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ブラックジョークの大魔王 花粉症に苦しむ。花粉症はなった人しか、あの苦しみはわからない。

ジョークランド ウィーク

見出し:ジョークランド 全土で花粉警報発令


ジョークランド - ジョークランドの住民は、市全体に深刻な花粉警報が発令されたことを受け、屋内退避を余儀なくされています。この警報は、珍しい植物種であるギグルウィードの異常増殖を受けて発令されました。ギグルウィードの花粉は、制御不能な笑い、軽度のヒステリー、場合によっては一時的な浮遊を引き起こすことが知られています。


ジョークランドの医療当局は、住民、特にアレルギーのある人や喘息のある人は、さらなる通知があるまで屋内に留まるよう強く求めています。必須ではないビジネスは閉鎖され、学校は休校になりました。市は、花粉を除去し、ギグルウィードの増殖を抑制するために、専門の清掃チームを配備しました。


「これはジョークランドにとって前代未聞の状況です」とジョークランド市長、ジグルス・マクギグルフェイス氏は述べました。「私たちは皆の安全と健康を確保するために取り組んでいます。笑い事ではありませんが、この状況を乗り越えられれば、再び笑えるようになるでしょう」


ギグルウィードの花粉の影響を受けた住民は、落ち着いて、水分を補給し、症状がひどい場合は医療機関に連絡するようアドバイスされています。一部の住民は既に症状を報告しており、制御不能な笑い声で街中に響き渡っています。


この異常増殖の原因は現在調査中です。初期の報告では、最近の悪天候と珍しい土壌の状態が組み合わさってギグルウィードの急増を引き起こした可能性があることを示唆しています。


ジョークランドの住民は、この奇妙な状況に立ち向かうため、ユーモアと回復力を発揮しています。多くの人がソーシャルメディアを利用して経験を共有し、互いを支援しています。市は、状況が収束し、住民が再び笑い声を上げられるようになることを期待しています。


 ### 花粉症とチェーンソー


 春が来た。いたるところに花が咲き乱れ、まるで夢のような景色が広がっている。だが、私にとって春は地獄の始まりである。なぜなら、私は重度の花粉症だからだ。


「ハックション!」


 私は大きなクシャミと同時に、鼻水を垂らしながら森の中を歩いている。私の名前はヴィクター・ライアン。ブラックジョークで世界征服を企む、悪の帝王だ。だが、そんな私でも花粉症には勝てない。


「ヴィクター様、大丈夫ですか?」


 私の腹心であるミスティが、心配そうに私の顔を見つめる。彼女は少し抜けているが、忠実な部下だ。


「大丈夫なわけないだろう。この鼻づまりと目のかゆみは、まさに地獄だ」


 私は皮肉たっぷりに答える。ミスティは私のブラックジョークを理解できないことが多いが、それでも彼女はいつも私のそばにいてくれる。


「なんとかして、ヴィクター様の花粉症を治したいです……!」


 ミスティは涙目で訴えてきた。彼女のその姿を見て、私はある計画を思いつく。


「そうだ。花粉症の原因である杉の木を、すべて伐採してしまえばいい」


 私はニヤリと笑いながら、巨大なチェーンソーを取り出す。ミスティは驚いた顔をしている。


「えっ、杉の木を伐採するんですか?」


「そうだ。そうすれば、花粉症に苦しむ人はいなくなる。そして、私はこの苦しみから解放される」


 私はチェーンソーを手に、杉の木が生い茂る森の奥へと進んでいく。ミスティも仕方なく、私についてくる。


 一歩足を踏み入れると、空気はひんやりとしていて、杉の木の独特な香りが鼻をくすぐる。頭上を見上げると、空はほとんど見えないほどに枝葉が重なり合い、まるで巨大な緑の天井のようだった。足元は落ち葉でふかふかしていて、歩くたびにカサカサと音がする。森の中は静かで、鳥のさえずりや風の音だけが聞こえてくる。


 地面には、ところどころに杉の切り株が転がっていた。切り口はまだ新しく、樹液が滲み出ている。どうやら、誰かがここで杉の木を伐採したようだ。切り株の付近には、杉の葉や小枝が散乱しており、まるで戦場のような荒れ果てた光景が広がっている。


 俺は森の奥へと進んでいく。すると、突然視界が開け、小さな広場に出た。広場の中央には、一本の巨大な杉の木が立っていた。その幹は、大人の両腕を広げたよりも太く、天に向かってまっすぐに伸びている。枝葉は広がり、まるで巨大な傘のようだった。


