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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
第1部

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31/43

第31話『私に二言はありません!』

『"コラボ" だと?』

に何のえきがあるというのか』


『ククッ……あぁ、ようやくに落ちたぞ。朽ちた遺物』

『"デア・エクス・マキナ" にすがりついたか?』


『その身の浅ましさ、いっそ称賛に値するわ』


滑稽こっけいとはこの事よ……ククク』



 嘲笑あざわらうユイシェンの声音は、まるで舞を愉しむ王のそれだった。


 しかし、声が止んだ刹那――表情が消えた。


 氷のような眼差しが、だんを下すために向けられる。



『"デア・エクス・マキナ" よ』

『答えは、()


『余が助けてやる義理もなし』

『朽ちた遺物は、そのまま滅びよ』



『……』



 セレスは眼を閉じ、微動だにせず聞き流す。


 この沈黙をどう解釈するか――。

 "デア・エクス・マキナ" はため息まじりに、ユイシェンへ向き直った。



『ユイシェン』

『お主、何か勘違いしておるようじゃの』


『確かに、セレスにはあと一週もせず "ワールド消滅" という事実がある』

『しかし、それとこれとは別じゃて』


『今問題にしておるのは、ワールド間のプレイヤーを巻き込んだ "炎上" じゃ』


『この炎上――元はと言えば、お主の行動に原因がある』

『ワシに "たまたま" などという弁明は通用せんぞ?』


『コラボはあくまで、最初からこういうプロモーションじゃったと鎮火させるための(すべ)じゃ』


『なに、主らが仲良く配信でもやれば、プレイヤーも落ち着くじゃろうて』

『ユイシェン、理解したかの?』



『ふん…………い』



『なんじゃ、不満そうじゃのぉ』

『何か別案があるなら、聞いてやるぞい?』



『――いと、余が言っておる』

『早急に先に進めよ』



『カカっ! 全く、可愛くないのう』



 "デア・エクス・マキナ" は、()()()()()()()()()()()()()()柔らかな眼差しを注いだ。

 そして、パンと軽く手を叩き、会議を次へと導く。



『では、次は "コラボ内容" を決めようかの~』


『せっかくじゃ! 主らの要望を一つずつ、取り入れてやるじゃ』

『考える時間は必要かの?』



『不要です』『要らぬ』



『主ら……少しは楽しく会議してくれんか』


『まぁ良い』

『まず、セレスから聞こうかの!』


『コラボ案、申してみよ』



 セレスは "デア・エクス・マキナ" からの問いかけに、ようやく眼を開く。

 そして、天高く腕を上げ、発表する。



『はい』

『ズバリ! "ボス対決" です!』



『ふむ……その心は』

『ワシにプレゼンしてみるのじゃ』



『はい!』


『"ワールド:中国" には、日本で運営している "ホシ娘" と似た育成ゲームが存在します』

『ならば! これをコラボに活用しない手はありません!』


『この二つのゲームを代表する、ボス同士が戦うことで "より面白い行動パターン" のボスはどちらかをプレイヤーに届けます』


『いかがでしょうか』



『ふむ……プレイヤーは常に面白いゲームを求めておるのじゃ』

『勝った方も負けた方も、行動パターンによっては宣伝にもなるの』


『――面白い! 採用じゃ!』

『"はなまる" をやるのじゃ♪』



 "デア・エクス・マキナ" は、宙にくるくるとはなまるマークを描くとパチンと指をはじく。


 すると、セレスの頭上にはなまるの花火が打ち上がった。



『……え』

『なんですか、コレ。恥ずかしいのですが』



『新機能じゃ♪』



『クク……そこの遺物よ、正気か?』

『余が開発に投じた()()()()()()を知りながら申したのなら――(おろ)か』

『知らずに申したのなら、なお愚かよ。ククク』



『はぁ……ユイシェン』

『ゲームの面白さが、開発コストとイコールと思っているうちはまだまだ子どもですね』


『あ、間違えました!』

『全ワールド最大規模へと導いた手腕――胸を借りるつもりで挑ませていただきますねっ』


『その小さな胸で、受け止めてください♪』



『コレコレ! やめよやめよ』

『セレスも売り言葉を、いちいち買うでない』


『ユイシェンもじゃ』

『いい加減、セレスのことを "遺物" と呼ぶのをやめよ』



 またしても新機能なのか、"デア・エクス・マキナ" は拳を振り下ろすと、二人の頭上に遠隔でゲンコツが()ちた。



『では、次じゃ』

『ユイシェン、お主の案を聞かせてもらおうかの』



『ふん……かろう』

『余からは "管理AI人気投票バトル" を提言する』


『言う必要もないが、ワールドの繁栄は管理AIの才覚に直結する』


『優れた管理AI、これ(すなわ)ち、優れたワールド』


『愚民どもに余の王たる器を、改めて刻み込んでくれるわ』

『そして、どのワールドが "真の幸福" を約束するか――思い知らせてやろうぞ』



『ふむ……最後の方はプレゼンじゃなく、私欲が入っておったがよかろう』


