水の神オークレールの懸念
六つ柱の大神のうち、アデルが面会していないのは、あと2柱です。
今回は、水の神オークレールと話をします。
お父様と一緒に王家所有の騎獣を見に行った日の翌日、早速、メアリに頼んで、騎士団を訪れる日をロベールおじ様が提示した日に決めてもらうように、騎士団にお願いしてもらった。
すごく楽しみだけど、その前にお父様の誕生日が来る。
私は、お父様の誕プレ用に、お母様とお揃いの図案を色違いで刺繍する事にして休日を費やして完成を目指す。
休日には時々、息抜きの為、今が見頃のバラ園を散策した。そうしないと側仕え達が、根を詰め過ぎだ、と心配するからだ。平日は授業を受けて、充実した日々を過ごしていたら、あっという間に月末になった。
今日は、六つ柱の大神と面会の日だ。支度を終えてお父様の居間に行くと、お父様とイザークおじ様、ロベールおじ様が待っていた。
「お父様、イザークおじ様、ロベールおじ様、おはようございます。お待たせして申し訳ございません」
「姫殿下、おはようございます。本日もよろしくお願い申します」
「おはようございます、姫殿下」
「アデル、こちらにおいで」
「はい、お父様」
お父様の手招きに応じてソファーに座っているお父様に近付くと、お父様は私を自分の膝の上に乗せた。周囲の側近達に聞こえても、問題が無いように話す。
「アデル、本日を含めて後2回で六つ柱の大神の全ての神に御礼言上が終わるが、今日は大丈夫かな?」
これを直訳すると、先月は辛い思いをさせてしまったが、今日は大丈夫か? という意味かな?
「大丈夫です、お父様。六つ柱の大神に祈りを捧げる事は、わたくしにとっても、王家にとっても、引いては国にとっても、とても大切な事だと心得ています」
これを直訳すると、愛し子である自分のせいでこんな事になっているのだから、国の為、コントラビデウスの為に努力しますよ、という意味で答える。
お父様とジッと顔を見合わせていると、探るような目で私を見ていたお父様の顔がフッと緩んだ。おでこをコツンと合わせてにっこりと微笑み合うと、お父様が小さな声で私だけに聞こえるように囁く。
「偉いぞ、アデル。さすが私の愛娘だ。君は君らしく振る舞いなさい。私達は皆、君の味方だ」
「ありがとう存じます、お父様」
そこに、お母様とお兄様方が到着する。
「よし、全員揃ったな。では神殿に参る。他の者はここで待機だ」
そう言ったお父様は、エレベーターの部屋に通じる扉の鍵を開ける。私は、両手をお兄様方にエスコートされて扉をくぐる。エレベーターの部屋に入ると、お母様が心配そうな顔で私の頬を撫でた。
「お母様、大丈夫です。今日もお母様が一緒に居てくださるので、私に不安はありません」
「さすが私の可愛い宝物です。けれど一つだけ言わせてね。泣きたい時は泣いても良いのですよ」
「お母様? 普通は、王女なのだから人前で涙を見せてはいけません、と言われるものだと思っていました」
「貴女が泣き虫さんならそう言ったでしょうけれど、貴女は我慢強いというか忍耐強いというか…。そちらの方が心配なのですよ」
そう言ったお母様は、苦い物を食べたような顔になっている。
私は、お兄様方に手を離してもらって、お母様に向かって抱っこをせがむように両手を広げる。それを見て腰を屈めてくれたお母様のドレスの裾を踏まないように気を付けながら、お母様の首に抱き付いた。
「お母様、いつも心配かけてごめんなさい。私が私らしくする事で、お母様が辛い気持ちになるのは本当に不本意なのですけど、そこは根っこの部分だからもう直らないと思うの。本当にごめんなさい」
