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負けず嫌いの転生 〜今度こそ幸せになりたいと神様にお願いしたらいつの間にかお姫様に転生していた〜  作者: 山里 咲梨花


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鑑定魔法の威力

アデルは、不本意ながらも大好きなディー兄様のために情報収集に頑張ります。

考えていたよりもスルッと目的を達成できそうです。

 私がセシルと話をしている間に、同じテーブルに着いていた4人の男子生徒の所には、彼らの友人達が集まって来ていた。テーブルの周りにそれぞれのグループを形作って会話を楽しんでいる様子だ。


 その様子を冷静に見極めていたアンドレ様が私に

「王女殿下、御身の安全の為にあちらの席にお移りいただけますでしょうか」

と、声をかけてきた。


 その声に、いつの間にか周囲が混雑していた事に気付いた私は、移動した方が良いのかを確認するために護衛騎士のマティアスの方を見た。

 私の視線を受けたマティアスは無言で頷くと、もう一人の護衛騎士マルクとアイコンタクトを交わして移動のための護衛体制になった。

 やはり移動した方が良いようだ。


 アンドレ様が案内したのは、上座側に少し離れて設けてある小さい丸テーブルと一脚の豪華な椅子だった。

 アンドレ様にエスコートされるままにその豪華な椅子に座った私は、こっそりと溜め息をつく。


 何これ! 謁見かよ!

 これじゃ堅苦しくてお茶も飲めないじゃん!

 あーあ、こんなんじゃ碌に話もできゃしない。

 誰の差し金だ?

 うしっ! 逆手に取ってやる!


「アンドレ様、大広間内に控えているわたくしの側近見習い達とセブランを呼んで来てくださいませ」

「…かしこまりました」

 何か言いたそうにしているアンドレ様の顔を笑顔のまま黙って見上げていたら、アンドレ様が根負けしたように承知して動いてくれた。


 ディー兄様が相手なら何を考えているのか解るんだろうけどねぇ。

 私が相手じゃイマイチ解らないんだろうねぇ。

 説明もしてないしねぇ。

 

 そのやり取りとアンドレ様が立ち去ったのを見ていたメアリがすかさず小声で

「姫様、いかがなさいましたか?」

 と聞いてきたので、私も小声で

「これでは謁見みたいで堅苦しいでしょう? だからチビっ子軍団の可愛らしさで雰囲気を和らげるの。良い考えでしょう?」

と答えた。

 メアリとマティアスが私の後ろで苦笑しているのが判ったけれど、私は敢えてのおすまし顔でスルーだ。


 護衛騎士見習い達を従えたセブランが、こちらに向かって颯爽と歩いて来るのが見える。

「王女殿下、お呼びでございますか」

 私の前に片膝をついてセブランが尋ねると、その後ろにセブランに倣って護衛騎士見習い達が片膝をつく。見習い三人はキチンと帯剣していた。

 それを確認した私はセブランに相談を持ちかけた。


「セブラン、見習い達をわたくしのお飾りに使っても良いかしら?」

 セブランは眉を寄せて問い返す。

「王女殿下、それはどういう意味なのかご説明いただけますでしょうか」


「あのね。わたくしは今日、どうしても参加しているご令嬢達からある情報を引き出したいの。それも周囲に悟られないように世間話のようにしたいのよ。それなのに見て、この状況。まるで謁見だわ。これでは子ども相手に萎縮するなと言う方が無理があるでしょう?」


