19初めてのクエスト 3
昼前に屋敷に帰り着いたアドラスは、まだ口の中に少し残る屋台のホーンラビットの肉の串焼きの味と噛み応えを思い出していた。
「ただ岩塩を振りかけて焼いただけなのにうまかったなあ、なんかバーベキューをを思い出すな、食べごたえはあったし、屋敷でバーベキュー大会をするのもいいかもしれない。
その日だけは無礼講で使用人たちにもふるまうんだ、確か子爵家の使用人たちの人数はえーと６人、僕たち家族を入れると９人か」
とぶつぶつ言っていた時自室のドアがノックする音が聞こえた、アドラスが答えるとノックしたのは父だった。
「いつかお前が冒険者デビューをする気だとわかっていたからな、これを作らせてたんだ。」
それはアドラスにも持ちよさそうな採取用の短剣だった、その短剣の柄にはミュラー子爵家の家紋がっ入ていた。
「これを私に？ありがとうございます。とっても嬉しいです。」
「この剣は護身用も兼ねてるからな、ホーンラビット程度なら殺せるぞ、奴らはかわいい見ためをしてるくせに雑食だ。奴らの角はひとたびうければ幼いお前なら殺されてしまうだろう。十分気を付けるのだぞ、」
「はい、父上、」
「このあたりの森には本当に危険なオークとかは、わが領地軍が退治してしまったからいないと思うが、それでも十分気を付けるのだぞ。
森には毒蛇もいるのだからな、森に入っても入り口近くにしておくこと、シッロとハリーの言うことを聞いてちゃんと守ること、わかったな」
「はい、父上、」
「明日行くのか？」
「できればそうしたいとおもっています。」
「明日も天気は良さそうだから、シッロとハリーを連れて気を付けていってきなさい。」
「はい！」
そして翌朝、護衛のシッロとハリーを連れて、すっかり採取用の冒険者スタイルに身をやつしたアドラスは、緊張しながら冒険者ギルドの両扉の入り口をくぐるのだった。
