女神アテーナイエの葬式と東の地
「あなたが!!」智紀は叫んだ。
「ザルガバース城でまた会おう」
黒沢が転送魔法で姿を晦ました。
「乃蒼……」
瀕死のアテーナイエは乃蒼の額に自身の額を合わせ、なにかを呟やいた。当たりが光に包まれる。そしてアテーナイエは絶命した。
「おばあちゃん!おばあちゃん!!」智紀が叫んだ。
乃蒼は沈黙し、涙を流す。
皇帝ツァルクが逝去し、戦争の終結が成された。ザルガバースであるサムソン、その融合者の黒沢と共に、ザルガバース軍団はケブラーから撤退した・
ビナー船で、女神アテーナイエの葬式が粛々と行われた。
「綺麗……」
加奈子が呟いた。
アテーナイエの死に顔は美しかった。
死に化粧をされた顔は、柳眉は綺麗に描かれ、紅は鮮やかな赤が差しており、長い睫毛に縁どれれた双眸が開くことはついになかった。
黙禱が捧げられ、乃蒼自ら、夫であるエリュオニムが眠るコクマー海の中に沈めた。
智紀達は、悲しみと共にゲブラーを後に、ビナー船でザルガバース城を目指す。
ザルガバース城は、エリュシオンの東の地に在った。
東の地は、東部と東南部で特有の季節風・モンスーンの影響を受ける。このモンスーンにより、夏には海からの湿った風がくるので、東部と南部で降水量が多い。
ザルガバース城は、負の波動を纏って、聳え立っていた。
雨がスコールへと変わる。
「ここに魔王・ザルガバース……黒沢が居る!!最終決戦だ。行こう!!」
智紀達は、ザルガバース城に乗り込んだ。
37話よろしくお願いします。いつも読んで下さり、感謝です。