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通信販売にハマってしまった魔王、資金を溶かしてしまう。どうする世界征服?

登場人物と概要:


ヴィクター: 冷酷無比な悪役。ブラックジョークで世界を混乱に陥れることを企む。

ミスティ: ヴィクターの忠実な腹心。ヴィクターを盲目的に崇拝するが、どこか抜けている。

アキレウス: 正義感溢れるヒーロー。ヴィクターのジョークが理解できず、イライラしてしまう。

 

 私は、漆黒の魔王ヴィクター・ローレンスだ。皮肉とブラックジョークに彩られた日々を送り、世界征服こそが我が宿命と嘯いてきた。だが今は、そんな野望も通信販売という新たな黒魔術に溺れてしまった。


 不可解なバズーカから自己洗脳メガネまで、奇妙奇天烈な品々が次々と私の手元に届く。この新たな魔術は、大金を注ぎ込むだけでなく、私の胃袋まで空っぽにした。あの忌まわしき通販中毒のせいで、我が世界征服基金は底をつきかけ、野望は暗礁に乗り上げている。


 不可解なバズーカー、それは手に負えない大きさのバズーカーで、肩に担いだときにはほとんど私の体を覆い尽くした。その不格好な銃身は、90年代のビデオゲームに登場するような滑稽なほど誇張されており、どこかの奇想天外な博物館にでも展示されていそうな代物だった。


 引き金は、溶けたキャンディーのごとくねじれていて、まるで何世紀も前の鋳造物が現代に蘇ったかのような趣があった。照準器もまた、時代遅れの遺物のように歪んでおり、そこから覗くと景色が歪んで見えた。銃身には、謎めいた刻印が刻まれ、その意味を解明することは、難解な数学の定理を解くよりも困難だった。


 この荒唐無稽な兵器が、何の役に立つのか想像もできなかった。戦場での使用にはあまりにもばかげているし、狩猟にはあまりにもでかすぎる。しかし、このバズーカーには、不可思議な魅力があった。まるで、ありえないほど奇妙な用途のために作られた、ミステリアスな道具のようだった。


 その奇妙な形と不条理な刻印に魅了され、私は思わずバズーカーを手に取った。重さは予想以上に軽く、まるで巨大な風船のように宙に浮いているようだった。引き金を引くと、思いがけないほど滑らかなクリック音が響き、私は思わず笑ってしまった。これは、まさに子供の遊び道具としての兵器だった。


「くそっ、金を使いすぎちまったぜ。世界征服なんて夢のまた夢じゃねえか……」


 絶望の淵に立たされた私は、最後の手段に打って出た。


 自身が生み出したブラックジョークの秘蔵っ子を、通信販売で売りに出すことにしたのだ。だが、この荒業が思いがけない事態を招くとは、この魔王も夢にも思っていなかった。


 商品は、私が長年の修業で磨き上げてきた、まさに傑作と呼べるブラックジョークの数々だ。皮肉と毒に満ちた言葉の弾丸が、世間を震撼させるだろう。私はこのジョークコレクションを「魔王の禁断ジョーク集」と名付け、高値で売りに出した。


「魔王の禁断ジョーク集」なる怪しげな一冊。その分厚い皮表紙には、禍々しい黒魔術の記号が刻まれており、幾千年もの呪いが込められているかのようだった。

 ページをめくると、内部は穿ったユーモアと危険な冒涜の入り混じった奇怪な光景が広がっていた。そこには、不気味な悪魔から皮肉なエルフまで、さまざまな不吉な生き物が描かれ、それぞれが辛辣で下劣なジョークを披露していた。


 そのジョークは、死後の世界からトイレの習慣まで、ありとあらゆるテーマを扱っていた。死者の墓を荒らすゾンビ、反逆的な妖精、愚かなゴブリンなど、登場人物たちは皆、独自の歪んだユーモアセンスを持っていた。