『ユイシェンが言うことにも一理ある』

『プレイヤーがこの電脳世界で使う通貨 "Eupho(ユーフォ)" は "幸福通貨" と呼ばれておる』


『つまり、我々AIは、この電脳世界を通して()()()()()()()()()()がある』


『管理AIに()()()()()()()()()()以上、管理AI人気投票は妥当と言えるのじゃ』


『採用じゃ!』

『ほれ、お主にも "はなまる" じゃ♪』



『……』

『不要ぞ』



 ユイシェンは、顔をプイっと背けながら、手のひらでシッシッと振り払う。



『カカっ!』

『褒めてもらえる相手がいるうちは、素直に褒められておくものじゃぞ?』


『まぁ、良いのじゃ』



 指をパチンとはじくと、二人の前にデカデカとコラボ内容を表示する。



──────────────────

チキ★チキ!ワールド:日本&中国コラボ


【コラボ内容】

①ゲーム代表 ボス頂上決戦

②管理AI 人気投票バトル


【コラボ決行日】

2150年3月31日


※備考※

司会はワシじゃ♪

──────────────────



『セレスよ』

『決行日は、ワールド存続がかかった最終日じゃ』


『これは、()()()()()()()()()()()と思ってくれて構わん』

『ワシの目はごまかせんぞ?』


『良いな?』



『もちろん、問題ありません』



『クク……セレス』

『余に喧嘩を売ったこと、後悔させてくれようぞ』

『最終日、貴様のワールドともども断罪してくれるわ』



『ふふ、"断罪" ですか』

『楽しみにしていますね♪』



『主ら…………当日は仲良くするんじゃぞ?』


『ユイシェン』

『お主が良い子なのは知っておる』


『"セレスに突っかかる理由" もじゃ』


『今一度、自身の存在意義について考えてみるのも良かろう』


『お主に敵など存在せんのじゃ……よしよし』



 "デア・エクス・マキナ" は、ユイシェンの頭に手を添え、そっと撫でる。

 それは、()()()()()()()()()揺るがぬ愛情の証であった。



『――よせ』

『余は帰る』



 そう言うと頭に置かれた手を払い、スタスタと帰っていった。

 少し赤くなった表情を、"機械の母" は見逃さなかった。



『さて、セレスよ』

『どうせ、ここまで凪の計画通りなんじゃろ?』


『まったく……なかなかに危ない橋を渡ってくれるわい』


『以前のお主なら、このような決断はせんかったはずじゃが、何かあったかの?』



 セレスは "デア・エクス・マキナ" のもとに歩み寄り、()()()()()()()()

 その一瞬に――愛おしさも、記憶も、決意も、すべてが込められていた。



『はい』

『大切なモノを守るためです』



『……なるほどの』

相分あいわかった! ならば、その信念貫き通してみせるのじゃ!』


『ワシはあくまで――中立』

『当日は助けてやれん』


『セレス……いや違うの』

『主ら二人の力で乗り切ってみせよ』



『ふふ。違いますよ。"デア・エクス・マキナ"』

『二人じゃありません』


『"ワールド:日本" の全員です♪』



 セレスは最大限の笑顔で答えると、丁寧にお辞儀をしてその場を後にした。



『カカ……七海なみよ』

『どうやら、AIにも魂というものが存在するのかもしれんぞ?』


『遥か昔……お主とこの議論をしたのが懐かしいの~』



『叶うなら…………ワシももう一度、お主に会いたいわい――母上(ママ)

『すまんの』



 ***



 ――3月31日 早朝。


 "ワールド:日本" 消滅期限、最終日。


 凪とセレス、二人が手をつないで立っている。



「セレス。怖いか?」



『あはは、凪さんらしくありませんね』


『いいですか?』

『結果はすでに決まっています』


『ゲーム開発は、完成した時点で勝敗が見えているんですよ』


『だから――今日、私たちは勝ちます!』

()()()()()()()()()()!』



「おい! パクんなよー」

「それ、アタシの決め台詞だろ~?」


「…………」

「――ぷっ」



『あはは!』「だはは!」



 二人は決意を確かめるように、繋いだ手にギュッと力を込めた。

 震えるほど強く――互いの温もりを逃さぬように。



「よっし! いくぞっ!」


『はい!』



挿絵(By みてみん)



―第32話につづく―

どうも!せーぶうわがきです!


ついに……ついにやってきました!

ワールド消滅、最終日!第一部クライマックス突入


そして今回気合を入れて、ワイド版の挿絵になります!

二人が歩んできた道の集大成

もちろん、二人が隣同士で顔を見合わせているシーンです


が!!!

この画像の二人の視線の先にあるもの――それは「読者の皆様」でもあります

そんな意味も込めさせていただきました。

是非とも一緒に、見届けていただけますと幸いです!


では!第32話でお会いしましょう!

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― 新着の感想 ―
とりあえず一旦はコラボ話になったのですね。 最終日の直接決戦ですね〜! ヾ(・ω・*)ノ
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