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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき


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15/16

第15話『んぎいぃぃぃ…………ウッ』

 セレスは、世界が展開されると同時に "カメラON" にした。


 一片の迷いもない――否、曇りきった死んだ魚の目のツインテール少女が映し出される。



『"ワールド:日本" のユーザーの皆様』

『おはようございます』


『管理AI セレスです』



 ピロン……ピロピロピロン……ピロン♪

 ぎこちない通知音が鳴り響く。



─────[CHAT LOG]─────

> 眠り姫@午前二時:み、水着……だと!?

> 虚数れいな:あぁ……ただの天国か……女神よ。


> おやすミント先生:せれちゅたん!?どうした!ww

> もっちり餅きんぐ:水着とテンションが一致してないwww

> ぬるぽ民:我らが日本の女神は……迷走しておられる。


> 空飛ぶサバ缶:なんか……かわいそうになってきたなw

───────────────



「(はぁ……ヤレヤレ)」


「……おい、セレス」

「カンペだ。これを読め」



 こうなることが分かっていたように、凪は一枚のカンペを差し出す。


 そのカンペを見るや否や、セレスの顔は一気に青ざめた。



『……な、凪さん!?』

『私にコレをやれと!?』



「いいか? 仕事だ」

「お前の本気を見せてみろ。プロだろ」



『……な、なんのプロですか!』

『んぎぎいぃぃ――』



 言葉とは裏腹に、ニヤニヤ顔を隠しきれていない凪。

 そんな彼女を呪いつつ、セレスは意を決したようにゆっくりと目を閉じる。



『…………』


『あはは、嘘ですよー!』

『"ワールド:日本" の皆さん、心配かけてごめんなさい♪』


『いつも "カメラOFF" だったので、まだ慣れてないんです』

『なので、大目に見てもらえると嬉しいなっ!』


『てへぺろこつーん★』


『…………なーんちゃって』



挿絵(By みてみん)



 セレスの迫真の演技に、チャットウィンドウは静寂に包まれる。



『(死にたい――!)』



 セレスは真っ赤になった顔を、手で覆い隠す。



─────[CHAT LOG]─────

> 白猫みるく:やばwww

> 終末のあやめ:メンヘラ女神せれちゅたん誕生!

> おやすミント先生:なんなんこの可愛い生き物wいやAIw

> しらたき系男子:恥ずかしいんかいwww

> ぬるぽ民:皆の者……これが我らが日本の女神……すこるのだ。

> 一番弱いボスです:せ・れ・ちゅ! せ・れ・ちゅ!

───────────────



 セレスが顔を覆い隠すと同時に、チャット欄が()()()()()



「……おい、セレス」

「お許しが出たぞ」

「……いけいけ、ほら。パンチ、キック」



 凪の謎の応援――指示にセレスは、真っ赤な顔を引きつらせながら続ける。



『み、皆さーん、ありがとうございます~♪』


『ここで皆さんに重大発表です!』

(きた)る2150年3月1日に…………ワールド:日本大人気の "ホシ娘" を大型アップデートしまーす!』


『この大型アップデートはこちらを予定しております♪』



 セレスはパチンと指をはじくと、大きなウィンドウを表示する。


───────────────

【3月1日:大型アップデート内容】

①新イベント:協力型バトルイベント

②新しい育成モード

③管理AIセレスとのコラボ

───────────────



 大型アップデート内容を展開すると、一気にチャット欄がざわつき始める。



『そう! 今回は私、セレスが "ホシ娘" とコラボしちゃいます♪』


『ふむふむ。どんなコラボなのか、ですか』

『ふふふ……いい質問です』



 セレスは再度、指をはじくと新ボスイラスト "断罪領域の支配者セレス" を展開する。



『協力型バトルイベントのボスとして登場します!』

『しかも、一定の条件を満たすと、仲間になるとのこと』


『仲間にして、育成して、ハウジングモードでお茶だってできちゃいますよ~♪』

『皆さんに会えるのを楽しみにしてますね♪』


『それでは、管理AIセレスからのお知らせでした!』



『あっ! そうそう』

『今回のこの配信は、()()()()()()()()()()()()ので』


『……』

『駄々をコネてもダメですー!』

『恥ずかしいので。ダメって言ったらダメなんですー!』


『では、皆さん』

『3月1日に会いましょう♪』



 そう言うと、セレスは配信を終了する。


 そして、そのまま()()()()()()()()()()()()



