第34話『はふぅ……くちゅ、くちゅ……こくん』
『良い子の皆~?』
『あつまるのじゃぁぁぁ!』
『休憩時間は、終わりじゃぞい♪』
『トイレには行ったかの~?』
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いったぁぁぁぁ!
うわぁぁぁい!
ぞいぞいぞーい♪
なんだろう……3歳に戻った気分に
ぞいぞいぞーい♪
おばあちゃぁぁん!
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『うぅぅぅんむっ! 良い返事じゃ♪』
『って、誰がおばあちゃんじゃ!』
『"美少女" マキナちゃんじゃ!』
『――うむ、よろしい!』
『では…………いくぞぉぉぉいっ!』
"デア・エクス・マキナ" の掛け声が響いた瞬間――ドカンと音を立てて、花火が連続で打ち上がる。
『チキ★チキ!』
『ワールド:日本&中国コラボフェス!』
『第二回戦! "管理AI 人気投票バトル" の開催じゃ~!』
『バトル方法を解説するぞい!』
『まず、"日本:セレス" と "中国:ユイシェン" には、LIVE配信をしてもらうのじゃ』
『LIVE配信は、同時に実施するぞい』
『投票は、"1人2回" まで』
『大事に投票してくれなのじゃ』
『ふむふむ』
『どうやってLIVE配信を見るのか……いい質問じゃ♪』
『良い子の皆には、この特設ステージにアバターとして降り立ってもらうぞい』
『それぞれのLIVE配信のステージがあるから、そこに移動してくれなのじゃ』
『ステージの空間は、完全にシャットアウトされておるから音漏れなんかもナッシングじゃ』
『解説はここまでじゃが、分かったかの~?』
『――うむ!』
『良い返事じゃな! よしよしじゃ♪』
『それでは、LIVE配信スタートじゃ~!』
"デア・エクス・マキナ" の配信が切れるとともに、特設ステージに様々なアバターが無数に召喚される。
蜘蛛の子を散らしたように、一斉にそれぞれのステージに飛び込んでいった。
***
『……どうも~、皆さん』
『ワールド:日本 管理AIのセレスです~』
『今、私は "ホシ娘" の開発現場に来ています』
『どんなAIたちが働いているのか……初公開ですよ~♪』
『では、潜入開始ぃ』
ステージ中央の大型モニターには、セレスがコソコソと歩いている映像。
まるでドキュメンタリーかスパイカメラのように、開発現場の内部が映し出されていた。
『早速、第一開発メンバーをはっけーん』
『おや~?』
『ピコピコとゲームをして、サボっているようですね』
『彼女はシナリオAI:ブラン』
『最近、ホシ娘の二次創作ゲームにハマっているようで』
『ですが、今はお仕事中。これはいけません』
『ふふ……お灸をすえてきますね♪』
モニターの中のセレスは、寝そべりながらゲームをしているブランに近づいていく。
そして、耳元でささやいた。
『ブ・ラ・ン』
『んぁっ……!』
『セレス』
『そんないきなり……ダメですの』
『まだ夜じゃ――』
『あ、あの~……カメラ回ってるんですが』
『あと、仕事してください』
『んな!』
『は!? 聞いていませんの!』
『で、出て行ってくださいましっ!』
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百合なの!?!?
もっとやれ……もっとやれ……
ゴスロリ美少女×着物美少女。ゴクリ♡
二次創作ゲームやってたwww
ぼくの作ったゲーム……ウソ
↑開発者降臨!?!?
