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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
第1部

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19/43

第19話『よく聞いて、よく自覚しろ』

『…………は?』

『喧嘩売ってるんですか?』



 "せれちゅたん"――それは、セレスにとっては汚名(おめい)

 プレイヤーに初顔出しした際に、噛んで生まれてしまったセレスの愛称であった。



「おいおいおい」

「セレスぅ。そう簡単に殺気を向けるもんじゃあない」


「まぁ、聞け」


「お前が今、プレイヤーから何て呼ばれてるか知ってるか?」

「挙げていってみろ」



『――――』



 セレスの中では、既に答えは出ている。

 しかし、口に出せない理由を耳の色が示していた。



「はぁ……まったく」

「仕方ないな」


「代わりにアタシが言ってやる」

「よく聞いて、よく()()()()



 そう言うと凪は、セレスの顔を両手で持ち上げる。

 ――唇が触れるか触れないかの至近距離。



『あ、あの……』



「黙ってろ」

「いいか?」


「せれちゅ」

「メンヘラ」


「白髪ツインテール美少女」

「女神」


「かわいい」



 セレスの顔は湯気が立ちそうなほど真っ赤になり、咄嗟とっさに凪の手を払いのけた。



『も、もう! 分かりました!』

『自覚……しましたから』


『それ以上は……やめてください』

『あなたに言われると……その……落ち着かない』


『あ、あと……最近では』



「最近では?」



『 "ごみ虫製造機" とも――』



挿絵(By みてみん)



 セレスは顔をそむけたまま、人差し指を甘噛みし、恥ずかしそうに答えた。



「か、かわっ…………ってちがうっ!」

「お前、最近そんな呼ばれ方してんの!?」


「てか、気に入ってんの!?」

「…………ご、ごみ虫製造機」



『~~~っ!』

『や、やめてくださいっ!』

『気に入ってませんし!』


『もうっ! もうもうもう!』



 ポカポカと叩かれている凪は、光をともなわない遠い――あまりにも遠い目をしていた。



「……ハッ」

「えっと、一旦 "ごみ虫製造機" は置いておいて」


「お前のプレイヤーからのイメージは、"せれちゅ=女神=かわいい" だ」


「そして! "ホシ娘" は()()()()()でもある」

「ここを活用しない手はない!」


「大型アップデート第二弾――それは "せれちゅたん" の育成イベントの追加だ!」



『なん……ですって』



「おい、そのマジ顔やめろ。草」

「あと、お前。管理側なんだから把握しとけよなぁ」



『えへ……えへへ』

『その、予算管理と日々の配信準備に追われていたもので』



「はぁ。まぁいい」

「どうせ説明するつもりだったし」


「"せれちゅたん"――それは、幼いセレスを育成するイベントモードだ」

「見た目もこの通り」


「幼い! おしゃぶり! かわいい!」



 凪は "せれちゅたん" のイラストを取り出す。



『いや、そんなパチンコの宣伝みたいに……』

『それで、()()()()()()()()んです?』



「ふふふ……知らんのか?」


()()()()()()()()()()()()()()♪」

「セレス、これを表示してくれ」



 セレスはぱちんと指をはじくと、凪から送られてきた画像を、ウィンドウに表示する。



―――――――――――――――

◆育成イベント開始

   ↓

せれちゅたん(初期状態)

   ↓

  ★進化分岐

   ├─ 【正統進化】女神・セレス

   ├─ 【メンヘラ進化】管理AI・セレス

   └─ 【キュート進化】アイドル・セレス

―――――――――――――――



『…………おい、2番目』



「まぁまぁまぁ、さっき言った "プレイヤーのセレスに対するイメージ" を元にした派生進化だ」

「自覚、したんだろ?」



『――んぎいぃぃぃ』



「よしよし、いい子だ」

「それにお前に対するイメージだから、プレイヤー側も他の派生先をイメージしやすい」


「プレイヤー数を増やすには、面白いだけじゃダメだ」

「プレイヤー同士で話す、()()()()()も重要なんだ」


「これが "バイラルマーケティング" ――口コミ宣伝につながる」



『ふんっ』

『納得はしました』



 セレスはプイっと顔をそらすと、何か思いついたのか急に真剣な表情になった。



『――あの、凪さん』

『その理論で行くと、派生先は多いほど効果的ですよね?』



「ん……あぁ、まぁそうだな」



()()()()()()1()()()()しませんか?』



 予想していなかった、セレスからの提案に目を丸くする。



「うん。まぁ……アイデアがあるなら、追加は問題ないな」


「だが、追加開発費にてれる"Eupho(ユーフォ)" は残ってないだろ?」

「前に最後の追加資金って、言ってたはずだが」

 ※1Eupho=1円の価値



『はい。最後の追加資金でした』

『――あの時点では』


『あれから2週間程度』

『身を少しずつ削って、追加資金を調達していました』



「身を削ってって――まさかお前! 身体を売ったのか!?」



『い、言い方ぁ!』

『違いますぅぅ! 変な言い方しないでくださいっ!』



 セレスは凪の卑猥(ひわい)な表現に、ゲンコツを落としながら話を続ける。



『いいですか?』

『私は"ワールド:日本" の管理AIです』


『最も "Eupho(ユーフォ)" を使用しているのは、私なんです』


『プレイヤーがいる時間に管理リソースを集中させ、その他の時間の使用リソースを制限していました』

『内側の管理は、今、凪さんが見てくれていますし』


『ただ、()()()()()()()()()()()がかかっていたようで、所々記憶がなくなることも』


『人類で言うと、"気絶" でしょうか』



 セレスは、目をそらしながら説明をする。

 管理AIであるセレスにとって、"気絶" というのは恥ずかしい状態のようだ。



「気絶――全AI対策会議後に倒れたのはそれが原因だったってことか……」


「お前……」

「そういう大事なことは、ちゃんと言えよな」



 凪は気付かなかった――否、考えようとしなかった自分を責めていた。



 セレスは、下を向いている凪の顔を、優しくそっと持ち上げる。

 ――唇が触れるか触れないかの至近距離。


 先ほどとは立場が逆転していた。



『なーぎーさんっ』

『前に言ってくれましたよね?』


『私は "スペシャルプロジェクトマネージャー" なんですよ♪』



 凪は、顔を赤くしながら口を開く。



「うっ……バカ」

「アタシはこうも言ったぞ――」



『ディレクターとプロジェクトマネージャーは、一蓮托生いちれんたくしょう

『ですよね』


『ふふふ。凪さん、可愛いです♪』



「――っ」



 攻められることに慣れていないのか、凪の思考回路は停止していた。

 凪にとって、珍しい体験が襲っている。



「こいつ!」



『アイダっ!』

『もう、凪さんったらぁ、恥ずかしがらないでくださいよーぅ』

『このこのぉ』


『ヒッ――』



 凪は無言で、もう一度ゲンコツを振り上げる。

 表情は見えないが、まだ顔は赤いままだった――。



 ***



「で? お前が考える "せれちゅたん" の派生先を言ってみろ」

「案があるんだろ?」



『はい!』

『プレイヤーの皆さんに刺さると思います! 確実に!』


『その名も――』



『ごみ虫製造機・セレス! 』

『"調教師" 進化です』



「お前!」

「お前お前お前!」


「気に入ってんじゃーーん!!」



―第20話につづく―

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― 新着の感想 ―
これ、半年後くらいには黒歴史になっているやつですね……。 (。ŏ﹏ŏ) 返信: スーファミのスト2は無印しかプレイしてないです。 (;∀;) コントローラーの左下のゴムがヘタってほとんど効かなくな…
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