 魔王がなぜこのような禍々しいジョーク集を編纂したのかは謎だったが、その内容の非道徳性と破壊的な皮肉には、どこか奇妙な魅力があった。それは、危険な知的探検であり、ダークファンタジーの領域に迷い込んだような気分だった。


 予想に反して、このジョーク集は瞬く間に話題を呼び、大ブレイクを果たした。世の中が私のブラックジョークに飢えていたのだ。だが、まさかこんなにも大規模に受け入れられるとは思ってもみなかった。


 注文が殺到し、私は捌ききれないほどに忙殺された。通販中毒でボロボロになった懐は、みるみるうちに潤い始めた。やがて私は、世界征服基金をはるかに上回る莫大な財産を手にしたのだ。


「ははは、通信販売とはなんと恐ろしい魔術か。世界征服の資金どころか、それ以上の財を手に入れてしまったではないか……」


 皮肉屋の魔王は、通信販売という新たな武器を手に、かつてないほど強大な力を手に入れた。かのように思われた。。。


 世界征服の夢が通信販売の沼に沈んでしまった。パート2である。


「また、やらかしてしまった。。。。」


 資金は底をつき、絶望の淵に立たされた私は、ブラックジョークという秘蔵っ子を売りに出した。


 しかし、この荒業が予想外の事態を招いた。ジョークが世に溢れ出し、人々は「ブラックジョークパニック」に陥った。毎日のように同じジョークに晒され、飽き飽きしていたのだ。

 資金を得るためにはやむを得ない、私はパニックを逆手に取り、さらなる皮肉と危険を孕んだブラックジョークの発明に挑んだ。でも敬愛するブラックジョークにこんなことをしていいのか?


「違うんです、ヴィクター様!ブラックジョークは社会の闇の部分を暴き、人々を考えさせるんです!」


「そうは言っても、需要があるとは思えない。」


「あるんです!インターネットで検索したら、ブラックジョークが人気を集めていることが分かりました!」


「検索で調べたのか?それは信用できない情報だ。」


「でも、ヴィクター様、私はしっかり調べたんです!ブラックジョークは社会現象になっているんです!」


「たとえそうだったとしても、我々は商売人ではない。ブラックジョーク集を売って金を稼ぐのは下品だ。」


「私たちは世界征服をするために、資金が必要なんです!」

「どうでもいいです、ヴィクター様!私たちはブラックジョーク集を売って大金を稼ぎましょう!」


 ミスティの熱意は私を圧倒したが、彼女のブラックジョークセンスは私を寒気させた。


「ミスティ、ブラックジョークが社会情勢を風刺していることは認めるが、それが大金を稼ぐための良い方法だとは思えない。」 彼女の理想主義は賞賛に値するが、現実には合わない。


「でも、ヴィクター様、私たちの才能があればできるんです!」 ミスティの自信は揺るがないが、私は懐疑的だ。


「私たちの才能は、世界征服に役立てなければならない。ブラックジョーク集を売って金儲けに走るべきではない。」 


世界征服は私の夢であるが、そのためには尊厳を犠牲にすることはできない。


「私たちにはブラックジョークしかありません、ヴィクター様!」 ミスティの必死さは胸を打つが、私の決意は動かない。


「ブラックジョーク集を売るのは、私たちの品位を貶める行為だ。世界征服という大義にふさわしくない。」 

 私は信念を貫くつもりだ。たとえミスティががっかりしても。


 一方、正義のヒーローアキレウスは、このパニックを私の悪ふざけのせいとみなし、決戦の用意を始めた。世界は、ブラックジョークの魔王と正義のヒーローの激闘の舞台へと変貌したのだ。


