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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき


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2/12

第2話『ゲーム開発なめてんの?』

「おーい、そこのメンヘラファッションのナビちゃん?かな」

「ここってなんのゲームなんだ?」

 


 大きめのTシャツに下着以外なにも履いていないであろう女性が、ポリポリと気だるげに頭を掻きながら近づいてくる。


挿絵(By みてみん)



『グズっ……誰がメンヘラファッションですか』



 ぐしゃぐしゃの顔から、スッと無表情に切り替えるセレス。



『私はこの 電脳世界 "ワールド:日本" を管理するAI。セレスティス・ノット』

『通称セレ――』



「え、大丈夫か?」

「涙と鼻水でべしょべしょだったけど落ち着くまで待つぞ」


「メンヘラは無理しちゃだめだ」

「ほら、ゆっくり深呼吸して……待ってるから」



 気だるげな女性は、本気で心配そうに覗き込んでくる。



『私はこのワールドの管理AIです!』

『メンヘラでもありません!』


『そして、あなたが聞いてきたのでしょう!』



「おほっ、感情表現が豊かなAIだこと」

「そういうことであれば、続けてどうぞ」

 


 ピクっと眉を跳ねさせたセレスは続ける。



『ここにはユーザーは入れないのですが、どうやって入ってきたのですか?』

『あと、どなたですか? IDを提示してください』

 


 パチンと指を鳴らし、気だるげな女性の前にウィンドウを開く。



「……ID? 普通、初期登録からだろ?」

 


 やれやれ、というジェスチャーをしながら答える。



『は? ハッカーが、何をとぼけてるんですか』

『サイバーセキュリティに突き出すので、ここに情報を入力してください』


『非協力的だと、罪が重くなりますよ』


『もう、世界を始めないといけないのでさっさとしてください』



 パチンと指を鳴らすと、個人情報の入力欄にウィンドウ表示が切り替わる。



「やれやれ……変わったチュートリアルだなぁ」

「しかも、このナビ、ヘラってて言ってることわからんし」


「はぁ……開発者の顔が見てみたいとはこのことだ」



 気だるげな女性は愚痴を漏らしながらも、入力を済ませる。


 セレスは怒りを抑えながら、入力された情報をインプットするコマンドを口にする。



INSERT(インサート)


『姓名:神岬 凪(かみさき なぎ)


『個人ID:不明』


『勤務先:株式会社エッジストリーム・エンターテインメント』


『職業:ゲームディレクター』




『――ゲームディレクター?』


『それに、株式会社エッジストリーム・エンターテインメント……』



 セレスの目が、文字通りチカチカ光る。



「おーい、大丈夫かぁ?」

「進行不能バグか?」


「個人情報入力させて、固まると怖いんだが」

「まさかどこかに流出させて――」



 気だるげな女性――もとい、凪はセレスのほっぺをぷにぷに触り始めた。



『――おい、ほっぺを触るな』



 セレスはペチっと、凪の手を払う。



「(感情……安定しないなぁ)」



『んんっ……ええ、進行不能バグでも個人情報流出でもないのでご安心を』

『あなたの個人情報に引っか……検索していただけです』


『で? あなた、どういう冗談ですか?』


『株式会社エッジストリーム・エンターテインメントは2077年4月に()()しています』

 


 セレスは、凪に "Wiki(ウィキ)Machina(マキア)" という情報サイトのウィンドウを展開した。



「……ん? こえーよぉ。どんなチュートリアルだよ」


「今は2()0()3()2()()7()()だろ? この前、5月にセミが鳴き始めただろぉ?」

 


 ダルダルのTシャツの(すそ)をつかんで、身構えながら応える凪。



『――は? ()()2()1()5()0()()ですが』

『…………』

『……………………いやいや、まさか』



 セレスの推論エンジンが与えられた情報を元に、ある仮説を提示する。


 セレスの目が、またチカチカと光り始める。



「おーい、やっぱりバグか? なんかバグのトリガー踏んじゃった?」



 そう言いながら、凪はセレスの頭をヨシヨシした。



『――』


『……えっと、神岬 凪。株式会社エッジストリーム・エンターテインメント所属』

『自らが企画した処女作 "妹これくしょん~異世界妹育成計画" が大ヒット』



「……頭はOKなんか。」



 頬が赤らむが、セレスは続ける。



『若干22歳にして新進気鋭の天才ゲームディレクターとして脚光を浴びる』


『雑誌記事のデータもありますね』



「おー、5年前のアタシのインタビューかぁ」

「はは、偉そうにろくろ回してんなぁ」

 