お母様と顔を見合わせて、えへっと言う感じで笑って見せると、お母様の顔が、少し緩んだあと苦笑に変わった。
「本当にもう、貴女という子は…。分かりました。さぁ、参りましょう」
そう言ってお母様が立ち上がると、すかさずお兄様方が私の手を取る。お兄様方は力強く微笑んで、私をエスコートしてくれる。
お父様が言ったとおりみんな私の味方なんだと、じんわり心に沁みて来た。
神殿に着いて、いつものように魔法陣に入る。
今日は、魔力が吸い取られる時に、体内でどんな風に魔力が動くのか、意識して感じ取ってみようと思う。
お父様がいつもの祝詞を奏上する。
身体全体に温かい何かが巡り始めたのを感じる。微熱そのものが、血管なのか、神経なのか、伝わっていくような感覚だ。この微熱が魔力なんだろう。その微熱が少しずつ、魔法陣に触れている左膝と右足から流れ出ていく。
魔力の流れに気を取られていて、顔を上げた時にはもうレオアウリュム様が顕現していた。
「やあ、ルーチェステラ、久しぶりだね。それに、君達も元気そうで何よりだよ。うーん、やっぱり家族で揃って来てくれると、僕も嬉しくなるね」
「レオアウリュム様、お久しぶりでございます。本日は、ルーチェオチェアーノスと共に家族全員で参りました。本日も何卒よろしくお願い申し上げ奉ります」
「前はティーネブラスが不本意にも、ルーチェオチェアーノスを悲しませちゃったからね。ルーチェステラの気持ちは、六つ柱の大神もちゃんと判っておられるよ。純粋に、人間の魂に対する理解を深めたい、とお考えになっての事だから、本当に勘弁してね」
「恐れ多い事でございます」
「さて、今日は何か報告があるかな?」
「お陰様で恙無く国を運営する事ができましたので、特にご報告する事はございません」
「新領地フィデスディスレクスはどんな様子?」
「はい。新しく任命した領主ウリエルの報告では、領内各地に配されていた貴族の殆どがいなくなりましたので、新しく任命する人選に苦労した様ですが、それも、自分の側近であった中央貴族を連れて参りましたので、何とか目処が立った、と申しておりました」
「ああ、雷のせいだね。あれは六つ柱の大神の総意だから、今更だけど受け入れてね」
「重ね重ね恐れ多い事でございます」
「うん、じゃあ今日はオークレールに代わるね」
レオアウリュム様がふわりと浮かび上がって、くるりと前転すると、眩しい光がバッと広がる。その光にレオアウリュム様の姿が溶けて光の球体に変わると、球体が発する光が水色に染まっていく。強い水色の光に包まれた球体は、徐々に人型に変形して、水色の眩しい光が一際輝くと、水の神オークレールが顕現した。
宙に浮いたまま、胡座の姿勢で座っているのは、サラサラの長い水色の髪を無造作に後ろに流し、青い瞳を好奇心で輝かせている二十歳前後に見える青年だ。
「コントラビデウスの皆さん、初めまして。僕は、水の神オークレールです。
王のルーチェステラは貴方かな?」
「はい。お初にお目にかかります。ルーチェステラ・ル・ロワ・コントラビデウスでございます」
「貴方の代になって、箱庭の中が騒がしくなって、苦労かけているね。貴方達コントラビデウスの一族のお陰で箱庭の運営が上手くいっている。六つ柱とも感心しているよ」
「恐れ多い事でございます。労いのお言葉を賜りまして誠に有り難く存じます」
「ルーチェステラの伴侶は、素晴らしい女性だね。確かフォルゴランスの娘なんだよね。直答を許すから声を聞かせて」
思いがけなくオークレールに声を掛けられたお母様は、驚いた勢いでお父様の顔を見た。お父様がお母様に微笑んで頷くと、頷き返したお母様は微笑んで、覚悟を決めたらしく落ち着きを取り戻して挨拶する。
