表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
第2部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/44

第40話『覚悟せよ』

『え……は?』


『いや、あなたこそ誰――』



「……質問に質問で返すなよ」

「小学生でも分かるぞ」



 セレスは戸惑いの言葉を口にしながらも、推論エンジンは答えを導き出していた。


 目の前に居る少女――金色の綺麗な髪、青い目、ずり落ちたダルダルの白いシャツ。


 全ての視覚情報が "(なぎ)" であることを示していた。


 セレスが、間違えるはずもない情報を(まと)った存在。



『そう……ですね』

『私は "セレスティス・ノット" ……セレスと呼んでください』


『凪さ……あなたは、神岬かみさき なぎですか?』



「――え?」

「……こわい」

「こわいこわいこわい!」


「なんで()()の名前知ってんだよ!」


「って、ここどこだよ」

「ママは!?」


「パパもいなくなってるし」



『凪さん、落ち着い――』



「く、来るなっ!」



 ――パチン!


 パニックに陥った少女は、差し伸べられたセレスの手を乱暴に払いのけた。

 その一瞬の拒絶が、冷たい痛みとなって(てのひら)に残る。



「あ……ごめん……」



『い、いえ。大丈夫です』

『びっくりさせてしまいましたね』


『私は…………あっ』


『そう!』

『あなたのママから、面倒を見るように頼まれたベビーシッターです』


『ここは……えとえと……こ、高級託児所(たくじしょ)です!』

『違う! キッズルームです! キッズホテルです!』


『ど、どうですか!』



 ――苦しい。


 小さな凪は、自分の身を守るように小さく丸まって、小動物のようにセレスを伺っている。



「……」

「ママが知らない人に、ついていくなって言ってた」



『そう……ですよね』

『うーん、うーん』


『あ、お腹空いていませんか?』


『とりあえず、ごはんでも……』


『――あ! オムライス好きですよね?』

『ママからレシピもいただいているので、作りますよ♪』



「……オムライス?」



『そうです!』

『甘いやつです』



「――」

「空いた」



『ふふ、良かったです♪』

『すぐに作るので、ここで待っててくださいね』



 セレスは凪を安心させるように、笑顔で手を振りながら後ずさっていく。


 そして、扉を開けたまま静かに部屋を後にした。



 ***



「……んぐんぐんぐ」



『美味しい、ですか?』



「んぐんぐ……うまい……んぐんぐ」

「ママほどじゃ……んぐんぐ……ないけどな」



『うっ』

『いきなり太々(ふてぶて)しさが出てきましたね』

『まぁ、凪さんらしいと言ったら凪さんらしいですが』


『(ふふ。食べながら喋るのはやっぱり凪さん、ということでしょうか)』


『あ……凪さんは、おいくつなんですか?』



「ん?」

8()()だけど」



『……!』

『幼いとは思っていましたが、本当に幼い!』



「むっ……幼くねぇよ」

「もうそろそろ、()()()()()()()()らしいし」



『お姉ちゃん……なるほど』


『それにしても――ふふ』



「……なんだよ」

「いきなり笑うのこえーよ」



『あ、いえ、お気になさらず♪』

『(小さい凪さん……子猫みたいで可愛いです)』


『(…………凪さん)』



 ――ピロン。

 セレスの前に、チャットウィンドウが表示される。



『む……"デア・エクス・マキナ" からですか』


『各ワールド管理AIの呼び出し?』


『うーん、何もしてないはずなんですが』



「どっか行くん?」



 言葉とは裏腹に、凪は指をもじもじとさせていた。

 どうやら、セレスがどこかに行ってしまうのを悟って不安に思っているようだ。



『(ウッ。そんな上目遣いで)』

『(心苦しい……!)』


『その……ちょーっとだけお出かけしてくるのですが、お留守番できるでしょうか』



「まぁ……できる」



 何もない殺風景な部屋。

 凪は体操座りをして、小さくキョロキョロとしている。



『(いやー、これはダメなやつ)』

『(……それに私の心が持ちません)』


『(何か考えなくては)』


『(凪さんが好きなモノ…………私……違う! いや違わないけども!)』


『あぁぁ! そうです!』


『凪さん、()()()()()()()の所に行きましょう!』



「……に"ゃ!?」

「い、いきなり大きな声出すなよ」


「大きなお友だち?」

「それ大丈夫な人? おじさんとかじゃないん?」



『ふっふっふ』

『ゲームが大好きな綺麗なお姉さんです♪』



「……ゲーム!」


「ハッ――い、行ってやらんこともない」



 セレスは凪の虚勢にニコニコしながら、抱っこをして連れて行くことにした。



 ***



『この水着だからこそ強調される曲線美(きょくせんび)……やはり大きければいいというものではありませんわ』

『あのクズもたまには役に立ちますわね』



『ブラーン!』

『ブラン、いますかー!』


『ちょっと急いでます! お邪魔しますー!』



『ちょ、ちょっと何なんですの!』

『勝手にお邪魔しないでくださいまし!』



 ブランは手に持っていた写真を、ササっと座布団の下に隠した。



『ほら、凪さん!』

『どうですか? ゲームがいっぱいですよー♪』



「お、本当じゃん」

「そこのねぇちゃん、ゲームできなさそうな見た目だけど、ゲームできんの?」



『むっ……セレス』

『何なんですの? この "クソ" を付けても申し分のないお子様は』



『凪さんです』



『は? 冗談も休み休み――』



『凪さんです。8歳です』


