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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
第1部

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33/43

第33話『かわいいねぇ! 鮫ちゃん、かわいいねぇ♡』

 戦場を見据える "無機質な少女" の瞳は、氷のように冷たく場を支配していた。


 青白い髪を揺らすたび、サイバー装甲がかすかにきしむ。


 背後には大砲を積んだ機械鮫きかいざめが静かに旋回(せんかい)――その姿は、まさに "完成された人型兵器" だった。



─────────────────

俺たちの断罪ちゃん大丈夫そ?

   凍ってる?うごいてぇぇぇぇ!


 こうなったら終わりだな

        ↑↑どういうことや?


……来るぞ

     うわ、トラウマだわコレ

─────────────────



 戦場の張り詰めた空気とは裏腹に、コメント欄は熱を帯びていく。



 コメント欄の弾幕が最高潮に達すると同時に、機械鮫の口腔奥で黒い渦が回転し、光が暴れ狂う。



 閃光が走った刹那―― "断罪ちゃん" を包む()()()()()されていた。



「うわ~……えげつねぇ」


「今、音速超えてたな~」

「人間の反射神経で避けるだけでも難しいのに、凍結で動きを封じた後とか」


「"ワールド:中国" の代表レイドボス」

「初見殺しだな、こりゃ」


「終末学園ラストギア……氷后ひょうこうスノーリリスか。かっけぇじゃん」



 デア・エクス・マキナに用意してもらった専用VIPルームで、凪は一人感嘆の声を漏らす。



「まっ、このくらいしてくれないと困るってもんだがな」


「ふふ……()()()アダプティブAI同士のバトルだ」

「楽しいよな? 断罪ちゃん」

 ※アダプティブAI=相手の力量に応じて行動パターンを変えるAI



 届くはずもない凪の声に呼応するように、土煙の奥で異質なナニかが漏れ出てくる。



『…………ふひっ』


『ふひ、ふひひひひッ……あはははははははは!!』

『――アハッ、ひゃははははははははははははッ!!』


『あ"ァぁぁ……たのしい……タノシイ、楽しいねェ!』

『ねェ! ママァ!』



 ゆらゆらと出てきた彼女は、巨大なハンマーをゆっくりと拾う。


 "氷后スノーリリス" を見据えると、ハンマーを引きずりながら、壊れた人形のように歩き出した。



 ――ゴリ。


 ゴリ……ゴリゴリゴリッ!!



『もっと……殺し合いしよう? ね♡』

『ふひ、ふひひひひッ!』


『ひゃは! ア"ははははははははッ!』



 獣のように突進した "断罪ちゃん" が、"スノーリリス" に巨大な鉄槌を振り下ろす。


 最適解の方へ身を(かわ)される。

 同時に、機械鮫が後ろから出現し、マシンガンを放つ。



 ――ダダダダダッ!

 ダダダダダダダダ!



 予測していた通り、目にも止まらぬ速さで後ろへ走り出して回避。


 そのまま壁を駆け上がる断罪ちゃん。


 天井から垂れた巨大氷柱(つらら)をハンマーで叩き折る。


 次の瞬間、身をひるがえし、渾身の()りで氷柱を撃ち出した。



 命中。



 機械鮫は、火花を散らしながら鉄くずとなった。



『かわいいねぇ! 鮫ちゃん、かわいいねぇ♡』

『ふひひひひッ!』



─────────────────

いや……えぇ……こわっ!

         ホラーじゃん!


こんなん襲ってきたら漏れるわ!ww

   ワイ、美少女、オイカケラレタイ


ボスが環境を利用するてヤバない?

     

  日本の人、こんなんと闘ってんの!?ww

─────────────────



『……ふふ』



 今まで無表情を貫いていたセレスが、ユイシェンを横目に微笑む。



『何事か、セレス』

『言いたいことがあるなら、言うがよい』



『あぁ、ごめんなさい』

『思い出し笑いしてしまいました』


『今の時代、"アダプティブAI" は確かに当たり前でしたね』

『ふふふ』



『――貴様』

『あのような合理性の欠片もない戦闘が、AIと呼ぶのもおこがましい』


『開発コストが足らなんだか。滑稽とはまさにこの事よ』



『合理性、ですか……』


『ユイシェン、これはゲームなんです』

『アダプティブAIは、別名 "適応型AI" と呼ぶのは知っていますね?』


『プレイヤー行動に適応し、"全て上から潰す貴方あなたのボス" と "全てを利用する私のボス"』


『まさに、静と動』

『果たして、プレイヤーが()()()()()()()()()()()()でしょうね♪』



 二人の間に、見えない火花が散る。

 ユイシェンはプイっと顔を背けつつも、唇の端に()()()()()()を刻んだ。




 機械鮫を失った "スノーリリス" は、無表情のまま、静かに浮き上がる。


 美しい青い髪が、クリスタルのように光り輝く。


 そして、小さな口が開くとともに呪いの言葉が漏れ出る。



氷楼ひょうろう結界けっかい……』



 ドーム型の氷の結界が、断罪ちゃんの逃げ場を塞ぐ。



 ――ゴリゴリゴリッ!!


 彼女が出した選択は、突進――術者本人を叩き潰すことだった。



氷鎖連縛ひょうされんばく



─────────────────

…………あ

    オワタ

  【悲報】断罪ちゃん、終了のお知らせ


再凍結キタァァァ!


