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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
幕間

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39/43

第39話『凪のおはなし』

『ユイシェ……言っ……みなさい!』

『凪さ……最高にかっこい……ですー!』



『ふん』

『AI……恋なぞ……いかがわ……』



『カカ』

『子どもが……のも、時間の問……じゃの~』



『んなっ!』



 ドアの向こうから、楽しそうな声が響いてくる。


 酔いと、疲労からか意識がもうろうとしている。



「はは……美少女たちの声を聴きながら……寝るの……最高か?」


「……」

「さて、さて……」


七海なみ……どうやって……たすけ……すぅ」



 ゆっくりと、意識が布団に溶け込んでいくような感覚。


 気持ちがい――。



「――がッ!」


「イ"っ……なん、だ……はぁはぁ……うぐっ!」

「あたま、が……ア"ァァッ……!」



 痛い――いたいいたいいたい。


 脳を直接、鷲掴わしづかみされて、し潰されているような痛み。


 手と足の感覚がなくなっていく。



「はは……なんだ……もう、か」


「仕事が……うぐっ……はえん、だよ」


「……はぁはぁ」


「セレス……七海っ!」


「ぜったいに、もど――」



 ***



 目を覚ますと、真っ暗な空間にいた。


 見渡す限りの――闇。


 闇。


 闇、闇、闇。



「なんだ……ここ」

「夢か、現実?か分らんが、とりあえず……生きてるってことでいいんか?」


「……ん~」

「わからんな」


「まっ、なるようになるか」


「ゲームじゃこんなんよくあることだ」

「ふん、ここに誘い込んだやつ?まだまだだな」


「こういうところはな……こうやって床に身体を……めり込ませれば!」


「あら不思議、すり抜けバグ…………って、ならんか」


「……」


「……うん。歩くか」



 ***



 どのくらいの時間、歩いただろう。

 1時間……いや、5時間?

 時間の感覚がない。


 歩けども歩けども闇が続いている。


 ――お腹も空いてきた。



「って……お腹空くのかよ」


「これ、いきなり詰みじゃね?」


「…………」

「はは……何が "何度でも這い上がってきてやる" だよ」


「……よわったなぁ」


「――ん?」



 寝ころんでいると、一つの小さな光の球体を見つけた。


 悪意は感じられない。


 むしろ、暖かい?



「こっちおいで~」


「……よいしょっと」



 光にふれた瞬間――目の前が真っ白になった。



 ***



「――い!」

「おい! 神岬かみさきなぎ!」


「"ゲームショウ" 当日に、何をボーっとしてんだ」


「でかい顔してんじゃねーぞ」

「社長に気に入られただけの一発屋がよ」



 スーツを着たおじさん――上司に肩を揺さぶられる。


 こいつは、私が所属する部署の部長だ。


 今日は私がヒットさせたゲーム "妹これくしょん~異世界妹育成計画" を展示発表する日。


 広々とした会場には、様々な会社の話題のゲームが並んでいる。


 入口には "ゲームショウ2()0()2()7()" の大きな看板が、お祭りの空気感を際立たせていた。



「はいはい、なんでしょうかぁ?」


「すみませんねぇ!」

「若干2()2()()のぴちぴちの若造が、ステージでの対談を任されちゃって」


「新進気鋭の天才ゲームディレクター、行ってまいりまーす♪」


「あ、受付はお願いしますね」

「部長が受付してくれるんだったら、アタシ安心だな~」



「――気取りやがって」


「せいぜい大恥かかないようにするんだな」

「いいか? 失敗は絶対に許さん」


「失敗すれば、"億単位の金" が吹き飛ぶと思え」


「舞台慣れしてないお前に教えてやるよ」

「俺の若い頃になぁ――」



「あ、部長! そろそろ開場ですよ!」

「早くしないとお客さん来ますって!」


「あと、安心してください」

「今日で "億単位の金" が()()入ってくるんでぇ」



「――クソがっ!」



 顔面めがけて、くしゃくしゃになった雑誌が投げつけられる。


 "雑誌の表紙" には、大きくアタシの写真が掲載されている。



「うぉ……はっず」

「なんだよ、この決め顔」



「凪ちゃん!? 大丈夫?」

「顔に当たってない?」


「あいつ! 流石に今のはパワハラよ!」

「私の凪ちゃんの綺麗な顔に何かあったら、どうしてくれんの!」


「むかつくわ!」



「顔だけっすか。小鳥遊たかなしP」



挿絵(By みてみん)