 セブランは近付いて来ながら状況を把握していたらしく苦笑しながら答える。

「そうは言われますが、王女殿下もまだ幼い子どもで在られます」

「そうなの。しかも今日のお客様よりもチビっ子なのよ。だからね、チビっ子軍団の可愛らしさで場の雰囲気を和らげようと思うの」

「なるほど、情報収集の戦略といった所ですか」

「うふふ、セブラン達の護衛業務に支障が無ければお願いしたいのだけど、どうかしら」


 セブランは、マティアス、マルクとアイコンタクトで何かを確認し合うと

「王女殿下のお望みのままに」

と答えてくれた。


 そこに三人の文官見習いを引き連れたアンドレ様が戻って来た。

「王女殿下、三人を連れて参りました」

「ありがとう存じます、アンドレ様。今から、三人にわたくしの側についてもらいますのでアンドレ様は少し離れていてくださいませ」


 私の言葉を聞いているうちにみるみる血の気が引いてしまったアンドレ様が、顔を強張らせて尋ねてきた。

「王女殿下、私は何か、その、王女殿下のご不興を買うような真似をいたしましたのでしょうか」


「まあ、ごめんなさい。そうではないのよ。誤解させてしまってごめんなさいね。わたくしが女子生徒の皆様とお話しする時だけ少し下がっていて欲しいの」


 私の言葉を聞いたアンドレ様は訳が分からないといった顔で尋ねる。

「王女殿下、何故、私だけが下げられるのでしょうか」


 うーん、年頃の女の子の心の機微なんて説明しても理解できるかな?


「わたくしは女子生徒の皆様と親しくお話をしたいのです。でもその時に女子生徒に人気があるアンドレ様が近くにいたら、女子生徒の皆様の気持ちがアンドレ様の方に向いてしまって、わたくしとの会話がおざなりになってしまうでしょう?」


 アンドレ様の顔が、鳩が豆鉄砲を食ったようになる。私が、アンドレ様は女子に人気がある、と知っている事に驚いたようだ。

 それが可笑しくて笑いを堪えて話し続ける。

「もちろん、男子生徒には必要に応じて牽制なり何なり、お好きなように対応していただいて構いません」


 言い終わった私がうふふと笑うと、アンドレ様はまるで見本のような唖然とした顔になった。そして私の側近達や見習い達を見回してフッと笑ったあと、なるほどと呟いた。

「かしこまりました。王女殿下の御心のままに」


 どうやら私の目論見を読み取ったらしいアンドレ様は、やっと血色が戻った顔色になって、納得しましたとでも言うように承知してくれた。



 今回、呪いの魔道具の事が無ければ、未就学の私がお茶会に出て深く関わる必要は無かったはずだ。

 しかし、私には「鑑定」の魔法がある。

 土の神ソルテール様から私にではあるけれども、王家にとって都合の良い魔法をタイミング良く賜った事には、何らかの六つ柱の大神の思惑があったのではないだろうか。

 その思惑が何なのかは教えてもらえないのだろうけど、必要になる時を見越していたのだと思う。


 なんか面倒な事が起こるんだろうなぁ。

 今、まさに面倒だもん。


 タイトルは忘れたけれど前世で読んだ本に書いてあって、負けず嫌いの私が感銘を受けて実践している事がある。

 それは、困難な時ほどまず笑ってみるという事だ。

 だから、今もこっそりニカッと笑ってすぐおすましの顔に戻した。


 ところで、最近になって気付いた事がある。それは私の記憶についてだ。

 前世の記憶が戻る前のアデルの記憶に穴があるように、私の前世の記憶にも穴がある。

 例えば、先程の本のタイトル然り、前世の名前、住んでいた所など思い出せない事がたくさんある。

 そして、前世の記憶の思い出せない事柄にも法則性が無いのだ。

 

 自分でも不思議なのだけど、前世の記憶を思い出せないからといって

 何で思い出せないんだろう!

 というような焦りは全く無い。

 もう生まれ変わっちゃったんだから有る物で何とかするしかない。

 必要なら学べば良い。

 私は(したた)かに生きていくんだ、ってなもんよ!

