006 追放された勇者が魔物を倒す!? 恥ずかしすぎる過去を引きずって、今、冒険へ!
ギルドの扉を開けると、いつも通り活気に満ちた雰囲気が広がっている。冒険者たちがにぎやかに話している中、私は受付へ向かう。リリィが気づいて手をふってくれる。
「ユイナさん、こんにちは!先日は大変だったんですね。勇者パーティーを追放されて、身ぐるみをはがされたって…」
ああ、またその話か… そんな話、何度言わせるんだろう。私は顔を赤くして黙りこむ。
リリィはにっこり笑いながら、続けて言う。
「でも、元気そうでよかった!みんな心配してたんですよ。」
「う、うん…」
私は恥ずかしそうに小さくうなずく。
「あの件は、もう…ふれないでほしいんだけど…」
リリィは肩をすくめて笑いながら言う。
「大丈夫、大丈夫!私もそんなこと気にしませんから。でも、次からは気をつけてね!身ぐるみはがされないように。」
私はますます顔が真っ赤になり、「それ、本当にやめて…」と小声でつぶやく。
「さて、気を取り直して!」
リリィが手をパチンと鳴らして話題を切りかえた。
「今日は何か依頼を受けに来たんですよね?」
私はしっかりとうなずきながら、依頼の内容を伝える。
「はい、近くの山に出た魔物の群れを退治したいんです。」
リリィは依頼掲示板を指さしながら、「この依頼を受けてください。魔物の数は少なめだけど、油断しないでね。」と注意をうながす。
エルフィーナが元気よくはねながら、「魔物の群れ?すぐに倒してやるよ!」と意気ごむ。
「まずは冷静にね。」
リチャードがいつも通り、落ち着いてアドバイスをする。
「油断はしないで、お嬢様。」
「わかってるわ。」
私はリチャードに軽く返事をする。
エルフィーナが目を輝かせながら言う。
「でも、魔物の群れってワクワクするよね!」
「また身ぐるみをはがされたりしないよね?」と、またもや変なことを言い出すエルフィーナ。
私は顔を真っ赤にして、「エルフィーナ!その話、もうやめて!」と叫んだ。
リリィは二人のやり取りを見て、クスリと笑いながら「本当に仲良しですね。無理せず、気をつけて行ってくださいね!」と送り出してくれる。
私たちはギルドを後にして、魔物退治のために山へと向かう。
「さあ、いよいよ行くぞ!」
エルフィーナが元気いっぱいに言った。
三人で笑顔を交わしながら、町を出発する。その道中、ちょっとだけ不安もあるけれど、リチャードとエルフィーナと一緒だから、きっと大丈夫だろう。
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