「あのぉ……アタシ、ゲーム開発だけやってたいんですけど」

「今日だって、新機能の企画書、書きたかったなぁって」


「早くチームに展開しないと、エンジニアからキレられますし」



「うん♪ ダメダメ☆」


「凪ちゃん。いい?」


「ゲームはね、いいモノを作ってれば売れるわけじゃないの」


「いいモノを作った上で、()()()初めて売れるの」


「万に投げて、一に刺さればいい」

「ゲーム業界はそういう世界」


「売るためには何でも使うわ」

「顔がめちゃくちゃいい22歳の天才ゲームディレクター "神岬 凪" が作る、超面白いゲーム "妹これくしょん"」


()()()()()()()よ」



「は、はぁ……何すかソレ」



「ふふふ、私が考えた最強のキャッチコピーよ」

「さぁ! 凪ちゃん、ぶちかましてきておやりなさい!」


「あ、無事成功させたら、妹ちゃんの授業参観にすぐに行っていいわ」

「確か今日よね。中学校の授業参観」


「……ごめんね。お休みをあげれなくて」



「マジっすか!」

「今行けば、七海の発表時間に間に合うっ!」


「じゃ、小鳥遊P!」

「ちゃちゃっと、"なぎ払えー!" してきますわ!」



「なぎ払わないでね!?」

「……あっ! 凪だけに!?」



 ***



 光が収縮し、また視界全体が闇に包まれる。



「あはは、懐かし」


「小鳥遊P、今見ても強烈だなぁ」

「美人なだけにもったいない」


「……あの人にゲームの売り方、色々教わったんだったな」


「あ、そうそう」

「あの後、授業参観に行って、七海の発表に間に合ったけな」


「――ありがとうございます」


「って! 最後まで見せろや!」

「これからだろ!」

「変なとこで切ってんじゃねーぞ!」


「アタシの!」

「可愛い!」

「七海のシーンまで!」

「見せろぉぉぉ!」



 自分の声だけが、この何もない空間にこだまする。


 ふと横を見ると、()()()()()()()()()()が出現していた。



「…………うちの玄関?」


「はぁ……次から次になんなんだよ」

「記憶を見たら、アチーブメント解放ってか」


「はいはい、入りますよ」

「入りゃーいいんでしょ」



 扉に手をかけると、脳にビリビリと電流が走った。


 ここから先は――何か嫌な予感がする。


 進め。


 嫌だ。


 ――進め。


 脳が拒否反応を起こす。

 そんな直感を、押し殺しながら大事なモノに想いを巡らせる。


 開けなきゃだめだろ――今。


 早く帰るんだ。


 深呼吸をする。


 扉を開くと予想とは裏腹に、暖かい空気が流れ込んできた。



 ***



「凪ちゃーん!」

「いつまでピコピコしてるの~?」


「もうお昼ご飯できたよ~♪」



 甘いふんわりとした声。


 大好きな声。



「うぇーい。()()

「ちょっとこいつボコしてから行くー」


「ジャンプ仕込みJS擦りまくんな! 見え見えなんだよ!」


「はいはい、バーストね。ざんねーん♪」

「起き上がりで無敵ぶっぱだろ? はい、余裕!」

「次は次は? もう残りHPドットだが?」


「はーい、小足見てから余裕でしたー♪」

「ざこおっつ!」



 ロックな音楽が流れる対戦型格闘ゲーム。

 今ハマっているゲームだ。


 オンライン対戦は止められない。



「こらっ、凪ちゃん」

「女の子なんだから、汚い言葉使わないの~」


「来年には、お姉ちゃんになるんだから」


「凪ちゃんももう8()()

