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今日は何の日でしょうクイズ


大好きなパンダと一緒に笹パンケーキを食べていたら、突然双子の弟に起こされた。

「問題!今日は12月14日ですが、さて今日は何の日でしょう」

「今、すごいいい夢みてたのに」

私は文句を言ったが、弟はまるでに気に留めない。

「いいから、いいから、答えて」

今日一日中ずっとそわそわしていた弟は、パンダとのデートに戻ろうとした私の肩をゆらゆらと揺さぶった。

時計を見ると、もう夜の11時。あと10分もすれば日が変わってしまうというのに弟は元気だ。

同じ日に生まれたって言うのに弟は本当に子供っぽい。

やっぱりこれが男と女の違いなのね、と私は大人っぽく溜息を吐いた。

「仕方がないから付き合ってあげる。

えーと、今日は12月24日だから、、無難にクリスマスイブとか?」

「ぶっぶー、不正解」

楽しそうに両手でバツを作る弟に私はムッとした。

折角付き合ってあげているのに、そんな態度をとるなら私にも考えがある。

「ねぇ、知ってる?

12月25日はクリスマスでサンタさんからプレゼントがもらえるよね。

でも本当はね、クリスマスって1年に二回あるんだよ」

「そんなの嘘だ!」

「あ、知らないんだぁ。

実はクリスマスの10日前、12月15日は「本当のクリスマス」って言われてて本当にいい子にしかサンタさんはやってこないの。

じゃあ、ソウタは悪い子だから12月25日しか来てもらえないんだね」

「俺、悪い子じゃないもん」

「悪い子だよ。いつもニンジン残してるし、おふろ掃除もサボるじゃん。

サンタさんも「ソウタ君はプレゼント1個でいいか」って思ってるんだよ」

「サンタさんはそんな事思わないし!

そんな意地悪言うなんてアオイの方がよっぽど悪い子だ」

「でも、実際に私は12月15日にプレゼントをもらってるから私はいい子って認定されてるんだよ」

私の言葉に弟は悔しそうに地団駄を踏んだ。

ちょっと難しい言葉を使うとソウタは意味が分からないから直ぐに悔しがる。

いい気味だけど、私のベッドでやめてほしい。

私は姉の権利から2段ベッドの上の方で寝ているのだ。

「ちょっとやめてよ。穴が開いて落ちちゃったらどうすんの」

「ねぇ、本当にアオイはプレゼント2回もらってるの?」

「そんなわけないでしょ。もういいから寝かせてよ」

「じゃあ、今日は何の日でしょう」

どうやら、まだクイズは終わってないらしい。

「えー、何の日かなぁ。

私分かんないや」

「えー、アオイお姉ちゃんなのに分かんないんだぁ。

正解はね、プレゼントがもらえる前の日」

得意げに言う弟に私はこんな事の為に起こされたのかと呆れた。

あとちょっとで学校が始まるんだから、もしかしたら新しい出会いがあるかもしれない。

睡眠不足はお肌の大敵だ。

けど、私の弟はさっきよりも元気になっている。

「アオイは難しい本読んでるのに、俺が知ってることも知らないんだね。

俺の方が頭いいね」

「はいはい、ソウタは頭がいいですねぇ

私はおバカなので頭に睡眠が必要です。

おやすみなさい」

適当にあしらって布団にもぐりこもうとする私を弟は許さない。

「おバカなら俺と同じとこでいいじゃん。

何で違う学校行くんだよ」

「それは私がソウタと違って天才だから」

そう言われて弟は不満げな顔で押し黙った。

私が受験をする事を知ると、何故か弟も「俺もやる!」と言いだしたが、普段勉強なんか一切やらない弟が名門私立の学校に合格するわけがないのだ。

私ばっかり特別扱いされていると腹を立ててるのかと思いきや、どうやら弟は私と同じ小学校に行きたかっただけらしい。

憎たらしい所の方が多い弟だが、まあ可愛いところもあるのだ。

「アオイ可愛げないから、友達できないぞ」

やっぱり可愛くない。

「もういるもん」

「え、嘘だ」

「嘘じゃないよ。受験の時に隣になった子。

合格発表の時にもちょうど会えたんだ」

「嘘だよ、アオイにそんな社交性ないもん」

「社交性なんていつ覚えたの?」

「ふん、アオイには教えない」

「じゃあ、いいよ。別にそんな知りたくないもん」

「じゃあ、聞くなよ。

もういい、俺寝る」

口喧嘩で私に勝てるだなんて百億年早いのだ。

へそをまげた弟がベッドの階段を下っていく。

しばらくして、弟がベッドに入る音がした。

やれやれこれでやっと寝れる。

「ねえ、アオイ」

「まだなんか用?」

「誕生日おめでとう」

「……ありがとう」

「俺には?」

「はいはい、7歳の誕生日おめでとうございます」

まあ、可愛らしい所もある。時計を見るとちょうど日づけが変わった所だった。

どうやらこれを言うために私を起こしていたらしい。

来週にはそれぞれ別の小学校に行く。

今までずっと一緒にいた弟と離れるのは、すっきりするようなちょっと寂しいようなそんな変な感じがする。

多分、弟も同じなのだろう。

ベッドの下から少し眠そうな声で弟が笑う。

「ふふ、プレゼント楽しみだな」

「そうだね」

「……」

「……」

「……あっ!知ってる?実はパンダは熊じゃなくて猫なんだよ」

「もう4月2日なので、嘘はダメです」

最後まで読んでくれてありがとうございます。


実はみんな大好きエイプリルフールだったということで、「まさか」となってもらえたでしょうか?

読んで楽しんでもらえたのなら嬉しいです。

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