最初の砲撃で、H()P()()()()()なったもんな

─────────────────



 スノーリリスは、HPを消費して、機械鮫を瞬時に複製する。


 そして、口腔奥で黒い渦が回転し、光が暴れ狂う。



 その刹那――



断罪領域ジャッジメントエリア再臨リブート



 凍結から抜け出した断罪ちゃんは、スノーリリスの砲撃を()()()()()に弾く。



『ふひっ♡』

断罪の終焉ジャッジメント・エンド



挿絵(By みてみん)



 白い髪が瞬く間に、燃えるような赤色に変色する。


 砲撃の反動で動けないスノーリリスの頭を、容赦なくつかみ思いっきり床に叩きつけた。



 ――ゴン!



『アハッ、ねぇ? タノシイ?』



 ゴン! ゴン!



『ふひひひひッ!』

『ボロボロの顔、かわいいねぇ! かわいいねぇ♡』



 スノーリリスの顔を、愛おしそうに頬ずりをすると、耳元でささやいた。



『ねぇ、知ってるー?』

『ママたちの "障害" を壊せるのは、断罪ちゃんだけなんだってェ』


『障害を壊してぇ……いっぱいヨシヨシしてもらうんだぁ』


『障害ってナニ?』



『……()()()?』



『ふひっ♡』


『障害っ!』


『しょうがいっ!』


『ふひ、ふひひひひッ! 障害っ!!』



『……壊れちゃった?』


『はぁ……あきちゃったぁ』

『たのしくなーい』



 ボロボロになったスノーリリスの頭を、ポイっと壊れたオモチャのように投げ捨てた断罪ちゃん。


 床に転がっていたハンマーをゆっくりと、天高く担ぎ上げる。


 断罪ちゃんの足元から赤い亀裂が放射状に走った。

 空気が震え、重力がきしむ。



『それじゃあね!』


『もう、ママたちの障害になっちゃダメだよー♪』


女神の断罪デア・エクス・ヴァーディクト♡』


『――アハッ、ひゃははははははははははははッ!!』



 空が割れた。

 星が()ちた。


 特設ステージを半壊させるほどの超新星爆発が、世界を白く染めた。



『終了! 終了じゃ~!』


『チキ★チキ!』

『ワールド:日本&中国コラボフェス!』

『第一回戦は~……"ワールド:日本" の勝利じゃ~!』



─────────────────

ちょぉぉぉぉ!ナニ最後の!

         変身したぞいっ!


ふひっ……癖になるでござる

      え、圧勝ってこと!?ww


いやいや残りHP10%じゃん!

      かんけい~♪ないさー♪


ねぇ知ってるぅ?

  断罪ちゃん仲間になるんだってぇ


  全裸でいくわ!!!ふひっ♡

         ↑↑↑↑きんもっww

─────────────────



「あっはははは!」

「断罪ちゃん、やってくれたなぁ♪」


「あとでしっかり褒めてやらんとな!」



 凪はモニターに目をやると、ユイシェンがセレスに突っかかってるシーンを目撃する。



「あはは、きっとセレスが(あお)ってんだろうなぁ」


「ユイシェンちゃん」

「断罪ちゃんの勝因は、第五世代AI―― "人格" を持ってるってところだよ」


「言うなれば、断罪ちゃんはボスでもあり、プレイヤーとしての楽しみも知っている」

「断罪ちゃんが毎日やってるのは、レイド戦じゃなくて、PvPだ」


「PvPの必勝法は、最終的には心理戦」


「"非合理を選択できない" 第四世代AIのスノーリリスちゃんは、始まる前から負けが決まってたってことだな」


「ふひっ……あ、いかんいかん」

「可愛すぎて移るわ、コレ」



 "デア・エクス・マキナ" に怒られて、連行されているセレスを愛おしそうに見つめる凪。



「さぁ、セレス」

「第二回戦は、お前の番だ」


「みんなの力で勝とうな」



「さーて、アタシも準備運動始めますかねぇ!」



―第34話につづく―

どうも!せーぶうわがきです!


(今回解説で長いので、不要な方は飛ばしてください!)

断罪ちゃんの勝因ですね!

凪の言う通り、勝負する前から実は勝ち筋を見出しておりました。


残りHP10%で終了したのも戦略です。

断罪ちゃんがした戦略を書き出しておきます!


①最初の凍結+砲撃

 →まず凍結対策をしていないと誤認させるため(非合理)

 →またHPを50%以下まで減らすため

②HP50%以下を条件に「断罪領域・再臨」を発動

 →この技は全状態異常を強制解除する技。最後まで取っておいた(非合理)

③最後の砲弾を右手を犠牲にダメージを食らう

 →HPを10%以下にするため(非合理)

④HP10%以下を条件に『断罪の終焉』を発動

 →赤髪に変身

 →いわゆるオーバースペック、オーバーロードです

 →攻撃力超アップ+数秒間無敵

 ※プレイヤーからすると、最後の悪あがきです(ここを耐えれば勝ち筋が見えてくる)


⑤あとは楽しく蹂躙タイムです


という算段になっていました。


また、第30話でコラボ直前に、凪が復活回数を2回から5回にしていましたね。


2回→即応能力を磨く教育

5回→観察眼を磨く教育

いわゆるアダプティブAI+第五世代AIとして、1プレイヤーとしての経験値を積ませるためです。


以上!解説でした!

では!第34話でお会いしましょう(●´ω`●)フヒッ

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