「お姉ちゃん、できるかなぁ~?」



「うーん、できんじゃね?」



「もう! もうもう!」

「もっと可愛く言いなさい」


「まったく~、誰に似たんだか」


「ほら、こもりっぱなしのパパも呼んできて~」



「うぇーい」



 二階にあるパパの書斎。


 パパはずっと何か機械をいじっている。


 最近は、部屋から出てない。


 ママもぷんぷんしている。



「パパー」

「ママが、オムライスできたって。甘いやつ」



「……」

「……凪か」


「ちょっと来なさい」



「うっ……なに」



 真剣なトーンで、手招きをするパパ。

 焼き魚の目みたいで苦手だ。


 怖い。



「――」

「……凪に遊んでほしいゲームがあるんだ」


「これを被りなさい」



「なにこれ、VRヘッドギア?」

「でも見たことない形だなぁ」



「パパが作ったんだ」

「医療用だな」


「これが完成すれば、多くの人が幸せになれる」

「凪の意見が、未来の人を救うんだ」



()()が?」

「し、仕方ないなぁ」


「パパがそこまで言うならやってやるよ」

「へ、へへ」



 ボクに興味持ってないと思っていたパパが頼ってくれてる。


 嬉しい。


 VRヘッドギアは、頭にぴったりだ。



「パパ、いいよー」



「電源をつけるぞ」



「うぇーい」



「ごめんな――凪」

()()()



 ***



 いつの間にか扉はなくなっていた。


 目からは、とめどなく涙がこぼれ落ちている。


 あれは……七海が生まれる前の記憶?


 確かにあの後の記憶はない。



「記憶は……ここまでってか」


「ママ……パパ」


「なんだよ……なんなんだよ」

「なんで今更こんなもん、見せられねーといけねぇんだよ」


「頼んだって、なんなんだよ」



「…………」


「だぁぁぁぁぁぁ!」


「まったくよー!」


「お腹空いてんのに、ママのオムライス食べるとこまで見せろよ!」


「あーあー、ママのオムライス食べたかったなぁ!」


「……くそっ」



 涙で顔がぐしゃぐしゃだ。


 七海が生まれてから、11年後、アタシが20歳になった頃に両親は死んだ。


 七海のオムライスも、ママそっくりだったな。


 食べたい。


 ――オムライス。


 甘いやつ。


 そう、ケチャップの匂い、砂糖が入った卵の甘ったるい匂い。


 匂い?


 ふと目を開けると、目の前に()()()()()()()()()()()()



「嘘……だろ?」


「はは……ははは」


「これがここから出る――攻略の糸口ってか?」


「……」


「……くそ! くそ、くそ!」


「んぐっ……うめぇ……う、めぇ……グスッ」



 口いっぱいにオムライスを頬張り、涙を拭いて前を向く。



「どこの誰かしらねーけどな……上等じゃん!」


「やってやんよ!」


「ゲームディレクターはな! 諦めがわりぃんだよ」


「ばーか!」



―第40話・第2部につづく―

どうも!せーぶうわがきです!


幕間もこれで終わりです!

次回から上記の通り、第2部スタートいたします!


ここまで毎日投稿してきたのですが、第2部からは "週2更新(水・土)" でやっていこうと考えています。

第2部40話は、明日!2月11日(水)に投稿いたします!


今後とも末永く、セレスたちをよろしくお願いいたしますー!(●´ω`●)

-----

そして、実はゲームディレクターは、プロモーション(宣伝)は専門外にしている方が多いです。

専門のマーケター、プロデューサーが本来担う仕事だからですね!


しかし、第1部の凪は、プロモーション周りの知識もあり成功させました。

ゲームディレクターの彼女が、プロモーションが強かったのは小鳥遊Pの存在が大きかったということですね

もちろん、第7話の凪がセレスに言った「可愛いは正義だよ」も、小鳥遊Pの受け売りです(●´ω`●)


今後小鳥遊Pは出てくるのか否か…………分かりません!(´・ω・`)←エッ?

お楽しみにお待ちくださいw


ゲーム業界では会社にもよりますが、あの部長のようにイヤァなやつ、足を引っ張ってくるやつ、会社の政治など色々あります。

凪はゲーム作りの邪魔をする人間はことごとく見下すタイプのクリエイターです。

よろしくお願いします!


では、今回のあとがきはこの程度で!


皆さん!

第2部!!!第2部でお会いましょう!

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