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嫁して3年、子なしは去れ!と言われたので、元婚家の政敵の屋敷でお世話になります!  作者: 江本マシメサ
第四章 悪を討て

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迎えた夜

 帰宅後、さすがに疲れてしまったので、日課である日記を書く元気はなく……。

 メクレンブルク大公の容態は相変わらずで、王太子殿下はすやすや眠っているという。

 私もお風呂に入って眠ることにした。

 寝室に行くと、メルヴ・ウィザードがやってきて思いがけないお願いをしてくる。


『一緒ニ、寝テイイ?』

「メルヴさん、もちろんですわ!」


 なんてかわいいお願いなのか、とささくれていた心が癒やされる。

 いつも隣で寝てくれるふわりんもやってきて、並んで布団へ潜り込んだ。


「今日は大変な一日でしたね」


 きっと明日は楽しい一日になるだろう。

 そんなことを話していると、だんだん微睡んでくる。 

 今日一日で、本当にいろいろあった。

 まさかイゾルテが聖女を演じるなんて、誰が想像できたか。

 足手まといにならず、なんとか乗り切ることができて本当によかった。

 エーリク様にふわりん、メルヴ・ウィザード――誰かが欠けていたら作戦は成功しなかっただろう。

 独りではないというのはどんなに頼もしく、ありがたいことなのか。

 これからも、許される限りここにいたい。

 そう、心から思ったのだった。


 うとうとしていたのは一瞬で、あっという間に意識を手放していたが――どん!! という爆発音で目を覚ます。


「な、何事ですの!?」


 次の瞬間、寝室の扉が猛烈にドンドンドン!! 叩かれる。

 エーリク様だったら、このように乱暴に叩かないはず。

 それにこの屋敷には使用人はいないはずだ。

 だったら誰?

 様子を覗っていると、鍵がかかったドアノブがガチャガチャと高速で動く。

 

『近ヅイタラ、ダメ!』


 メルヴ・ウィザードが叫び、ふわりんが私を守るように前に躍り出る。

 ガン!! という衝撃音がするのと同時に、扉に斧が突き刺さる。


「えっ、なっ、なんですの!?」


 ガン、ガン、ガンと数回叩いただけで、扉に穴が空いた。

 慌てて寝室の灯りを点すと、そこから覗き込んできた存在が見えた。

 皮膚が腐り、瞳がただれ落ちた人であった存在もの――ゾンビだ。


「きゃあ!」


 あっという間に扉が開かれ、雪崩のように三体のゾンビが寝室に押し寄せる。

 手には斧や鉈を握っていて、振りかぶってきた。

 メルヴ・ウィザードが呪文を唱え、蔦を展開させ近づけないようにする。

 ゾンビ達は蔦に絡まり、打ち上げられた魚のようにジタバタ動いていた。


「こ、これはいったい……!?」


 驚いている暇はない。ゾンビ達は斧で蔓を断ち切ろうとしていた。

 急いで枕元の円卓にあった聖水を振りかける。


『ギャアアアアアアア!!!!』


 ゾンビの弱点は聖属性。すなわち聖水を被れば致命傷となる。

 この聖水は私がただの水に浄化術を付与したものだ。

 毎日聖水を飲む習慣があったので、寝る前に作っていたものが役立ったわけである。


 聖水に触れたゾンビは動かなくなり、その場に朽ち果てた。

 ホッとしたのもつかの間のこと。他のゾンビがどんどん部屋へ押し寄せてきた。

 すぐさま浄化術を展開し、ゾンビの群れを一掃する。


「――神よ、浄化せよピュリファイア!」


 光に包まれたゾンビがきれいさっぱり消え去る。

 聖術のほうが効果は高いようだ。

 しかしながら、倒した傍からどんどんゾンビが押し寄せる。


「な、なんですの!? いったい誰がこのような行為を――」


 その疑問に対する答えは、ゾンビ達の服装にあった。

 彼らはシスターやブラザーが着ているような、修道服をまとっていた。


「ということは――まさか、聖人インゴルフの仕業ですの!?」


 きっと間違いないのだろう。

 私達が夜会でしたことに対する報復活動に違いない。

 エーリク様は大丈夫なのだろうか。

 なんて心配していたら、廊下にぎっしり詰まるようにいたゾンビ達が雷撃によって一掃される。

 次の瞬間には、エーリク様が寝室に駆けつけた。


「ゼラ、大丈夫か!?」

「エーリク様!!」


 思わず駆け寄り、抱きついてしまう。


「無事のようだな」

「はい!」


 よかった、本当によかった――なんて思ったものの、私の格好がぜんぜん大丈夫ではなかった。

 就寝用の薄い生地でできたナイトドレスで、エーリク様に抱きついてしまったのだ。

 それについてエーリク様も気付いたようで、慌てて離れる。


「すまない」

「い、いえ!」


 エーリク様は外套を脱ごうとしたものの、それは大事な装備だろう。

 私も何か一枚着なければと思っていたら、ふわりんが『任せて~』と言ってくれる。

 何をするのかと思えば、一瞬でドレスを作って私に着せてくれたのだ。


『これで大丈夫~』

「ふわりん、ありがとうございます」


 どうやら寝室にあったシーツを食べて作ってくれたらしい。髪もボサボサだったからか、包み隠すようなベールも仕立ててくれた。


「あの、エーリク様、このゾンビ達は……」

「聖人インゴルフが放ったものに間違いないだろう」

「ご名答!!」


 床に赤黒い魔法陣が浮かび上がり、そこから聖人インゴルフが登場する。


「お前は――!」


 エーリク様は雷撃魔法を容赦なく聖人インゴルフに放つ。

 鋭く撃たれた雷は、聖人インゴルフの心臓を貫いた。

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