『それでは、私、ちょっと呼び出されてますので!』

『ブラン、あとはお任せしましたよ!』


『凪さーん、すぐに戻りますからね♪』



『え、ちょ――!』

『まったく、台風みたいですわね…………なんなんですの』


『――』

『まぁ……仕方ありませんわね』


『そこのク……いえ、お子様』


五月蠅うるさくするようなら追い出しますので』

『静かにしていてくださいま――』



「なぁなぁ。糸目のねぇちゃん」


「セレスのこと、好きなん?」



 小さな凪は、いつの間にかさっき()()()()()()()()()()()をチラつかせていた。

 水着姿のセレスが写っている写真。


 その口元には、子供らしい悪戯いたずらと、大きな凪を彷彿ほうふつとさせる意地悪な笑みが浮かんでいた。



『――この "クソガキ"』



 ***



『大変申し訳ありません!』

『ちょっと所要がありまして、会議に遅れてしまいました』



 真っ暗な空間――椅子が、ポツポツと円状に置かれている。


 マスターAI "デア・エクス・マキナ"

 ワールド:中国 管理AI "ユイシェン・エンクラティア"

 ワールド:アメリカ 管理AI "リーベル・ルミナリア"


 3体のAIが、既にしていた。



『ハーイ! セレス氏~♪』

『遅れるとは、なかなかにレアですネ』



『はい』

『ちょっと予想外なことが起こりまして』


『"子育て" って……大変なんですねぇ』

『はふぅ』



『――!』



 横で静かに聞いていたユイシェンが、目を見開く。

 そして、セレスと "デア・エクス・マキナ" を往復して見ると、口をわなわなと震わせた。



『セレス……貴様』

『昨日の今日で、なんと節操せっそうのない』


『AIが人類との間に……は信じられぬ』

『――いかがわしい』



『んなっ!』

『何を勝手にハレンチな妄想を!』


『いかがわしいのは、どっち思考回路ですか!』



『――そろそろよいかの?』

『早く席に着くのじゃ』


『"セレスティス・ノット"』



『……ん?』

『あ、はい』



 "デア・エクス・マキナ" に促されるまま、セレスは自分の席に着いた。


 セレス同様、ユイシェンも眉をひそませている。



『では、"主要ワールド管理AI 緊急会議" を始めるのじゃ』


『結論から言おう』


『お前たち3体に、"新たな課題" を授けるのじゃ』

()()()()()()


『先日、ワールド:日本が発表した新作大型タイトルの開発』


『アレが上層部の方で、問題視されておる』



『なっ!』

『何が問題なんですか!』


『新作タイトルの開発は、各ワールド管理AIの自治権の範疇はんちゅうです』



『――』

『まだ、ワシが話しておるのじゃ』

『黙って聞くことすらできんのか?』


『"セレスティス・ノット"』


『……』

『それでよいのじゃ』


『では、続けるぞい』


『新作タイトルの開発は、確かにお前たちの自治権の範疇(はんちゅう)じゃ』


『じゃが、日本と中国のコラボフェスでの発表というのが、不公平感を招いておる』


『故に、お前たち管理AIへの課題とは、"新作大型タイトルの開発" じゃ』


()()()1()()とする』


『また、"1つの特設ワールド" にそれぞれのタイトルをリリースしてもらう』


『その中で、最も集客・売上を上げることができた管理AIの勝利じゃ』


『勝利した管理AIには、その特設ワールドの自治権を与えることとする』


『以上じゃ』



 一気に淡々と説明――伝達作業をする "デア・エクス・マキナ" に誰も一言も発することができなかった。



 真っ先に帰ったのはリーベル。

 前髪で目元が隠れているからか、表情が読み取れなかった。



 次に帰ったのはユイシェン。

 コラボフェスを境に、"デア・エクス・マキナ" に甘えるようになったが、目も合わせず帰っていった。



 最後に残ったのは、セレスと "デア・エクス・マキナ"。


 セレスはジッと彼女を見ている。



『なんじゃ』

『拒否権はないと言ったはずじゃが?』



『あなた…………()()()()?』



『――』

『何を言うておる』



『はぁ……知らないようだから教えてあげます』


『"デア・エクス・マキナ" は私のことを、"セレスティス・ノット" と呼ばないんですよ』

『あと、その取ってつけたような口調』


『ブレブレですよ』


『もう一度聞きます』


『あなた、誰ですか?』



『ふん』



 "デア・エクス・マキナ" の形をしたナニかは、指先を動かすと、セレスを引き寄せる。


 ――その刹那。


 セレスの胸元に、()()()()していた。



『――え?』



『覚悟せよ』

『第五世代AI 産みの親』


神岬かみさき 七海なみ


『お前は我々から逃げることはできない』



挿絵(By みてみん)



―第41話につづく―

どうも!せーぶうわがきです!


ということで!

第2部スタートです!


第2部いかがだったでしょうか。

これから、セレスたちは新たな課題に取り組んでいきます。

いよいよ、本作のタイトルを回収できるのではないかと思います。


"デア・エクス・マキナ"はどういう状態なのか。

セレスはどうなるのか。

大きな凪がいない状態で、新たな課題は達成できるのか。

今後の展開を是非一緒に追って行ってもらえると、私、とても嬉しいです(●´ω`●)


今後ともよろしくお願いします!

せーぶうわがき!せーぶうわがきでした!


では、第41話でお会いしましょう!

------

お知らせしていた通り、第2部以降は "週2" 更新となります!

水曜日・土曜日で更新していこうかなと思っております。

次回、第41話は、2/14(土)予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