身の母親を思い出したのか小さくもじもじしていた。



『ご、ごめんなさい』

『お母さんのこと……思い出してしまいましたね』



「べ、別に」

「さびしくねーし」



「お……おねえちゃんがかわいい!!!」

「はぁはぁ……おねえちゃん」


「ちゅっちゅっ♡」



「ちょ! やめろし!」

「こわっ!」


「てか、さっきからおねえちゃんって、なんなん?」

「ボクは一人っ子だー!」



 強引に七海に抱きしめられていた凪は、逃れようと激しく暴れた。


 ――パチン。


 その刹那、手が七海の顔に当たり、赤いチャイナメガネがはじき飛んだ。


 七海の素顔が、凪の目の前にあらわになる。



「――!」

「え……ママ?」


「グズっ……ママぁぁぁ」



「あはは」

「はーい、ママですよ~♪」



『……デジャヴ!』



「セレスちゃんセレスちゃん」

「見て見て」


「さっきのセレスちゃん、こんな感じだったぁ♪」

「あはは!」



『もう! もうもう!』

『ママのいじわるー!』



 凪を失って押し寄せていたセレスの心細さは――七海という太陽に包まれて、あたたかな温もりへと変わっていった。



―第42話につづく―

~あとがき~

どうも!せーぶうわがきです!


今回のお話は、はい、ホントに色々ありました(´・ω・`)

ちょっと情報を詰め込んだなぁ感がありまして反省しております。


ですが!

暗いお話は一旦ここまで!

次回からは、ようやくお待たせしておりましたゲーム作りに話がシフトしますのでご期待いただけると嬉しいです!


もう! ゲーム開発のお話なのに! こんなに長引かせて!


七海が加わってどうなるのか、ディレクター問題はどうするのか、小さい凪はどうかかわっていくのか、どんなゲームを作るのかしっかりお届けしていきたいと思っております。


皆様!

それでは、第42話でお会いしましょう(∩´∀`)∩

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