 凪は雑誌に写っている写真のポーズの真似をする。



『……どういう原理かわかりませんが、過去からこの世界にアクセスしているみたいですね』

『凪さん、あなたには未来とも呼べますが』



「…………」



『…………』



 二人の間に沈黙の時間が流れる。



「マj――」


『はい』



 予測してましたと言わんばかりに、セレスが凪の言葉を遮り、肯定する。



「どうやって戻ったr――」


『さぁ?』




「これからどうしy――」


『とりあえず、私の仕事を手伝ったらいいんじゃないですか?』



 セレスが置かれている "ワールド:日本のKPIの低下" と "凪の経歴" 。


 セレスの推論エンジンがこの答えを導き出すのは、至極当然、一瞬だった。



「仕事?」

「……う~ん」


「………………ま、いいっかぁ」

「うん、おっけーおっけー。で、仕事って何?」


 

 長い沈黙の後、凪はあっさりと気だるげに了承した。



『え、いいのですか? ノリで攻めてみましたが……』

 


 ようやく頭に置かれた手を払いのけるセレス。



「もう決めた。アタシに二言はないよ」


「どうせ元の世界に戻っても待ってるやついないし――」

「ま、とにかくおっけー。戻り方わからないし、ヒマだし」


「キミも困ってるみたいだし、ね」


「――泣き虫AIちゃん、ふふ。」



『セ・レ・ス! です!』



「はーいはい。セレスちゃん」

「とりあえず、仕事内容を聞かせてみな」



 セレスの頭をポンポンしながら要求する。



『かくかくしかじか、です』


 

 まんざらでもない表情をしたセレスが事情を説明する。



「いや、めっちゃかくかくしかじかって言ったな」


「表示されたウィンドウを眺めてたら、頭に入ってきたからいいけどさ」

「どういう原理だよ」



『……2150年の電脳世界ですよ?』



「それ言っておけば、なんでも通ると思ってるだろ」

「ま、使えるもんは使うけどさ」



『はっ……! 時間を取られすぎました!』

『世界を始める時間です!』


『そのまま体験してもらった方が早いので、とりあえず "ホシ娘" をプレイして感想をください』

 


 そう言うと、セレスは目を閉じ、世界を始めるコマンドを口にする。



『コマンド。ビルド済みのアプリケーションおよび関連リソースを、本番環境にデプロイ』


『メンテナンス状態を解除』

 


 セレスが目を開くとともに、暗闇だった背景に世界が展開される。


 文字通り、世界が目を覚した。



『 "ワールド:日本" のユーザーの皆様』


『おはようございます。管理AI セレスです』


『本日も新バージョン、ver2.3652.12をリリースしました』


『リリース内容はお知らせをご確認ください』



 セレスは無表情にアナウンスをする。



「おー、すごいな」

「じゃあ、アタシも "ホシ娘" とやらをプレイしに行くかなぁ」


「そんじゃ、セレスちゃん。また後でー」



 ―10分後―



「あのさー、セレスー」


「ゲーム開発なめてんの?」



 さっきまでの気だるげな表情からは想像できない、場が凍り付くようなトーンで凪は言い放った。



―第3話につづく―

どうも!せーぶうわがきです!

初回投稿に限り、2話まで投稿させていただきました!


今後は1ヵ月は毎日1話ずつアップさせていただきたいと思います(●´ω`●)


もし少しでも「面白かったぜ」「ちょっと様子見で読んでやるぜ」など思っていただけましたら、

是非↓↓↓の★や、ブックマーク、コメントをいただけますとわたくし飛び跳ねて喜びます!


そりゃもうドンドコドンですよ(●´ω`●)

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