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ブラックジョークの魔王、ショッピングモールで占い師の手相を診てもらった結果、ブラックな結果に。

ジョークランドにショッピングモール完成


ジョークランドに待望のショッピングモールが完成し、本日盛大なオープンを迎えた。この巨大複合施設には、世界中の珍しいコメディ作品を扱うショップから、有名なコメディアンがパフォーマンスを行うステージまで、笑いをテーマにしたさまざまな店舗が入居している。


オープニングセレモニーには、地元の政治家や著名人をはじめ、大勢の人々が詰めかけ、モール内を熱心に散策した。地元のジョーク愛好家であるメアリー・スミス氏は、「このモールはジョークの宝庫です」と語った。「どこを見ても笑わせてくれるものばかりで、家に帰ったらお腹が痛くなるくらい笑いました」


このモールには、世界的に有名なコメディストアチェーンの「ビル・クリングラーズ」や、ジョーク本やコメディーDVDを扱う「ワンライナー書店」、コメディアンを養成する「パロディ研究所」など、20以上の店舗が入居している。


同複合施設を建設したジョークランド開発会社のジェイク・ラフィン CEO は、「このモールは、人々が笑い、つながり、楽しむ場を提供することを目指しています」と述べた。「私たちは、ジョークランドが世界中から笑いを愛する人々にとって目的地になることを願っています」


ショッピングモールは、市内の中心地に位置し、公共交通機関から簡単にアクセスできる。営業時間は午前10時から午後10時まで。入場は無料で、指定されたエリアではペットの同伴も可能である。


ジョークランドの住民たちは、この新施設を大歓迎し、街に彩りを添えてくれることを期待している。地元のコメディアン、ビル・ジョーンズ氏は、「このモールは、地元のコメディ文化を活性化させるでしょう」と語った。「ジョークランドは、笑いとユーモアの中心地として、ますます有名になっていくことでしょう」

 私は、退屈なジョークランドショッピングモールの片隅をうろついていた。皮肉屋で反社会的な私にとって、ここは退屈の極みだ。


 ジョークランドのジョークモールは、色彩鮮やかで騒がしい楽園だった。(私にとって苦痛だが)床は蛍光ピンクのタイルで覆われ、壁にはジョーカーの肖像画や風変わりな落書きが描かれていた。空気を満たすのは、ポップミュージックと笑い声の絶え間ない喧騒だ。

 モールの中心にはフードコートがあり、さまざまな軽食で飢えた買い物客に対応していた。ジョークバーガーのジューシーなパティから、ギグリングヨーグルトの甘い滑らかさまで、あらゆる好みを満たしていた。


 ショップでは、いたずら好きなジョークグッズがいっぱいだった。ジョークペンやブーブークッションから、びっくり箱や擬似うんちまで、いたるところで笑いが巻き起こっていた。あるショップでは、陽気なキャラクターの衣装を着た店員が、口うるさくて愉快なジョークを飛ばしていた。

 エスカレーターはジェットコースターのように渦巻き状に昇り、モールの上層階へと誘った。そこには、迷路のように複雑なアーケードがあり、最新のビデオゲームと古いクラシックで賑わっていた。衝撃的なタイトルの映画を上映するコメディシネマも、満席状態だった。


 ジョークランドショッピングモールは、笑いとふざけの祭典であり、いたずら心に満ちた買い物客にとっての楽園だった。それは、ストレスを吹き飛ばし、無邪気な喜びに浸るための、愚民達にはユートピアのような場所だった。


 ふと目にとまったのは、怪しげな占い師のブース。何気なく立ち寄って「手相でも見てみましょうかね」と声をかけた。


 手相占いなど、私は信じない。すべては嘘と迷信であり、愚かな人々を惑わすためのものである。人生は予測不可能であり、それこそが人生にスパイスをもたらす。愛、幸福、成功は自分でつかまなければならないものであり、運などというのは存在しない。私にとっては、手相は単なる線であり、私の人生の道筋を示すものではない。私の運命は私が自分の手で切り開くものであり、私はそれを信じて生きている。


 占い師は私の手相をじっと見つめ、やがて重々しく語り始めた。「あなたには暗い運命が待ち受けています」


 私は鼻で笑い飛ばした。「それは私にとって最高の知らせだ。人生そのものがブラックジョークなんだよ」


「しかも、あなたは人を傷つける鋭い舌を持っています」と占い師は続けた。


「ユーモアのセンスと言えば聞こえがよくなるだろ」と私は肩をすくめた。


 占い師はため息をつき、「あなたは終いには孤独で死にます」と言い放った。


 私は不敵に笑みを浮かべ、「それなら最後に究極のブラックジョークを言ってやろうじゃないか」と切り返した。


 占い師が身を乗り出したその瞬間、私はこう言った。「墓石に『安全に土葬されています』って書いてくれよ」


 私の言葉に、占い師は困惑した表情を浮かべていたが、私は満足げに去っていった。


 あの不吉な予言。皮肉混じりにそれを跳ね返した私の言葉。だが、胸の奥に不穏な影が落ちた。しかし、生来の軽薄さと天の邪鬼が囁いた。


「運命など嗤い飛ばしてやろう。世界最高のブラックジョークを披露してやる」


「うん?待てよ。私にも手相ができるかもしれない・・・」


 なんだかんだと言いながら、ヴィクターは手相の虜になっていた。


 その後、本屋で一冊の怪しい本を買ってしまった。


 このよれよれのハードカバー本は、手相占いのありとあらゆる秘訣を収めているらしい。表紙には、謎めいた線と渦巻きが描かれており、私の運命が指先に刻まれていることをほのめかしているようだ。