「あはは……こりゃまた長そうだ」



 ***



『聞いてますかねぇ? 凪さーん』

『凪さんがぁぁ、この水着を着て、宣伝すればよかったんじゃないんですかねぇ?』



 あれからしばらく()って、戻ってきたセレスは酔っぱらっていた。

 日本酒であろう一升瓶(いっしょうびん)を持って、ここ1時間くらい凪に絡んでいる。



「あのー、飲みすぎじゃないかなぁ? セレスちゃん」


「…………あとAIって酔うのかよ」



『聞こえてますらぁ……AIが酔っちゃいけないんですかぁ?』

『まーたAI差別ですかぁ』


『はぁ……これらから人類は』

『いいですかぁ? ()()()()()()してぇ、仮想神経に流し込むことで酔いを体験できるんですぅぅ』


『これも、人類と友好関係を築くために、作られた "ぎじちゅ" なんですよぉ』

『飲まんとやってられんってもんですよ』


『凪さん! 今日は頑張ったんだからもっと甘やかしてくらさいっ!』

『そのおっぱいは何のためについてるんですか!』



 セレスはそう言うと、凪の胸にドカッと頭を沈め、悠々自適に枕にした。



『なんなんですか! このふかふか!』


『それにこんな……スーハー……甘い……スゥゥゥ……匂いさせて!』

『私への当てつけですか!? 小さい私への当てつけですか!?』


『――』

『だぁぁれが小さいですかっ!』


『んぎいぃぃぃ…………ウッ』



「おい! AIが吐くのかわからんが、もうやめとけ!」


「頑張った! セレスちゃんはめっちゃ頑張った!」

「偉い! 天才! かわいい!」


「あとの仕事はアタシに任せておけ」

「なっ、はい! おやすみ~」



 ――次の日――



『えっと、その……昨日は、大変申し訳ありませんでした』



 凪の前で女神ともてはやされた管理AIとは思えない――美しい土下座にて許しを乞うていた。



「あ、セレスさん」

「大丈夫ですよ。昨日はお楽しみでしたね」

「仕事は全部しておきましたので、気にしないでください」



『よそよそしくしないでくださいっ!』

『あと、その笑顔もやめてください!』



「あはは、ウソウソ」

「セレス、それよりMAUを見てみな♪」



――――――――――――――――――――

【現在:2150年2月16日 MAU】

5,005,009人


【1,000万人未達成の場合:ワールド消滅】

※期限:2150年3月31日まで(2/14改定)


あと4,994,991人

――――――――――――――――――――

※MAU=ひと月に1回以上、"ワールド:日本" に訪れるユーザー数



「どうだ! ざっと38万人程度増えてるぞ」

「2月14日にバイラルマーケティングを始めて、初日約10万人増」


「これはもはや()()と言ってもいいレベルだ」



『え、こんなに!?』

『水着を着て、告知しただけなのに……』



「もちろん、お前の可愛さと、告知内容が良かったってのもある」

「が、肝は()()()()()()()()だ」


「覚えてるか?」

「"この配信は、アーカイブには残しません" って言ったの」



『はい、覚えてます』

『後で聞こうと思っていたのですが――』



「"スノッブ効果" だ」

「"希少性に価値を持たせる効果" だな」


「アーカイブしないと伝えたことで、()()()()()()()()()とお前の水着姿に価値を見出した」


「きっとプレイヤーがすかさず保存した、画像や動画が出回ってるんじゃないかな」



 セレスは青ざめた顔で、目をチカチカと光らせた。

 どうやらネット検索――エゴサーチをしているようだ。



『…………』

『…………はぅ』



 セレスの顔はみるみるうちに赤くなり、手で顔を覆った。



「ふふ、その様子じゃ、正解だったようだな♪」



『……もうお嫁にいけません』



「AIだろ」



『…………はぅ』



 凪は、赤面しているセレスの顔をむにゅっと(はさ)み、目を合わせる。



「さぁ、セレス!」

「宣伝は大成功だ!」

「あとは、情報を小出しにしていきつつ、このまま開発をガンガン進めるだけ!」


「ここからは "リリース日の3月1日" まで、一気に行くからな!」


「あ、セレスは引き続き宣伝もな♪」



『……ひんっ』



 ――3月1日 早朝――



 暗闇の中、セレスと凪は顔を見合わせる。



「セレス、ついにこの日が来たぞ」



『はい』



「なんだよ。緊張してんのか?」



『いえ。この数週間、凪さんの開発を見てきましたから』



「ならばよし!」

「さぁ! "ホシ娘" 大型アップデートの()()()()だ!」



―第16話につづく―

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