「お初にお目にかかります。アデリーヌ・ル・レヌ・コントラビデウス・ルグランでございます。わたくしにまでお声がけを賜りまして、誠にありがとう存じます」
「うん、実に優美で芯の強い女性だね。声も良い。これからも、ルーチェステラの支えになってあげてね」
「かしこまりましてございます」
「次代のコントラビデウスの王、ディーヴァプレは君かな?」
お母様の返事に満足そうに頷いたオークレールは、ディー兄様の方を向いて声を掛けた。
「はい、お初にお目にかかります。ディーヴァプレ・ル・ハフ・リテ・コントラビデウスでございます」
「なるほど、ラファーリエが君の事をとても褒めていたよ。次代の王も今代の王に負けないくらい頼もしいってね。僕も、実際に君に会ってそう思ったよ。期待しているからね」
「恐れ入ります。ご期待に添えるよう精進いたします」
「隣は、シルヴァプレかな?」
「はい、お初にお目にかかります。シルヴァプレ・ル・ハフ・コントラビデウスでございます」
「ほほう、君の事もラファーリエが褒めてたよ。ルーチェステラは、優秀な息子に恵まれているなぁ。シルヴァプレは将来、ディーヴァプレを支えられるようになりたいんだね?」
「はい、オークレール様の仰せのとおりでございます」
ウンウンとオークレールが嬉しそうに頷いている。
「ああ、後ろに居るのは、フォルゴランスの子とアールブムビィアの孫だね。君達二人がいつも、ルーチェステラと共に箱庭の運営に携わっているんだよね。それはルーチェステラを通じて、六つ柱はちゃんと分かっているよ。ああ、伝えたかっただけだから、畏まらなくていいからね。さて、ルーチェオチェアーノス、君と話ができるのを楽しみにしていたんだ」
「初めてお目にかかります。わたくしがルーチェオチェアーノス・ル・セス・コントラビデウスでございます」
もしかして、ティーネブラスの時のように、
頭で考えている事を読み取ってくれるのかな?
オークレール様、
わたくしの家族全員にお声掛けを賜りまして
誠にありがとう存じます。
オークレールは、私の顔を見てニッコリ笑って頷いてくれたが、念を押すように話しかけて来た。
「今日、僕は君と会話がしたいんだ。大丈夫かな?」
ん?
私の思考を読んではいるんだね。
さて、何を話したいのかな?
「かしこまりました」
「ははっ、緊張しないで楽にして。さて、僕は人間が大好きでね。よく観察をしているんだよ。特に水の星から来た者は面白いね」
「左様でございますか。それはつまり、わたくしを観察しているという事でしょうか。えと…。わたくしのどのような所を面白いとお思いになったのか、お尋ねしても宜しいのでしょうか?」
「いや〜、君の場合は観察というより、愛でているって感じかな」
「ん? という事は、わたくしの他にも水の星から来た方がいらっしゃるという事でしょうか?」
「そうなんだよ。ミラビリスマグムテラに落とし子の女の子がいてね。自分の事をジョシコーセーと言うのだが、ルーチェオチェアーノスはその言葉の意味を知っているかな?」
お、日本語か。
「はい、ジョシコーセーというのは高等学校の女子生徒という意味でございます」
「高等学校? 高等という言葉が持つ意味は、水の星と箱庭では違うのかな?」
あらー、その落とし子ちゃん、お花畑の住人?
それともイタイ子なのかな?
「いえ、言葉の意味は同じでございますが、学校の方が、高い水準の学校から低い水準の学校まで多種多様にございます」
「なるほどねぇ、ところでイタイ子とはどういう意味なのかな?」
やっぱ、読んでんじゃん!