 ページをめくると、手の溝と隆起に関する気の抜けた説明が続いている。私は微笑まずにはいられない。この半分占いで半分解剖学的な本は、愚かな楽しみに使われる運命なのだろう。ページをめくるたびに、私自身の掌に描かれた運命について冗談めいた予測が飛び込んでくる。


「生命線:あなたの健康と寿命を示します」と本のキャプションは主張する。私はニヤリと笑う。まるで、私の命の羅針盤が指の付け根から伸びているかのような錯覚に陥る。隆起した「月丘」は「感情と想像力」を司っているらしい。私は自分の手に目をやるが、そこに何の感情も見出せない。


 このくだらない参考書は、運勢を予測するというより、退屈しのぎに最適だ。握りしめると心地よい質感で、眠気覚ましにもなる。つまらない夕食時の話題を盛り上げたり、退屈な会議にこっそり忍ばせてもいいかもしれない。いずれにせよ、手のひらを見るたびに、このくだらない小道具が心に一抹の軽やかさを与えてくれるだろう。



「手相で未来の結婚相手が分かるって本当なのか?」 


「本当だとか聞きますよ、ヴィクター様。ぜひ見ていただけますか?」 ミスティーは、内心ヴィクターと結婚できるかどうか占ってほしいと願っていた。


(ヴィクターはミスティーの手を取る)


「(ドキドキ)」 ミスティーは、緊張と期待が入り混じっていた。


(ヴィクターがミスティーの手相を真剣に見つめている)


「どうですか?何か見えますか?」 ミスティーは、ヴィクターの反応に固唾を呑んだ。


「ああ、見える見える。結婚運は...」


(ヴィクターがちょっと悪戯っぽく笑う)


「ははっ、かなりのものがあるじゃないか」 ヴィクターは、ミスティーの手相を見ていたが、彼女の心境は察していなかった。


「(照れて)本当ですか?」 ミスティーは、言われたことに嬉しくなった。


「騙されてるって気づけよ。手相なんてくだらない迷信だ。俺の意見には同意できないな」 ヴィクターは、手相は迷信だと信じ込んでいた。


「でも...でも、私は信じたいんです」 ミスティーは、手相を信じたかった。


「もっと現実的な人生観を持てよ。未来は自分次第だ」 ヴィクターは、現実的な考えを持っていた。


「(少し落ち込む)でも...」


(ミスティーがポソッと呟く)


「でも、ヴィクター様と結婚したいんです」 ミスティーは、長年の思いを吐露した。


「(びっくりして)何言ってんだ?」 ヴィクターは、ミスティーの告白に驚いた。


「ずっと前から好きでした」 ミスティーは、真っ直ぐヴィクターを見つめた。


「...ははっ、冗談言えよ。お前が俺と結婚したいだって?」


 ヴィクターは、ミスティーの告白が信じられなかった。


「そんなのあり得ねえよ。俺には他にもっといいパートナーがいる」 ヴィクターは、ミスティーを恋愛対象としては見ていなかった。


「(涙を浮かべて)でも...」


 ヴィクターは、ミスティーの涙を見て少し動揺した。


「それに、手相なんてくだらないものだなんて、お前も知ってるだろう?」 ヴィクターは、ミスティーも手相を迷信だと思っていると思い込んでいた。


「でも、諦めたくないんです」 ミスティーは、ヴィクターとの結婚を諦めたくなかった。


「うーん 大変なことになった・・・」


 ◇◆◇


 後日、ショッピングモールの喧騒の中を縫うように歩きながら、考えをめぐらせた。占い師の言葉には、皮肉屋の私も唸るほどの鋭さがあった。


「孤独に死ぬ?なら、最後の瞬間まで最高のブラックジョークを追い求めよう。安全な土葬なんて興ざめだ。墓石には『注意、掘り起こすと笑いが止まらなくなるぞ』って刻み込むよ」


 自分のシニカルな想像力に嗤った。世界はブラックジョークのキャンバスだ。そこに、私の傑作を描き綴ってやろう。決意を固めた。



 しかし、あの予言は徐々に私を変えていった。自分のねじ曲がった舌とブラックジョークが周囲を傷つけていることに気がついたのだ。直接批判されることはなかったが、私のギャグはかつての鋭さを失い、ただの苦々しい皮肉に化した。


 皆の反応がおかしくなった。眉をひそめ、私を避けるようになったのだ。孤独感と不安が心をむしばみ始めた。ついには、占い師の言葉を信じてしまった。私は自分の呪いになっていたのだ。