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『あはは。追い出されてしまいました』
『ですが、私、セレス』
『こんなもんじゃへこたれません!』
『次……行ってみましょう♪』
***
『カッカッカ!』
『セレス、やりおるわい』
『ゲーム開発現場は、プレイヤーは見たくても見れない秘匿された空間』
『隠されているモノを、見たくなってしまう――"カリギュラ効果" 』
『口コミによる宣伝 "バイラルマーケティング" を狙うとはの』
『……じゃが』
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【現在の得票率】
セレス:7%
ユイシェン:32%
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二人のLIVE配信を見ている "デア・エクス・マキナ" は、得票数が表示されたウィンドウを見ながら一人つぶやく。
『ユイシェンは圧倒的じゃ』
『投票回数には限りがある』
『序盤から得票率を上げる作戦は、セレスへの攻撃にもなっておる』
『上手い作戦じゃ』
『そして、この時点での投票は、圧倒的な満足度とイコール』
『まさか "料理×ASMR配信" で攻めてくるとは思わなんだ。』
※ASMR=聴覚・視覚への刺激によって心地よさ、脳がゾワゾワするといった感覚
***
――ジュウウウウ。
ジャッ、ジャッ、ジャッ!
空中を踊る米と卵。
黄金の香りが空間に広がっていく。
視界いっぱいに盛られた、数々の中華料理。
視聴者の喉が鳴る。
ユイシェンが、カメラのこちらへとじりじり顔を寄せる。
艶めいた唇――その囁きは、音ではなく刺激として脳を貫いた。
『クク……民草よ』
『いつまで惚けておる』
『余がせっかく食べさせてやるのだ』
『早よ、余の前に跪け』
ステージの周りに立っていた無数のアバターが、一斉に跪く。
『佳い眺めだ』
『さぁ、口を開け』
『あーん』
――ちゅぷっ。
じゅるっ、じゅわぁ……。
はふぅ……くちゅ、くちゅ……こくん。
『ククク……本気で、余の手から食べさせてもらえると思うたか』
『臣民ならば、考えてやらんこともないがな』
『さて、次は刀削麺にいくとしようか』
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ヤバい、脳がとけるって
臣民になりますからぁぁぁ!
小籠包!唇!小籠包ぅぅぅあああ!
嗅覚、聴覚、視覚……全部ダメなった
我が王。今日は大きい!
え、我が王、小さいよ?
まさか全員見てる王が違う!?
どんな技術だよww
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『(ククク……ようやく気付いたか)』
『(プレイヤーの今までのデータを解析)』
『(現実世界での脈拍・体温・呼吸数などによって、"理想の容姿・性別・声" を余に適応)』
『(そして、ASMR――自律感覚絶頂反応がもたらす脳への快感)』
『(言うなれば、究極のASMR……抜け出すことなど不可能よ)』
『(加えて、元々の中国と日本のプレイヤー数の差は歴然)』
『(先に余が、得票率を上げておけばセレスに逆転の道なし)』
『(さて……一気に畳みかけるとするか)』
投票の呼びかけをしようとしたその刹那――ユイシェンの目に異様な光景が飛び込んできた。
ユイシェンのLIVE配信の視聴数が、増減を繰り返す。
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おい、日本ヤバくね?
SNS見てみろって!
早く行かねーと終わんぞ!
おい!我が王も見てるんだぞ!
弾幕薄いよ!何やってんの!
王!王!王!王!
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『――何事か』
***
――ドンッ! ドンッ! ドンッ!
重低音が空間を揺らすたび、ステージが赤く脈打つ。
ステージの周りには、呼応するように、カラフルな光の波が大きくうねる。
波の中心に、ただ一人、少女が立っていた。
きらびやかなアイドル衣装。
握りしめたマイク。
額から頬へと伝う汗さえ、彼女の存在をいっそう輝かせる。
『はぁ……はぁ……』
『二曲目!』
『いっくよー☆』
『"わたしにバグって" ♪』
―第35話につづく―
どうも!せーぶうわがきです!
今回怒涛の展開にしてみましたが、いかがだったでしょうか!
セレスのLIVE配信のコメントにあった「ボクが作ったゲーム」のコメント主。
覚えているでしょうか。
忘れちゃったという方!
第23話をご覧くださいませー(∩´∀`)∩
そして、マキナちゃんが言っていたカリギュラ効果、懐かしいですね。
第7話ぶりの登場です! ええ、そうです!
セレスたんにとって集大成というやつですね。
他にもいっぱい語りたいことがあるのですが、長くなってもアレなので今回はここまででw
(ASMRは未来のASMRで、私の願望がすごく入っていますw)
では!第35話でお会いしましょう(/ω\)