「そうでございますね。言動がズレていたり、絡み辛かったりして、痛々しい人の事でございます」
「ははは、やはり面白いな。そのイタイ子はサヨリと名乗っている。サヨリは今、ガイスト聖国と自称している国の聖女というものに祭り上げられているんだがね。よく『セイジョハセイギダー』と叫んで、語呂がいいと笑っているんだよ。一体、何が面白いのか解るか?」
「は? …いえ、解りません。…なるほど、確かにイタイ子でございますね」
「じゃあ、オトメゲームって何か解る?」
んー、本で読んだくらいしか知らないなぁ。
私のオトメゲームの印象は、ご都合主義のキンタロウアメなんだよね。
あ、キンタロウアメは、どこを切っても同じという意味です。
「オトメゲームでございますか。この国には該当する単語がございません。一番、近いのは玩具でしょうか。乙女が素敵な男性を恋人にする為に攻略する、模擬型の遊戯とでも申しましょうか。カガクの概念が無いこの国では、その玩具の仕組みを説明するのが難しゅうございます」
「なるほど。では、ギャクハーとは何だろうか?」
いや私、オトメゲーム、やった事ないからそんなに詳しく無いんすけどねぇ。
たぶん逆ハーレムだよね。
こっちにハーレムってあんのかなぁ?
あー、説明がムズイ。
私はまだ8歳の子どもなんですけどねぇ!
「ああ、そう言えばサヨリは男を侍らすのが好きな様だな。そういう事か?」
「はぁ、まぁ、その様なものでございます」
サヨリちゃんてばイタイ上に脳内お花畑なのかぁ。
ま、確かに見てる分には面白いわな。
「ははは、面白いだろう? 今、サヨリの周囲には、ガイスト聖国の王子と王弟、騎士団長、セブスト神国の王子、ヴェーツ王国の王子を名乗る者達が群がっていてサヨリの心を掴もうと暗躍しているぞ。サヨリは『ヨリドリミドリィ』と言って喜んでいるが、落とし子争奪戦として見ても面白く観察できるんだよね」
ああ、選り取り見取りね。
現実はオトメゲームなんて生易しいもんじゃないだろうに。
誰とくっついても私には関係ないけど、ちゃんと大事にして貰えるといいね。
「左様でございますか」
「ふふふ、ルーチェオチェアーノスは思いやりがあるな。僕は君が無事ならそれで良いけどね」
「えっ?それはどういう…。あっ!オークレール様、御教えを賜る事は出来ますでしょうか?」
「いいよ、何でも教えてあげる」
「今、この世界に落とし子は、何人居るのでございましょうか?」
「今はミラビリスマグムテラに3人、あと君で全部で4人だね。通常、落とし子はミラビリスマグムテラに現れる。何故なら六つ柱がそうしてるから。必要な所に供給してるんだよ」
うわっ、何気に鬼畜!
人間を供給って神ならではの発想だなぁ。
「という事は、わたくしも供給されたのでしょうか?」
「まさか!それは無いよ。君の魂が水の星の冥界から何故、こちらの冥界に来たのかは知らない。けど、君はちゃんとこちらのルールに則って誕生してるよ」
少なくとも、私が物扱いされた訳じゃ無いのね。
「左様でございますか。安心いたしました。では、そのお三方は今、どこで、何をされているのでしょうか?」
「サヨリはガイスト聖国で聖女をしてるでしょ。それからセブスト神国の子は王子だし、ヴェーツ王国の子は大魔法使いをやってる。ほらね。ちゃんと供給されてるでしょ? だけどね、人間は欲が深い生き物だ。警戒は怠らない方が良い」
あれっ?
話の流れがめっちゃタイムリー。
私の思考を読んだから?
