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父王との会談

いよいよお父様との話し合いです。

色んな疑問を解消できると良いのですが…。

 翌日の朝は、ぐっすり眠れたこともあって爽やかな気持ちで目覚めた。すぐに、メアリが天蓋(てんがい)を上げてくれたので、早々にベッドから出て顔を洗う。


 お姫様の支度って、一から十まで全て側仕えにしてもらうから、ものすごく恥ずかしかった。自分でもできると言ったら、それは側仕えの仕事を取り上げることになります、とメアリに叱られてしまった。


 うー、早く慣れなくては…。


 メイドだと思っていた人達は、側仕えという私の側近なのだそうだ。そして、私の側仕えは5名いる。

 今朝は、全員でお世話してくれました。そして、私が目覚めた事を、皆、喜んでくれました。照れる。


 メアリは、前世の私と同じくらいの年齢に見える。さすがに女性に年齢を聞くのは失礼なので、聞いていないが、5人の中で一番年長に見える。

 そのメアリが、筆頭側仕えと呼ばれるリーダー格になるらしい。


 貴族には、国王が任命する地方領主と中央貴族、地方領主が任命する地方貴族がある。中央貴族は城に勤める人、地方貴族は領主の館に勤める人、なのだそうだ。


 メアリは、中央貴族のオーレンフロス侯爵夫人だ。二人の子どもがいて、二人とも成人している為、私の側近として働く事ができるのだ。

 側仕えには、メアリと同じ年代のオリビア、30歳前後のマルティナ、10代後半のオデットとイザベルがいる。全員、お母様が選んで付けてくれたらしい。


 支度ができたので、朝食を取りに食堂に向かおうと扉を開けると、廊下に騎士が5名も待っていた。記憶では、私の護衛騎士は3名だったと思うのだけど…。


「姫殿下、おはようございます。お元気になられた様でよろしゅうございました」

 この人は、いつも一緒にいてくれる優しいおじ様騎士だ。確かセブランと呼んでいた。私の筆頭護衛騎士らしい。それから、いつものお兄さん騎士のマティアスとマルクが見当たらない。


「セブラン、おはようございます。今日は騎士の方が多いのですね。何かありましたか?」

「いえ、陛下の近衛が姫殿下をお迎えに参上しております。陛下のご指示ですからどうぞお気になさいませんように。」

「わかりました。お父様にお礼を申し上げますね。さあ、参りましょうか」

 近衛騎士2名に続いてメアリが先導し、騎士達に守られながら、私は食堂に朝食を取りに向かった。


 この大袈裟さが王女の普通なら、早く慣れないとね。


 食堂に入ると、お母様、ディー兄様、シル兄様が席に着いていた。

 メアリが、後ろから私だけに聞こえる声で教えてくれる。

「姫様、朝のごあいさつを」

 私は、記憶の中のアデルを真似る。


「お母様、ディー兄様、シル兄様。おはようございます」

「アデル、おはようございます。さあ、母様の隣にいらっしゃい」

 私は、ニッコリ笑ってお母様の隣へ向かう。


「アデル、おはよう。もう普通にご飯を食べられるのかい?」

「ええ、シル兄様。ホワイエ男爵夫人は何も仰らなかったから大丈夫だと思うわ」

「おはよう、アデル。一緒に朝食が取れて嬉しいよ。さあ、座って」


 向側に並んで座る兄様たちが、とても嬉しそうだ。

 私、本当に心配かけたんだなぁ。

 あれ、お父様はどうしたんだろ。


「お母様、お父様は?」

「お父様は、しばらく朝食はご一緒できないの。でも、夕食は共にしようと仰っていたわ」

「お仕事が忙しいの?」

「そうよ、アデル」

 お母様がニコリと笑って私を見る。私を不安がらせない為だよね。私もニッコリ笑って答える。

「解ったわ」

 

 和やかな雰囲気の中、メアリの給仕で朝食を済ませた後、自室に戻って会談の為にドレスに着替える。着替えたら、再び側仕えと騎士達と一緒にお父様の執務室に向かう。


 アデルの記憶に、お父様の執務室はなかったので、初めて行くはずだ。


 城は、王家の私的スペースと公的スペースが別の建物になっていて、渡り廊下で繋がっている。公的スペースを王城、私的スペースを王宮、と呼んで区別しているらしい。

 城は広いので、今の私は近衛騎士の先導がなければ辿り着けない。王城で仕事をしている人は、たくさんいるらしいが、廊下を歩いている人は少ない。


 私の足で10分くらい歩いて、お父様の執務室に着いた。扉の前に近衛騎士が2名立っている。私を先導してくれた近衛騎士が、扉の前の近衛騎士に申し出る。

「アデリエル殿下がおいでになりました」

「しばらくお待ちください」

 扉前の近衛騎士が、扉をノックすると応答があり、それに答えて

「アデリエル殿下がお越しになっております」

と扉に向けて声をかける。

 そこで初めて扉が開く。出迎えてくれたのはランベール宰相だ。


「姫殿下、お待ちしておりました。どうぞお入りください」


 お父様の執務室に入ると、正面の執務机で書類仕事をしていたお父様が顔を上げ私に微笑みかけてくれる。

「よく来た、アデル。私の執務室に来るのは初めてだな」

「はい、お父様」


やっぱり初めてだった。


「さ、アデル、こちらに来て座りなさい。まもなくお母様も来るだろう。それまでお父様と一緒にお茶にしよう」

 私がソファに座るとお父様が私の右隣に座った。すぐにお父様の側仕えが、お茶とお菓子を出してくれたので、お茶をひと口飲む。すぐにお母様が来て私の左隣に座った。


 おおおっ、両手に花だ!


 なんて呑気に考えていられたのも、ここまでだった。


転生後のアデルにとって初めての事ばかりで執務室にたどり着くまでが長くなってしまいました。

次こそお父様との話し合いです。

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