 ブラックジョークの牢獄から抜け出すため、老婆のもとを訪れてしまっていた。



「もう一度、占ってくれるか。いや、ください・・・」と私は小さな声で頼んだ。


 老婆は私の手相を見つめ、ため息をついた。


「運命に逆らっています。ブラックジョークの追求が孤独に導きました。あなたの夢は叶いません」


 その言葉で私は崩れ落ちた。


 夢もユーモアも、すべてが瓦解したのだ。老婆は私に、愛する人を見つけ、他人に敬意を持つよう促した。


 その言葉が正しいと分かったが、プライドがそれを拒否した。


 私はアキレウスとの戦いに臨んだ。しかし敗れてしまった。絶望に打ちひしがれる。悲しげな目で、かつての宿敵が私を見つめている。心が弱ったのだろうか・・・軽蔑していた正義が、なぜか美しく思えたのだ。


「アキレウス、今回は君の勝利だ。私は間違っていた。ブラックジョークは人を傷つけるだけ、繋げることはできないんだ」


 アキレウスは私の苦悩に戸惑いを隠せなかった。長年戦ってきた敵が諦めたことに安堵しつつも、同時に憐れみに似た感情を覚えたのだろう。


 私は敗北を受け入れた。


 群衆の罵声が私の耳には届かなかった。私は自分自身に負け、ブラックジョークがもたらした悲劇を償うために生きると誓った。


 占い師の予言は当たった。私は孤独に、皮肉屋の汚名を着せたまま幕を閉じた。


 しかし、私のブラックジョークは、戦い合った者たちの記憶に残り、人間の虚しさ、そして逆説的な可能性の教訓となっていくであろう。


 占いが告げた運命の重みがのしかかり、私の心は揺れる。刻々と迫る予言に、私自身の行動がまるで操られるかのように感じられた。かつては蔑んでいた正義が、今となれば眩く輝いて見える。


 孤独の影が忍び寄り、私はついに忌み嫌われてきた証である烙印を押され、占い師にすがった。


「もう運命に抗う術はないか?いや・・ありませんか?」


 占い師は静かに私を見据え、諭すように語った。


「あなたは自らを呪っています。そのユーモアは人を傷つけ、周囲を遠ざけてきました。自分を愛してくれる人を探し、他者への敬意を忘れなければ、運命の呪縛から解き放たれます。」


 その言葉は重く、プライドが邪魔をして受け入れることができなかった。しかし、孤独と不安は容赦なく私を襲い、ついに絶望の淵に沈んだ。



 私はアキレウスに敗れたあの日から、嘲りにさらされ、意気消沈の毎日を送っている。


 世界征服など、もはや遠い夢に思えた。私は野良犬のように打ちのめされ、沈みゆく夕日をぼんやりと眺めながら、情けない自己憐憫に浸っていたのだ。


「もう、ミスティーと結婚して、普通の男の子にもどろうか・・・」


 そんなある日、またしても、あのショッピングモールの占い師に再び呼び止められた。彼女の大きな瞳に、かすかな希望の光が灯っているように見えた。彼女は哀れみを帯びた口調で、こう囁いた。


「我が偉大なるブラックジョークマスターよ。あなたの運命予言は変わりません。孤独は決してあなたから離れないでしょう。しかし、あなたの生き方が運命を変えるのです」


 かつて反発した占い師の言葉が、このとき妙に心に染みた。孤独を受け入れ、真のユーモアを追求しよう。ブラックジョークではなく、人を笑い、心を通わせられる、そんなユーモアを。


 占い師の助言が世界征服の邪魔になるとは、思いもよらなかった。

 明日から、普通の男の子にもどります。よろしくお願いします・・・。


「ブラックジョークの魔王」というタイトルは興味深い響きでした。ショッピングモールで占い師の手相を診てもらうという場面も、日常では考えられない非現実的な出来事で、ワクワクしながら読み始めました。


主人公の魔王は、普段は恐ろしい悪魔ですが、悩みを抱えて占い師を訪ねるというギャップが面白かったです。占い師の手相によると、魔王は「不吉な運命」を持っているとのこと。魔王はそれを受け入れ、自分の罪を償おうと決意するのです。


この小説から、どんなに凶悪な人でも、心の中に優しさや後悔の気持ちがあるかもしれないと思いました。また、自分を取り巻く運命は、自分の行動によって変えられる可能性があることに気づきました。


占い師の手相は、魔王の未来を予言するだけではなく、魔王の内面を見つめ直すきっかけにもなりました。魔王も私たちと同じように、悩みや葛藤を抱える人間なのだと感じられ、魔王に対する見方が変わりました。


「ブラックジョークの魔王、ショッピングモールで占い師の手相を診てもらう」は、ユーモアとシリアスさが絶妙に織り交ざった、深い意味のある小説でした。私はこの作品から、自分の運命は自分で切り開くことができ、何があっても諦めてはいけないという大切なことを学びました。

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