004 リチャードの元カノ登場!?突然のファンタジー再会劇
<エルフィーナ>
森の中をリチャードと歩いていたら、急に空気がピリッとした。なんだか嫌な予感がする。こういうときって、たいてい、ろくなことが起こらない。
「どうしたの?」
「少し待ってください。」
リチャードが周囲を見渡す。まるで森の中の不審者を探す警備員みたいに真剣だ。私もつられて前を見ると——いた。
銀色の毛並みがまぶしい魔狼が、堂々とした態度でこちらを見つめている。こっちはまだ何もしてないのに、なんだかすごく偉そうだ。
「リチャード、あれって……?」
「……信じられない。」
リチャードの声が妙にかすれる。まさか、昔の借金取りとかじゃないよね? そう思ったのもつかの間、魔狼の体が光に包まれ、人の姿に変わった。
出てきたのは、ピンクの髪をなびかせた美少女。うわぁ、ファンタジー感がすごい。
「……やっと、会えた。」
ふるえる声でそう言うと、彼女はリチャードにまっすぐ歩み寄る。
「リチャード……私のこと、覚えてる?」
リチャードは目を丸くしてから、しばし沈黙。そして、おそるおそる答えた。
「……まさか、エルフィーナ?」
その名前を聞いた途端、エルフィーナは満面の笑みを浮かべ、リチャードの胸に飛びこんだ。
「リチャード!」
リチャードは驚きつつも、彼女の肩にそっと手を添える。
「本当に……お前なのか?」
そして、次の瞬間——
彼女、リチャードにキスした。
ちょっと待って? いやいやいや、なにそれ、そんな劇的な再会シーンある?
「知り合い、なの?」
思わず聞いてしまう。
エルフィーナはリチャードから顔を上げ、こちらをまっすぐ見つめてくる。
「うん。私は彼の……大切な人だから。」
え、まさかの元カノ登場? そんな昼ドラ展開、聞いてないんだけど!?
「そっか、リチャードにとって特別な人なんだね。」
とりあえず笑ってみたけど、内心は大混乱だ。
エルフィーナは真剣な顔で言う。
「これからは、あなたのことも守る。約束する。」
リチャードは穏やかに微笑み、「お前がいてくれて、本当に嬉しい」と呟いた。
私???!
私は完全にかやの外。
なんだか、新しい旅が始まる予感がするけど——私の平穏な日々、もう戻ってこない気がする。
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