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58教会と修繕魔法

日曜日の朝、教会に善男善女子供たちが日曜ミサに訪れる。

教会のステンドグラスから神々しい光が教会内にサーと注がれる、その光景は実に神秘的である。

アドラスは前領主である祖父母と現領主である父と母、そして侍従やメイド、護衛の騎士たちと供に前の方の椅子に腰を下ろす。

やがて起立し、シスターが掲げるタクトともに信徒たちは賛美歌を歌い、歌い終わると

「ご着席ください」というシスターの言葉に信徒たちはそれぞれ椅子にガタガタと腰を下ろした。

そして始まった神父の説教、アドラスにとってはこのありがたいお話も、開始早々眠気を感じてうつらうつらしてしまって、いつの間にやらスーと眠りの世界にいつもどおり入ってしまった。そしてどれくらい眠ってたろうか、


「今日の説教はこれで終わりにします」という言葉でアドラスはパッと目が開いた。

その様に隣で腰掛けるヘンリーは、わが子ながら器用な奴とつくづく思ってしまう。

しかし今日はこれでは終わらない。


「ミサはこれで終わりましたが皆さまには大切なお知らせがあります。

この中で近眼老眼弱視および耳が難聴の方は朗報があります、ご領主のご子息アドラス様はまだ8才でありますが、医療ギルドで火曜と木曜ヒールの治療をなさってることを、しってる方はおられると思いますが、このたび日曜の当教会のミサ終了後、近眼と老眼、そして生まれつきの弱視と難聴の治療をしてくださることになりました。治療は教会付属の治療院で行われます。ご希望の方は今日は3名まで治療いたします。初めてですのでこちらで選んだ3名までといたします。なお来週からは希望者多数の場合は公平を期してあみだくじで選びます、。治療に対しては裕福な方は治療の結果にふさわしいとお考えになる金額を、また貧しい方はお金のかわりに作物や果物でもかまわないとのことです。」

ざわざわざわざわ


神父はアドラスを治療院の診察室に案内した。

アドラスはどういう患者が残るのかなと、期待と不安で内心少しハラハラドキドキしていた。

結局初めてのこととあって、患者は領の裕福な商人や、ミュラー子爵家の領地経営に携わる男爵家の産まれつきの弱視の5歳の末娘とその両親、また難聴の青年とその母親が残った。患者は計3名である。

これ位なら大丈夫かなとアドラスはほっとして、患者やその家族から話を聞き患部を透視していく。患者たちに目を閉じてくださいと言い、心のうちで修繕魔法発動と唱え一人一人癒していく。

ある度近眼の中年の商人は

「嘘、メガネがなくても本の字がはっきり読めるぞ!子供の時以来だ!すばらしいー!」


商人は喜んで謝礼をたんまりとアドラスに払い、教会にも寄付させていただきますといった。

また生まれつきの弱視である男爵家の末娘は、アドラスの癒しにより


「メガネがなくてもお父様とお母様のお顔がはっきり見えるわ、こんなの産まれて初めて!!」

と涙を流し喜び、男爵夫妻は娘をかき抱き心からアドラスに感謝し謝礼を支払った。

後日教会に献金するという。

「なんてすばらしい!王都の名医の眼医者に見せても娘の弱視は絶対治らないといわれたのに治るなんて、奇跡の御業だ!!アドラス様、本当にありがとうございます!!」


心から感激し、立ち合いの神父に喜んで礼を言い、喜びに沸く男爵家の家族を見送った。

のこり一人は中耳炎からの難聴だったが、アドラスはそれも癒した。

彼もまた昔のように耳がはっきりと音が聞こえ、付き添いの母親と抱き合って喜んだ。

これら3名は事前に教会が選んでいた患者だった。

神父はアドラスの力に改めて奇跡の御業と欣喜雀躍し、アドラスは来週もやることを約束させられた。別に神父と約束しなくてもアドラスはやるつもりだったが、貧しい者にも癒しを施したいとアドラスは神父に言った。領主であるヘンリーもその考えに賛同し、神父は今回は初回のため、裕福な家を選んだが、だんだんそういう貧しい者も癒していきましょうといった。

帰りの馬車の中で待ってくれていた父と母に、


「体調はどうだ。熱は大丈夫か?」

ヘンリーは息子の額に手をやる


「熱はないようだな、気分は」


「大丈夫です、気分も悪くないですよ」


「本当だな、よかった。心配したんだぞ」


「心配してくれてありがとうございます、父上、母上」

アドラスはやり遂げたという気分に浸り、来週も自分のできる範囲で頑張ろうと思うのであった。




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