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24森にお地蔵様があるのはなぜ!?

いつもの通り森近くの冒険者ギルド買取所に馬を預け、一行は今日は森へと向かった。


「僕たち森に入って大丈夫?」

アドラスが心配げに尋ねると


「俺たちが一緒なら大丈夫だよ、あまり奥には入らないからな、森の浅い入口に近いところで薬草を採取するんだ。やはり平野より、森に生えた薬草のほうが効能が強いんだよ、魔素の関係かな。おれたちは最近畑を荒らすという鹿の魔獣親子を借るクエストを受けたから、ついでにビッグボアがいたら狩るけどな、まあ森の浅いところにはいないだろうな。基本魔獣はスタンピード以外ではあまり森から出ようとはしないからな。」


「魔獣が森からあまり出ようとしないのは人間が怖いから?」


「それもある。だが基本森の魔素量が人間のいる平地より断然多いからだろう。」


「つまり人間と魔獣はすみわけしてるわけ?」


「そうだ。なのに人間が森に入って魔獣をとるのは家畜だけでは人々の口に入る食糧を賄えないからだ。特に肉な、しかも家畜より魔獣のほうが滋養があってうまいからな、それに魔石もとれる。

魔石は魔道具のエネルギーに使われたり宝飾品にも加工されるからな、爪も牙も角も加工されて武器になるから魔獣狩りはなくならないな。」


「つまり冒険者業はなくならないということ・・・・・」


「そうだ。」

大人たちの言うことに子供たちはなるほどとうなずいて聞いたが、いつの間にか森の入り口近くにたどり着いていた。

シッロが振り返って子供たちにいった。


「さあここからはおしゃべりはやめだ。気を散漫とさせるな、二人ともお互いが見える範囲で薬草を採取するんだ。むろん俺たちも気を付けてるが、一人で先走って行動して離れるなよ。わかったな。」


「「はい!!」」

二人は緊張しながらも元気よく返事した。

森の中は少し温度が低く感じた。 

アドラスとジミーはそれぞれのクエストの薬草を探して身をかがめて歩く。


「あった!」


<早くもジミーがクルマ草を見つけたらしい、僕も負けちゃられない!>


「えーとアケビ草アケビ草はと・・・・・・えーとあった!!」

アドラスは父にもらった採取用の短剣を取り出して地面に生えてるアケビ草を次々と採取しバックに放り込む。あっちにもアケビ草がある。よし!採取だ!

二人は無言で採取に熱中していたが、それでもお互いの位置を時折確認してたし、向こうの方からシッロとハリーがそれぞれ二人を確認してることに築いていた。

どれくらいそうしていたろうか、森から除く太陽の位置が変わり、きずけば2時間は立ってたろうか、森の中をあちこちしゃがみ込み続けたおかげで膝と腰はすっかり疲れ、みればジミーも下草の生えた地面に膝を立てて座り込み休憩をとっていた。

ジミーのかごを見れば彼も結構たくさん取っている様である。

「疲れたな、」

アドラスが声をかければ彼も

「うん、俺も疲れた。でもおかげで新鮮なクルマ草がたくさんとれたよ。」


「僕もたくさんとれたよ。今日アケビ草を取るのはこれ位にしておくかな」


「俺は今晩の材料になる食べれる野草と森の果物もとったんだぜ」


「え、ほんと?取らないから見せてもらってもいい?」


「取らないならいいぞ、俺は心が狭い男じゃないからな」

とジミーは下町の子らしく少し威張っていった。

ジミーのかごの中には、アドラスがきずかなかった食べれる野草や見たことのない森の果物が入っていた。

アドラスは一つ一つ質問しそれにジミーは答えていた。


「これはナンの実、たくさん撮ったからお前も一つ食べてみるか?俺ものど乾いたから一つ食べる」


「いいの?ありがとぅ」

ナンの実は前世でいうところのレモンに大きさも外見も似てたが、味の酸っぱさと甘さはミカンによく似ていた。


「おいしい」


「な、おいしいだろう」


その時ケーンという鋭い鳴き声と、ドサッという何かが地面に倒れる音が、ここよりも森の奥の方で聞こえた。



「鹿の鳴き声だ!きっとシッロとハリーがシカを仕留めたんだ。」


ハッとして透視すると、シッロに首をひとたちできられ大量の血を流して絶命した鹿の魔獣のもとに、ハリーに体をザクっと切られた魔獣の子が、弱弱しく首を必死に起こし何とか母親のもとに行こうと体をにじり寄り、母親の体に倒れたのを最後に絶命した光景が見えた。


その光景に哀れさを感じたアドラスだったが、でもこれも君たちが害獣になってしまったらだと思い、駆け出していくジミーの後を追おうとしたアドラスは、草に隠れて地面に少し突き出した岩に足がつっかかり、前方に両手を次いで転んでしまった。


「はあ、短刀腰のベルトに差しててよかった。」そう言って手を払って立ち上がろうとしたアドラスは、何気なく周りを見回して右横に立つ岩にきずいた。


「岩?いや岩じゃない、え、まさかそんな……日本のお地蔵様!?え、なんで日本のお地蔵様がこんなところに立ってるの!?」


アドラスはお地蔵様の背後をそーと覗いてみるとそこには令和35年12月5日に建立と文字が彫られていたのだ。

それを見たときのアドラスの衝撃!!


「はぁー令和35年て、俺死んだのは令和5年だから30年後―なぜ!?どうしてこんな物がこんな所にあるんだぁー!!!!?」


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