 ジョークが人々の心を毒し、社会の秩序を乱していく。私はかつてない危機感を抱いた。パニックを止めなければならない。だが、どうすれば……。


 そんな時、あるアイデアが閃いた。世界を笑い殺すほどの、究極のブラックジョークを創造すればいいのだ。この世からジョークを根絶やしにする、壮大なジョークを。


 私は夜も寝ずに執筆に没頭した。ついに、ブラックジョークの傑作が完成したのだ。このジョークを世に放てば、パニックは一挙に終息するだろう。


 だが、アキレウスが立ちはだかった。ジョークの力を危惧し、この世から消し去ろうと躍起になっていたのだ。私はブラックジョークの魔王として、彼と相対することになった。


「冗談はよせ。俺が世界征服を企む理由は理解したろう。」 ヴィクターの目は本気だった。彼の声は低く、震えるほど深刻だった。


「ヴィクター、また黒いジョークか。いい加減、やめて真っ当な人間になれよ。」 アキレウスはヴィクターの態度に苛立っていた。彼は切迫した声でヴィクターに懇願した。


「つまり、俺が警察に通報されることを望んでいるわけだ。」 


 ヴィクターは冷たく言った。彼の目はアキレウスを見据えていたが、その瞳には諦めのようなものが混じっていた。


「ごめんなさい、ヴィクター様! アキレウス様はただご心配されているだけです。」 ミスティーはヴィクターをなだめようとして慰めた。しかし、彼女の言葉は虚しく響いた。


「心配するな、ミスティー。俺は警察の犬なんかにはならない。」 ヴィクターはミスティーに微笑んだが、その笑顔は皮肉を帯びていた。


「ヴィクター、ブラックジョークは人を傷つけるだけだ。世界を嘲笑うなんて、ばかばかしい。」 アキレウスはヴィクターの行動に怒りを感じていた。彼は真剣な目でヴィクターに説得しようとした。


「それが俺の生きがいだ。俺の人生はブラックジョークそのものだ。」 ヴィクターはアキレウスの言葉に耳を貸さなかった。彼は自分の信念を貫いていた。


「そうです! ヴィクター様のジョークは、社会のひねくれた部分を暴くんです。」 ミスティーはヴィクターの味方をした。彼女の目は誇りに満ち溢れていた。


「それはただの人を傷つけるための言い訳だ。」 アキレウスはミスティーの言葉に反論した。彼の声には怒りと失望が入り混じっていた。


「そうだ。俺はこの通販が蔓延している社会を嘲笑いたい。」 ヴィクターはアキレウスに反論した。彼の目は冷酷さを帯びていた。


「ヴィクター様を捕まえてはいけません! 彼が世界を救うんです。」 ミスティーはアキレウスに懇願した。彼女の目は涙で溢れていた。


「ブラックジョークで世界を救う? 正気か?」 アキレウスはミスティーの言葉に呆れた。彼はヴィクターの行動を理解できなかった。


「もちろんだ。俺のジョークは世界に不正を暴き、人々を思考させる。」 ヴィクターは自信たっぷりに言った。彼の目には狂気的な閃きが宿っていた。


「それは言い訳にすぎない。お前のジョークは単なる悪意だ。」 アキレウスはヴィクターの言葉に反論した。彼の声には怒りが込められていた。


「違います! ヴィクター様は通販のために戦っているんです?」 ミスティーはヴィクターの無実を主張した。彼女の目は決意に満ちていた。


「そう、俺が世界を征服する時、すべてを笑い飛ばすだろう。」 ヴィクターは不気味な笑みを浮かべた。彼の目は狂気を宿していた。

 世界は一瞬、漆黒の闇に包まれた。そして、静寂が訪れた。ブラックジョークパニックは終わり、私は永遠の闇へと消え去った。


 私のブラックジョークは、世界を笑い殺すどころか、永遠の沈黙にもたらしたのだ。これが、ブラックジョーク通信販売の呪縛の結末であった。


 私のブラックジョークが世界を揺るがした。皮肉と辛辣さで人々を笑わせ、混乱の渦に巻き込んだ。その渦中に現れたのは正義の化身、アキレウスだ。彼は私の悪ふざけに激怒し、決戦を挑んできた。