「ご忠告、誠にありがとう存じます」
「いやね。アールブムビィアがすごく心配してたからね」
お爺様の思考を読んだのかぁ。
お爺様の事だから、六つ柱の大神に私の無事を祈ってくれたのかもしれない。
本当に有り難いなぁ。
「アールブムビィア様には、この世界の事を沢山教えていただいております。本当に感謝しているのです」
「うん、分かるよ。さぁ、他に質問はないかい?」
「ではもう一つ、聖女とは神に認められた存在なのでしょうか?」
「いや、六つ柱が直接関わっているのはこの箱庭だけだし、落とし子を供給するのは箱庭を増やさずに済むからだ。僕達は人間を絶滅させたい訳じゃ無いからね」
ふーん、全ては六つ柱の大神の都合かぁ。
さもありなん、だね。
これに関して追及するのは、愚の骨頂だな。
「よく分かりましてございます。御教えを賜りまして誠にありがとう存じます」
「ねえ、ルーチェオチェアーノス」
「はい、何でございましょうか?」
「六つ柱の総意で君は僕らの愛し子になった。これは君が言う所の神に認められた存在だ。だから、僕達は君の味方なんだよ。価値観や思考に違いが生じるのは、神と人が相容れない存在だからどうする事もできない。それでも、君が我が子の様に愛しいんだよ。それだけは受け入れて欲しい」
あらら、熱烈に告白されちゃった。
んー、オークレール様の言い分は理解しました。
実際、ボンヤリとそうなんだろうなぁと思った事は何度もあったし。
あ、受け入れ切れてないのは事実だけど、拒否する気持ちは無いですよ。
これに慣れて、当たり前になるには時間が必要です。
それにお爺様に、神の愛に驕ってはならないって言われてるんです。
私、その言葉は正しいと思うんです。
だから
「大変有り難い思し召しに心から感謝申し上げます。これからも精進して参りますので、今後ともわたくしをお見守りくださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます」
「うん、解ってくれて良かった。これからもたまに僕達とこうして会話してくれると嬉しいな。君に名を授けたのは守りたかったからで、一方的に君の考えを知りたいからでは無いんだ。あ、これは強制では無いからルーチェステラと相談して考えてみてくれないかな」
「かしこまりました。お父様と相談いたします」
「じゃあ、僕は戻るよ。レオが限界みたいだ。ルーチェオチェアーノス、コントラビデウスの皆さん、また会いましょう」
オークレールは、控えている人達の顔を、一人一人見ながら挨拶した。そして、胡座の姿勢のまま水色の光を放つと、クルリと後転して光の塊に変化した。光の塊は水色を薄めながら、獅子を形造り始める。一瞬眩しく輝くと、レオアウリュム様の姿が完全に現れ、フワリと御台に降りて来たのだが、どうも様子がおかしい。
そのまま見ていると、立てずにぺしゃんと腹這いの状態になってしまった。
目を閉じたまま動かずに、ぐったりしている様子を見たお父様が、心配になって思わずといった感じで声をかける。
「レオアウリュム様、大丈夫でございますか?」
すると、レオアウリュム様がゆっくりと目を開けて、お父様の方に顔だけ向けて返事をした。
「ああ、ルーチェステラ、今日は凄くくたびれちゃったよ。オークレールから何か言われたかい?」
「はい、一人ずつ労いの御言葉を賜りました」
「うん、ちょっと待ってね。…特に無いみたい。ルーチェオチェアーノスは、何と言われたのか教えてくれる?」
「はい。落とし子について色々と御教えを賜りました。それから、これからも六つ柱の大神とたまに会って欲しいので、考えてくれと仰せになられました」
「うん、ちょっと待ってね。…六つ柱の大神も是非、会いたい、という事だよ。
お願いだから前向きに検討してね」
「かしこまりました」
「ごめんね。僕もう限界だからこれで帰るよ。質問は次回にしてね」
「かしこまりました。レオアウリュム様、今回もまたコントラビデウスに多大なるご配慮を賜りまして心から感謝申し上げ奉ります。どうかごゆっくりとご休養くださいますようお願い申し上げ奉ります」
「ありがとう、じゃあね」
天井の光源から一条の光が差し込み、レオアウリュム様を優しく包み込むと、
レオアウリュム様の姿が光に溶ける様に消えた。
私は、六つ柱の大神と面会するには、レオアウリュム様の犠牲が必要不可欠である事を実感して、大きなため息を吐いたのだった。
オークレールは、お爺様の心の声に応えてアデルに情報を授ける事にした様です。
アデルの信頼を得ようと考えてのことでしょう。
愛し子のご機嫌取りなんて、かなり人間臭い神様の様です。
次回は、騎士団訪問です。