 ちょっと思考が脱線したね。えへっ。


 その強かさを発揮して、物問いたげなお兄様方の視線を無視した私は、雛人形のようにチビっ子飾りを配置していく。

 配置の目安は、女子心をくすぐる可愛らしさを前面に、だ。

 私を中心に文官見習いを両サイドに立たせて、それを守るように護衛騎士見習いを並べる。

 これでチビっ子飾りの完成だ。


 メアリが前の方から確認して、私の狙いどおりに可愛らしい集団になっていると教えてくれた。

 メアリ、セブラン、アンドレ様にはチビっ子七人飾りの後ろに立ってもらう。


 すると、チビっ子飾りの様子を見ていた人達の中から、三人の令嬢が連れ立って私達の方にやって来るのが分かった。

 私は両サイドにいる文官見習い達に声をかける。

「カロリーナはメアリに言って王城の侍女に椅子を三脚準備させてちょうだい。

フロランスとクロードは記録の準備を整えてね」

「「「かしこまりました」」」


 続いて護衛騎士見習い達にはこう声をかけた。

「和やかな雰囲気にしたいから、あんまり威嚇しちゃダメよ」

「「「はっ」」」


 こちらに向かって来る三人の令嬢の先頭は側仕え見習いのセシルで、他の二人を案内しているように見える。

「王女殿下、こちらのお二人をご紹介させていただいてもよろしいでしょうか」

「許します」

「お許しをありがとう存じます。早速でございますが、こちらはルーセル侯爵令嬢のアマンディーヌ様でございます。そしてフェルネール侯爵令嬢のオディール様でございます。オディール様はノビリタスコラの四年生、アマンディーヌ様は三年生でございます」


 オディールとアマンディーヌから初対面の挨拶を受けると、令嬢達に王城の侍女が用意した椅子に座るよう促した。

 私はこの二人の父親とは既に面識がある。

 オディールの父親はお母様の筆頭文官のパトリスだし、アマンディーヌの父親は総務局次長のルーセル侯爵だからだ。

 中央貴族である二人は、娘との会話のネタに私の事を話していたようだ。

 パトリスは、私とお母様の仲の良さや私が大人びた考え方をする事などを、娘に話したらしい。一方、ルーセル侯爵は、私が年齢の割に聡明で家族想いなのだと娘に話して聞かせたようだった。

 だからだろうと思うけれど、二人の令嬢は私の事をチビっ子扱いしなかった。


 私にとってはむず痒い、しかし対外的には当たり障りのない話が一段落すると、それまで控え目にしていたセシルが真剣な顔で私に話しかけた。

「王女殿下、実はわたくし、このお二人から、直接王女殿下のお耳に入れたい話がある、と相談を受けております。わたくしの一存では返事をする事が出来ませんでしたので、こうしてお二人をご案内いたしました。この場で、そのお話をする事をお許しいただけますでしょうか」


 セシルには事前にお願いしていた事がある。早速、情報を持って来たのだろう。

「許します。ただし、周囲に話の内容を気取られないように配慮して話す事が条件です」

 私はお兄様方直伝のアルカイックスマイルを駆使して許す。

 オディールとアマンディーヌは、私の意図が理解できたらしく、これまた綺麗なアルカイックスマイルを浮かべると、お互いに顔を見合わせて頷いた。

 話をするのは年上のオディールのようだ。


「お許しをいただきましてありがとう存じます。王家に対する不敬を見過ごす事が出来ませんでしたので、こうして王女殿下にお話させていただく機会を得られた事に感謝いたします。何しろ女性の事は、殿方にはご理解いただけない事も多々ございますので…」

「…言わんとする所は何となく分かります。それで?」


「ノビリタスコラの王太子殿下と同学年に、昨年、デイデウス領主の養女となったジュリエッタ様という方がおられます」

「デイデウス領主という事は、男爵令嬢ですね」

「左様でございます」


 国内の領主の身分は、上から侯爵、伯爵、子爵、男爵と4階級あるが、全て国王の直臣である。


「その方に、王家に対する不敬な言動があったという事ですか?」

「はい、左様でございます。ジュリエッタ様は、自分が王太子殿下の婚約者候補である、と吹聴しているのです。現時点で王太子殿下の婚約者候補は公表されておりません。嘘であれ真実であれ、あちらこちらでこの様な事を吹聴する事は、不敬罪に問われても文句は言えないとわたくし達は考えております」


 オディールの言う事は正論ではあるが、未成年に対して罪を問う前に、保護者に対して改善と教育を申し渡すのが先ではないかと思う。その様な事はオディールも分かっていると思うのだが、もう少し話を聞いてみよう。