 私は、その杉の木の圧倒的な存在感に息を呑んだ。こんなにも大きく、力強く、そして美しい木を見たのは初めてだった。



「ヴィクター様、本当にこれでいいんですか? 杉の木を伐採したら、生態系が崩れてしまうかもしれません」


 ミスティは不安そうに言う。だが、私は彼女の言葉に耳を貸さない。


「そんなことはどうでもいい。私は私の目的を達成するだけだ」


 私は冷酷に笑いながら、チェーンソーを振り続ける。杉の木はバタバタと音を立てて倒れ、森はみるみるうちに伐採されていく。


 杉の木は次々と私のチェーンソーによって切り倒されていく。木が倒れるたびに、私は快感を覚える。それはまるで、私が世界を変えているような感覚だ。


 そのとき、背後から声が聞こえてきた。


「待て、ヴィクター!」


 それは私の宿敵、アキレウスの声だった。彼は正義の味方を気取っているが、ただのコミュ障だ。


「なんだ、アキレウスか。こんなところに何の用だ?」


 私はチェーンソーを止め、アキレウスの方を振り返る。彼は赤いマントとタイツを身につけ、いかにもヒーローといった格好をしている。


「杉の木を伐採するのをやめろ! それは自然破壊だ!」


 アキレウスは正義感たっぷりに叫ぶ。だが、私は彼の言葉を鼻で笑う。


「自然破壊? そんなことはどうでもいい。私は花粉症を治すために、必要なことをしているだけだ」


「花粉症を治すなら、薬を開発すればいいだろう! 杉の木を伐採するなんて、馬鹿げている!」


 アキレウスは怒りをあらわにする。だが、私は彼の提案を一蹴する。


「薬を開発するよりも、杉の木を伐採する方が手っ取り早い。それに、私は薬を開発するほどの頭脳は持ち合わせていない」


 私は皮肉たっぷりに答える。アキレウスはますます怒りを募らせる。


「貴様……」


 アキレウスは拳を握りしめ、私に向かって突進してくる。だが、私は冷静に彼の動きを見極める。


「アキレウススビーム、発射!」


 アキレウスは手のひらから光線を放つ。だが、私はそれを легко уклоняться(レフコー・ウクロニャッツァ:ロシア語で「簡単に避ける」の意味)する。光線は杉の木に当たり、木が燃え上がる。


「しまった!」


 アキレウスは舌打ちをする。私は彼に向かって、ニヤリと笑う。


「どうした、アキレウス? 正義の味方はそんなものか?」


「貴様……許さん!」


 アキレウスは再び光線を放とうとする。だが、私は彼の腕をつかむ。


「待て、アキレウス。私はお前と戦うつもりはない」


「な、なんだって?」


 アキレウスは驚いた顔をする。私は彼の目をじっと見つめる。


「私はただ、花粉症を治したいだけだ。お前も花粉症に苦しんでいるのではなかったか?」

 


 ### アキレウスの怒り


「人の迷惑も考えずに、何をしているんだ!」


「何をって、杉の木を伐採しているのさ。花粉症の人達にとっては、ありがたいことだろう。」


「ふざけるな!お前は花粉を町中にばら撒いて、みんなを苦しめているじゃないか!」


「そうかな?人生はただのジョークさ。花粉症も、杉の木も、そしてお前も、全てはジョークの一部に過ぎない。」


 俺はヴィクターの言葉に激怒した。彼の冷酷さとブラックジョークは、俺の正義感を踏みにじるものだった。


「許さん!ヴィクター!」


 俺は彼に向かって走り出し、パンチを繰り出した。しかし、彼はそれを軽々とよけた。


 ## 嘲笑の森


「ははは、相変わらず単純な攻撃だね、アキレウス。」


 ヴィクターは俺を嘲笑いながら、ポケットから奇妙な装置を取り出した。それは注射器のような形をしていた。


「これは何だ?」


「花粉症の薬さ。お前に特別にプレゼントしてあげよう。」


 彼はそう言うと、俺に向かって装置を発射した。俺は避けようとしたが、間に合わなかった。薬が俺の腕に刺さった瞬間、俺は激しいくしゃみと鼻水に襲われた。 目のかゆみと、喉の痛み。体は鉛のように重くなり、動くことができない。


「ぐ…うっ…くしゅん!」


「ほら見ろ、花粉症はジョークだ。お前もそのジョークの一部になったのさ。」


 ヴィクターは高笑いしながら、森の奥へと消えていった。俺は地面に倒れ、花粉症の症状に苦しんだ。呼吸もままならない。視界がぼやけて、意識が遠のいていく。


「ヴィクター…お前は…間違っている…」


 ◇◆◇


 俺はヒーロー、アキレウス。悪を許さない正義の味方だ。俺が今対峙しているのは、自称ブラックジョークマスターのヴィクター。奴は森の木々を無差別に切り倒し、生態系を破壊している極悪人だ。しかも、奴は大量の杉の木を伐採した。そのせいで、花粉症の俺はくしゃみと鼻水と目のかゆみに悩まされながら、奴を追跡しなければならなかった。最悪の気分だ。


 ついに森の奥で奴を発見した。ヴィクターはチェーンソーを手にニヤニヤと笑っている。奴の冷酷さには、怒りを通り越して呆れてしまう。


「おい、ヴィクター!お前の愚かな行為はここまでだ!」


 俺はそう叫びながら、ヴィクターに向かって走り出した。ヴィクターもチェーンソーを振りかざして応戦してくる。俺はギリギリでチェーンソーをかわし、パンチをお見舞いする。ヴィクターも負けじと蹴りを放ってくる。森の中で、俺とヴィクターの激しい戦いが始まった。


