表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五右衛門、異世界で神と天下と有頂天を盗む  作者: 武者小路団丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/30

第8話 石川五右衛門、天上にて見得を切る

東西東西──(とーざいとーざい)!


雷鳴と業火に包まれた蓬莱宮。

二郎真君の剣閃、孫悟空の金箍棒、牛頭馬頭の鉄鎖が入り乱れ、

大広間は天と地獄の修羅場と化す。


だが──五右衛門の姿が、煙のように掻き消えた。


次に現れたのは、蓬莱宮の最も高い屋根の上。

金瓦の波が月光を反射し、五右衛門の足元で煌めく。

背後では雷雲が裂け、稲光が銀の幕を引く。

さらに──巻物からこぼれた金色の宝珠が宙を舞い、舞台照明のように彼を照らす。


五右衛門、煙管をくゆらせ、ゆっくりと下界を見下ろす。

その眼差しは、天界の兵も地獄の鬼も、

さらには物語を見守る“観客”すら射抜く。


「知らざあ言って聞かせやしょう──

天下の大泥棒、石川五右衛門。

神々の宝も、仏の結界も、地獄の帳も──

盗んだ先にゃ、絶景があるってもんよ!」




雷鳴が台詞を引き立て、灰が夜風に舞う。



「浜の真砂は尽くるとも──世に盗人の種は尽きまじ。」


雷鳴がその句を轟かせ、静寂が一瞬、蓬莱宮を包む。


「 …つまりよ、天下が滅びても俺みたいな野郎は絶えねぇってことさ!」


月が一段と輝く。


「修行? 悟り? そんなもん、煙管の灰ほどの値打ちさ。

俺が盗むのは、“世界の筋書き”──

天も地も、俺の舞台にしてやるぜ!」




両腕を大きく広げ、煙管を天へ突き上げる。

その瞬間、月光・稲光・宝珠の金光が三つ巴となり、

五右衛門の影を巨大な怪盗のシルエットに変える。


「さぁ、幕を開けようか──神々の芝居の続きをよ!」




稲妻を切り裂いて悟空が跳び、

雷雲を背に二郎真君が剣を構え、

屋根瓦を突き破って牛頭馬頭が躍り出る。


屋根の上で──天と地獄の大乱戦が幕を開ける。


──第8話、幕。

「天帝の座を狙った五右衛門は、死者の影に足をすくわれ、囚われの身に。天界に響き渡るは、まさかの『釜茹での刑』……!

絶体絶命の五右衛門を救う術は、あるのか!?

そして、影で不気味に笑う悟空が握る小さな木偶人形の正体とは?

全ては、五右衛門が仕掛けた大芝居なのか……?

次回、『第9話 天下の寝首』!


盗みの流儀は、誰にも悟らせない。

お楽しみは、これからだ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