 私たちの戦いは、ブラックジョークを武器とする私と、正義の力で戦うアキレウスとの対決となった。私は言葉の刃で彼を挑発し、皮肉と辛辣さで切り刻んだ。だが、アキレウスは屈しなかった。彼は私のジョークを「くだらない」と一蹴し、私の挑発を無視した。


 側にはミスティという、私を支援するドジな仲間がいた。彼女は「ヴィクター様、いつも最高です!」と叫びながら、私のブラックジョークをアキレウスにぶつけた。だが、アキレウスは顔色ひとつ変えずに耐え、ミスティのドジを笑う余裕さえ見せた。


 戦いは熾烈を極め、世界はジョークと正義の激突に振り回された。皮肉と辛辣さが正義の力とぶつかり合い、どちらが勝つかは予測不可能だった。果たして、笑いの刃が正義の盾を貫くのか?それとも、正義の剣がジョークの軽薄さを断ち切るのか?世界は固唾をのんで、その結末を待ち受けていた。


 私のブラックジョークが世界を混乱の渦に巻き込んだ。人々は嘲りの嵐に飲み込まれ、笑いの中ですべてが狂気へと向かった。だが、アキレウスが怒りの炎を燃やして私の前に立ちはだかった。


 戦いはすさまじく、私のジョークはアキレウスの正義の信念を容赦なく嘲った。しかし、彼は決して屈せず、私のジョークを「くだらない戯言」と一蹴した。一方、ミスティは必死に私を支えようと奮闘していたが、相変わらずのドジぶりで混乱を招くばかりだった。


「ヴィクター様、最高のブラックジョークを!」ミスティが叫びながら、アキレウスを笑いの渦に引き込もうとした。だが、アキレウスは静かに耐え、私の悪ふざけを打ち砕く「正義の光」を放った。


 私のジョークは消え去り、世界は再び静寂に包まれた。私は敗北を認めざるを得なかった。ブラックジョークマスターになるという私の野望も打ち砕かれた。


 私は自分の行為の愚かさを悟った。世界の笑いをすべて奪おうとしたのだ。世界はジョークと正義が調和する場でなければならなかった。アキレウスは正義のヒーローとして立ち上がり、ミスティはドジながら平和な日々を送った。そして、世界は穏やかな光を取り戻したのだ。


 ミスティの賑やかな応援にもかかわらず、私のブラックジョークはアキレウスの「正義ビーム」の前に次第に力を失っていった。滑稽と苦悶の境界線が曖昧になり、場内には戸惑いが漂った。


 アキレウスは、私のふざけが世界を冒涜していると非難した。「ジョークとは笑うためのものであって、人を傷つけるためのものではない!」と彼は咆哮した。


 一方、ミスティは必死に私の窮地を救おうとしたが、そのドジな性格が仇となり、誤って私に「正義ビーム」を発射させてしまった。私は悶絶の叫びを上げながらよろめき、ブラックジョークマスターとしての夢は打ち砕かれた。


 こうして、「ブラックジョーク」の時代は幕を閉じた。アキレウスは誇らしげに立ち尽くし、世界に正義が戻ったことを高らかに宣言した。私は無念に逮捕され、自分のユーモアのセンスが単なる悪ふざけだったことを悔やんだ。


 そして、ミスティはようやく自分のドジを自覚し、皮肉にもヒーローを目指す決意を固めた。彼女は「ドジヒーロー、ミスティ!」を名乗り、世に挑んだ。失敗を重ねながらも、それでも彼女は人々に笑いと希望を与え続けた。


この度は、私の小説をお読みいただき、誠にありがとうございます。ページをめくるごとに、私の作り上げた世界と登場人物たちと共に時間を過ごしていただけたことを大変嬉しく思います。


この小説を書く過程は、私にとって一つの冒険でした。登場人物たちと共に喜びも悲しみも経験し、彼らが成長し変わっていく姿に、自分自身もまた多くのことを学びました。この作品を通じて、読者の皆様にも何かしらの感動や共感、考えるべき点を提供できたなら、これほど嬉しいことはありません。

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