 俺はパンチやキックを繰り出しながら、ヴィクターの悪行を糾弾する。しかし、奴は全く反省する様子がない。それどころか、薄ら笑いを浮かべながらこう言い放った。


「人生はただのジョークだ。花粉症も、杉の木も、そしてお前も、すべてはジョークの一部に過ぎない。」


 ヴィクターの言葉に、俺は激怒した。奴は何も理解していない。花粉症の辛さも、自然破壊の愚かさも、何もわかっていないのだ。俺は奴を倒し、正義の鉄槌を下すことを決意した。


 しかし、ヴィクターは狡猾だった。俺の攻撃をかわすと、ポケットから注射器を取り出した。そして、俺の腕に注射を刺したのだ。


「これは…なんだ?」


 俺は腕に違和感を感じた。すると、急に鼻がムズムズし始め、くしゃみと鼻水が出てきた。目もかゆく、涙が止まらない。


「ははは!花粉症の薬だよ。これで思う存分苦しむがいい!」


 ヴィクターは高笑いしながら、森の奥へと消えていった。俺は花粉症の症状が悪化し、動くことができなくなってしまった。ヴィクターのブラックジョークに、まんまと引っかかってしまったのだ。


「ヴィクター…お前は…間違っている…」


 俺は地面に倒れ込み、呼吸困難になりながらも、そうつぶやいた。


 ◇◆◇


 私はヴィクター。


 私の真の姿は、ブラックジョークマスターだ。人生は所詮ジョークであり、私はその中で最も笑えるジョークを演じることに生きがいを感じている。


 今回のお相手は、正義の味方気取りのヒーロー、アキレウスだ。彼と私は、鬱蒼とした森の中で対峙していた。彼は私の杉の木伐採作戦に激怒し、私を倒しに来たのだ。しかし、彼など私にとってはただのジョークのネタに過ぎない。


「いい加減、諦めろよ、アキレウス。人生はジョークだ。お前もその一部に過ぎない。」


 そう言いながら、私は彼の攻撃を軽々と避ける。彼の正義感や怒りは、私にとっては滑稽に映る。彼のパンチは空を切り、キックは地面を蹴るばかりだ。


「花粉症も、杉の木も、そしてお前も、全てはジョークの一部だ。」


 私はさらに挑発し、彼を怒らせる。彼の顔は真っ赤になり、目は怒りで燃えていた。彼の怒りは私にとって最高のスパイスだ。ジョークは怒りがあればあるほど、面白くなる。


 しかし、そろそろジョークを終わらせる時が来た。私はポケットから特殊な注射器を取り出す。中には、花粉症の症状を悪化させる薬が入っている。


「ほら、プレゼントだ。」


 私は彼の腕に注射を突き刺す。彼は驚きの表情を浮かべ、すぐに腕を押さえる。


「な、何を…した…?」


 彼の体はみるみるうちに反応を示す。くしゃみ、鼻水、目のかゆみ。花粉症の症状が一気に悪化していく。彼は立っているのも辛そうだ。


「花粉症はジョークだ。お前もそのジョークの一部になったのさ。」


 私は高らかに笑いながら、彼を見下ろす。彼は地面に倒れ込み、苦しそうに呼吸をしている。彼の正義も、怒りも、もはやジョークの一部となったのだ。


「ヴィクター…お前は…間違っている…」


 彼はか細い声でそう呟き、意識を失った。私は彼を残して、森を後にする。


 皮肉なことに、私の杉の木伐採作戦は裏目に出た。杉花粉が無くなったことで、代わりに別の植物の花粉症患者が増えてしまったのだ。しかし、それもまたジョークだ。私はこのジョークに、自分自身も巻き込まれることにした。


 ## 皮肉な結末


 ヴィクターの悪行は終わらなかった。


 彼が杉の木を伐採したことで、今度は別の植物が繁殖し、さらに強力な花粉症を引き起こすようになったのだ。町中がくしゃみと鼻水に包まれ、人々は苦しんだ。


 皮肉なことに、ヴィクター自身もその花粉症を悪化させ、さらに苦しむことになった。彼は自分のブラックジョークの犠牲者となり、自らの行いを後悔したと言われている。



この本は、題名が面白くて読み始めました。ブラックジョークの大魔王って、どんな悪いジョークを言うのかな?って思ったら、なんと花粉症になっちゃったお話でした。


花粉症って、なった人にしか辛さが分からないって言うよね。ぼくもなったことないから、くしゃみが止まらないとか、目がかゆいとか、そんなに大変なのかな?って思ってた。でも、この本を読んで、大魔王が本当に苦しそうでかわいそうだったんだ。


だって、大魔王は強い魔法が使えるのに、花粉症を治す魔法は使えないんだよ。それに、ティッシュで鼻をかんだら、鼻が赤くなっちゃって、魔王の威厳がなくなっちゃうし。大魔王がくしゃみをしただけで、家来たちが飛んで行っちゃうところはおかしかったけど、それだけ大変なんだなって思った。


ぼくは花粉症になったことないけど、もしなっちゃったら、大魔王みたいに困っちゃうんだろうな。だから、花粉症の人には優しくしようと思った。


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