「あらまあ、そのジュリエッタ様はどんな方なのかしら?」

「ノビリタスコラではPクラスに在籍されています。あ、ノビリタスコラは、優秀なEクラス、標準的なSクラス、少し劣るPクラスに分かれております」


 ノビリタスコラのクラス分けが成績順になっている事はお兄様方に聞いて知っていたので、ニコニコ顔のまま黙って頷く。


 そのジュリエッタ様とやらはお勉強が苦手のようね。

 なんかおつむが軽くて口まで軽い子なのかな?


「なんでもジュリエッタ様はデイデウス男爵の分家筋のお生まれだそうで、豊富な魔力量を見込まれて王家に嫁がせる為にデイデウス男爵が養子になさったんだ、と伺いました」

「オディール様は、その様な領主家の内情をどなたからお聞きになったの?」

「わたくしはここにいるアマンディーヌ様から聞きました」

 オディールはそう言うとアマンディーヌの顔を見た。それを受けて

「わたくしは、ジュリエッタ様がご友人にお話しされているのをすぐ近くで聞いてしまいましたの。あれは、おそらく周囲に聞かせる為に大きなお声でお話しされていたのだと思うのです」

と、アマンディーヌが答える。


 アマンディーヌは話の内容が核心に近付いたからか笑顔を保つ事が難しくなった様で、両手で頬を押さえている。


「では本人が吹聴している所を目撃したのですね?」

「はい、何度か」

「何度か?それはまた何と言いましょうか。本人が自分の妄想を後先考えずに撒き散らしている、という事なのでしょうか」


 私が口にしたあけすけな疑問に目を丸くして驚いた二人は、私が面白がっている様子を見て取るとすぐに柔らかな笑顔になった。


「王女殿下の仰せのとおりでございます。わたくしが聞いたのは、先程オディール様が話された事を自慢げに周囲の方にしていた事に加えて、今は候補だけれどすぐに本決まりになるとか、自分は王太子殿下と結ばれる運命だとか、自分は誰よりも王妃に相応しいのだから身分の差があっても大丈夫だとか、誰が聞いても『王子様に憧れる幼子の夢』のような内容でございました」


 ふーん、身分の差がある事は知ってるんだぁ。

 でも、その意味についてはよく理解してないみたいだねぇ。

 ディー兄様のご学友が放置するのも解らんでもないけどねぇ。

 困ったもんだ!


「そうなのですね。ですが、王家に関する作り話を大きな声で何度もすると不敬罪になる、と教える方はいらっしゃいませんでしたの?」


 ディー兄様と同学年という事は満11歳、数え年で12歳という事だ。

 この世界は身分制度がしっかりしている分、身分に関する失態をすると貴族社会から弾き出されてしまう。その為、お茶会等を通じて幼い頃から教育されるのが、貴族社会での当たり前の常識となっている。

 にも関わらず、この有り様なのはどうした事だろうか。


「もちろんおりました。見かねた高位貴族の何人かのご令嬢が、それとなくご注意されたのですが…」


 アマンディーヌ様が右頬に手を当てて言い淀むと、オディール様がまるでお天気の話をするかの様に穏やかに補足する。


「問題はそこなんですの。その場では、ご忠告ありがとう存じますとか、以後気を付けますとか、しおらしくお返事なさいますけど、舌の根も乾かぬうちにご注意なさったご令嬢の悪口を、有る事無い事吹聴して回るのです。嫉妬は見苦しいだの、身分を笠に着ているだの、訳の分からない理屈で事実無根の濡れ衣を着せるのが手に負えないのですわ」


