50邪神騒動(サンザー帝国の謀略)
その日、日もやっと開けやるころ、エルベ男爵領から各領地に伝令の馬に乗った騎士が駆け走った。
エルベ領でのドラゴン召喚という、前代未聞のテロ事件が未遂に終わったが、まだ安心できないことと、サンザー帝国軍が攻めてくるという知らせだ。
辺境領主たちは、いつかサンザー帝国軍が攻めてくるだろうことを予期して、軍馬や鎧に武器兵士たちの訓練を怠らないよう現国王命令で準備していた。
いまそのときがきたと、すわっ出陣となった。
その知らせはアドラスのいるミュラー領の領主ヘンリー・ミュラー子爵のもとにも届けられた。
「何事だ、こんなに朝早くからエルベ男爵から緊急の伝令が来るとは、」
まだ、そのときアドラスの父ヘンリーはベッドの中でパジャマ姿だったが、執事に無理やりおこされたのだ。
大慌てで身支度を整えたアドラスの父は、応接間に待たせていた伝令から、サンザー帝国軍が攻めてくることを、知らされたのだ。
「なんだと!ついに来るべき時が来たか!!」
「なお、この情報がもたらされたきっかけを作り、お手柄をたてられたのは、あなた様のご子息アドラス様です。」
「へ?アドラスわが愚息が?」
「はい、実はエルベ領ではこの2か月の間に5件の放火事件がありました。その5件の放火場所が、五芒星を築いていたことを気づき、ドラゴンが召喚されるのではと気づかれたのがアドラス様なのです。調査した所サンザー帝国の邪神教の司祭達が、王国の辺境に大打撃と破壊をもたらすために、ドラゴンを召喚するつもりだったのです。捕らえた司祭を尋問した所サンザ―帝国軍は大混乱におちいった辺境領に、やすやすと押し入るつもりだったのがわかりました。これらのことが事前に分かったのも、ご子息アドラス様の気づきがあってこそでございます。
もしアドラス様がエルベ領に冒険に出なかったら、何も知らなかったわれらはなすすべはなかったでしょう。親に内緒で勝手に一人で冒険に出たご子息様の行動を親として許せない気持ちは分かりますし、また許してはいけませんが、そこら辺を少しはご考慮くださるようにとわが主エルベ男爵からのお言葉でございます。」
「うーむ、相分かったとエルベ男爵につたえてくれ」
「ははっ!では私はこれで失礼します」
「ご苦労だった。」
伝令が応接間を出るとすぐさまハンフリー騎士団長を呼べ!領地軍を招集しろ!と執事に命じ、ドアを開けて館中に聞こえる大声で
「戦だ、サンザー帝国軍が攻めてくるぞ!!!出陣だー!!!」
その声に、朝早くから働いている侍従や侍女たちは「ええっご出陣!?、ついにサンザー帝国と戦!!!」と驚きの声上げ、屋敷中に緊張が走った。
そのなかにはヘンリーの妻エリザベスの侍女と、アドラスの侍女マリアもいた。
それぞれが使える主のもとに走った。
アドラスはベッドでおいしいイチゴショートケーキとマロングラッセケーキを食べてる夢を見ていた。次はチョコレートケーキを食べようとしたとき、突然マリアに激しく体をゆすられたので目を覚ましてしまった。
「アドラス様大変です、寝てる場合じゃありません!おきてください!」
「うーん、何マリアせっかくチョコレートケーキを食べようとしてたのに、」
「何寝とぼけてるんですか!大変です!!サンザ―帝国軍がせめてきます!!」
「エルベ男爵から伝令が知らせてきたんですよ!!旦那様は辺境領を守るため、ご出陣をお決めになりました。アドラス様はだんな様のたった一人のご嫡子です。しっかりなさってください!!」
「父上!!」
アドラスはパジャマ姿のままベッドを飛び降り部屋を飛び出し、はだしのまま家の中で騒がしい方向に向かってひたすら夢中ではしった。
「父上――!!!」




