005 ユイナ抜きで冒険は無理ゲー!?
それから少し時間が経った。
「クリムゾン・ガーディアンズ」の面々は、どうも最近運が悪い。気のせいかと思ったけど、どうやら誰もが感じていることらしい。
タツヤンが無意識にため息をついた。
「ユイナを追放してから、なんか調子悪いな。」
リカが肩をすくめる。
「国王の汚れ仕事をやりすぎたせいかもね。」
デナヤンが冷ややかに言った。
「ギルドに怪しい請求してるからじゃない?」
ポカッチはガハハと笑う。
「あー、思い当たることが多すぎて、どれかわかんねぇな!」
その言葉に、他のメンバーも苦笑い。どうも、ちょっとしたことでつまずくことが増えてきていた。
タツヤンは眉間にシワを寄せる。
「まさか、ユイナが呪術師に依頼してたり……?」と言いかけたが、すぐに手を振った。
「いや、そんなわけないだろ。ただの偶然だ。」
「偶然?」リカが眉をひそめる。
「それにしては、ちょっと続きすぎじゃない?」
ポカッチがニヤリと笑う。
「まあ、呪いだろうがなんだろうが、そのうち終わるさ! 俺たちは最強だろ?」
みんながそれぞれ言葉を交わす中、どこか気まずい空気が漂っていた。ユイナを追放してから、パーティーの雰囲気が微妙に変わったことを、誰もが感じていた。
デナヤンがぼそっと言った。
「あいつがいた頃、なんだかんだでうまくいってた気がする。戦闘じゃ役に立たなかったけど、なんというか……あいつ、妙に運が良かったよな?」
その言葉に、一瞬沈黙が流れる。思い返せば、ユイナがいたときは、なんとなく流れが良かった。偶然とは思えないくらい、良いタイミングで物事が進んでいた気がする。
タツヤンが腕を組む。
「もう戻ってこないけど、なんか落ち着かないんだよな。」
ポカッチは肩をすくめる。
「そんなこと気にすんなよ、タツヤン。あいつのことなんて、すぐに忘れるさ!」
みんな苦笑したが、心のどこかで納得していない自分がいた。
リカは軽く息を吐く。
「まあ、運が悪いだけ……だといいけどね。」
そのとき、ポカッチが勢いよく立ち上がった。
「さあ、次の冒険だ! 俺たちは止まらねぇ!」
他のメンバーも立ち上がる。モヤモヤは残るが、目の前の冒険に向き合うしかない。
タツヤンはぼやきながらも、前を向いた。
「そうだな。あいつがいなくても、俺たちは進むしかない。」
——けれど、誰も口には出さなかった。
「でも、いなくなってからツイてないの、やっぱ気になるよな……?」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。