「あらあら、その行為も高位貴族に対する不敬ですわね。無駄にプライドが高くてらっしゃるのかしら」


 ディー兄様に関する事でなければ放置しても良いくらいの案件だけどなぁ。

 念の為、確認だけはしておこう。


「そのジュリエッタ様は今、どちらにいらっしゃるのかしら?」


 事前チェックでは重要視していなかった下位貴族のご令嬢だ。私には、どんな人なのか全く分からない。

 私の問いに対して動いたのは、ジュリエッタと同学年のアマンディーヌだった。アマンディーヌは優雅な動作で自分の側仕えに何事か指示をしている。

 指示を受けたアマンディーヌの側仕えは、さりげなくメアリの側に来て、何事かメアリと打ち合わせると静かに自分の主人の所に戻って行った。

 すぐにメアリが私の後方から耳打ちする。


「姫様、ジュリエッタ様は今、大広間の後方で立ち話をなさっております」

 私は顔を上げて大広間の後方を見た。立ち話をしている人は結構たくさんいる。

「右側のグループ、亜麻色の髪に大きめのピンクのリボン、濃いピンクのドレスをお召しでございます」


 メアリが教えてくれるとおりに探すと、どぎついピンクのドレスが目立っていて直ぐに見つける事が出来た。

 私はその女の子を見つめると、頭の中に漢字の『鑑定』を思い浮かべた。

 今回は対象者が離れた所にいたけれど、対象者の頭上に出現したウインドウは、楽に文字が読める大きさに拡大されていた。


 魔法ってホント私に都合良く出来てるよねぇ。



ジュリエッタ・ル・デイデウス

 年齢  13歳

 性別  女性

 配偶者 未定

 出自  トールトスディス王国 デイデウス男爵庶子

     ・懐妊した状態で母親が義父と婚姻

     ・義父の実子として洗礼

     ・男爵夫人の死去を機に実父の養子になる

 肩書  デイデウス男爵養女

 職業  学生

 称号  無

 特記  状態異常(義父による洗脳)



 あれ? 13歳?

 ディー兄様と同じ三年生なら12歳のはずだよね。

 うわー、家庭環境、めっちゃ複雑。

 この原因はもしかして男爵夫人がキーパーソンなのかなぁ?

 ん?

 洗脳?

 誰が洗脳したかまで出てるよ!

 鑑定魔法の威力、まじハンパねえ!

 何か魔法のアイテムを身に付けてるのかなぁ?

 ここからじゃ遠くて分かんないや。


 13歳にしては小柄なその対象の少女は、屈託なく楽しげにお喋りしている。

 私は視線をオディールとアマンディーヌに戻して会話を続ける。


「一応、ジュリエッタ様を確認いたしましたわ。お話はもう終わりでよろしかったかしら?」

「申し訳ありません。もう一つ気がかりな事がございます」

 まるで、武装を固めるかの様にアルカイックスマイルを浮かべたオディールが、改まった様子で報告を始める。


「実は一年生から三年生の下位貴族の中に、ジュリエッタ様の妄言を鵜呑みにしている方が何人かいらっしゃるのです。その方達の言動が、どうにも危なっかしくて心配しておりますの」

「と言うと?」

「今のところ5人程度ですけれど、何やら第二王子殿下に対して、ジュリエッタ様が王太子殿下の婚約者である、と認めさせて味方につけようと突撃している様なのです。今はまだ側近の皆様のガードが固くて成功していない様子ですけれど…」

「シル兄様に? それはまた…。分かりました。お二人とも耳寄りなお話をありがとう存じます。こちらでも何か手が打てるのか考えてみますね」


 私がニコリと笑って二人に告げると、二人は安堵した様子で辞去して行った。


 三人が去った後、チビっ子飾りが功を奏したのか、次々と高位貴族の生徒が挨拶に来てくれた。流石に下位貴族の生徒は近寄れなかった様だが、私が作った空気感のせいで、終始、お子ちゃま扱いをされた。

 当然、これ以降はまともに情報収集は出来なかったが、目的は最初の三人で達成できているので全く問題はない。

 チヤホヤしてくれるお兄さん・お姉さんに囲まれて、ご満悦でお茶会を終えたのだった。

呪いのアイテムは見つかりませんでしたが、問題の概要は見えてきました。

あとは、家族に相談する事になるでしょう。

次回は、転移陣の設置です。

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