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16母上の悩み

今日は晴天。

晴れやかな青い空に白い雲が2、3浮かんでいた。

侍女たちが洗い終わった洗濯物を木から木に渡したロープに次から次と干していた。


「今日もいい天気ねえ、これは洗濯物が気持ちよく乾くわ」


「ほんとねえ」


「ねえ、話は変わるけど、最近奥様お元気がないように見えるんだけど、確かにご心配とは思うけど、アドラス様の魔力量の多さ」


「確かに5歳で4000は多すぎるわ、だって4000と言ったら王宮魔導士レベルでしょ、子供の時に魔力量が余りに多すぎるとコントロールが効かなくて、魔力暴走を起こして下手したら死ですものねえ、一応旦那様がアドラス様に魔力を抑える魔道具の腕輪をはめさせたらしいけど、それにしたって・・・・・・・・・・・・・・・・」


「旦那様と大旦那様が心配して、王都から一流の魔導士をアドラス様の魔法の師匠にお呼びになるとは聞いたんだけど、その人王宮魔導士とか聞いたんだけど本当?」


「ええ、本当のことよ、私、旦那様と大旦那様に紅茶をお出したときはっきり聞いちゃたんですもの。引継ぎがあるからすぐには来れないらしいの。なんでも引継ぎに一か月かかるんですって、」


「ふーん、それは仕方ないわねえ。やっぱ引継ぎとなったら一か月かかるものねえ」


「前々から探していらしたそうだけどね、でも早々にアドラス様の魔法の師匠が見つかってよかったわ」


「ほんとね、でもさ、最近の奥様の沈まれたご様子はそれだけかしら?アドラス様以外のことで」


「あら、あなた知らないの?」


「えっ?」


「ここだけの話よ、実はね、旦那様浮気なさってるそうよ」


「まあ、それほんと?相手誰よ」


侍女はあたりをきょろきょろ伺いそっと侍女仲間に耳打ちした。


「えっつ、平民の女!?しかも子持ち!?」


「しっつ!あまり大きな声では言わないでよ。」


「ごめん、」


「子供といっても先夫との子ですって、」


「ふーん、てことは後家ね、でもあれでしょ奥様はこの辺りでは有名な名門伯爵家の令嬢のでしょ」


「そうなのよねえ、2代前には王子が婿に入ってるのよ。

でも今の奥様のご実家は経済的に苦しいらしいわ。ま、そうなったのはどうやら婿に入った王子様が王族だった時の感覚で散財した結果らしいけど、だから伯爵家の経済状態はかなり苦しいらしいわ」


「、あ、領民に重税かけてる?」


「ええそのとおりよ、あなたは最近新しくミュラー子爵家の侍女になったから知らないでしょうけど、」


「ねえ、旦那様の平民の愛人て、どこに住んでるの?」


「この領で料理屋を営んでるそうよ、確かエルマの店っていう店らしいわ。」


開け離れた窓にかかった白のレースのカーテンが風にふわりと舞う。

アドラスは窓辺にあるカウチにクッションを枕替わりにして、顔を本で覆いのんびり寝てたのだが、聞くとはなしに外で洗濯物を干す侍女たちのおしゃべりが聞こえてきたのである。


<エルマの店?・・・・・・・・・・・・・父上浮気してたのか、そりゃ貴族だから愛人の一人くらいいても不思議はないけど・・・・・。>


<でもなんかやだな、うちの両親は仲がいいから大丈夫だと思ったけど……そうか父上愛人がいるのか、まさかもうお腹に父上の子がいるんじゃないだろうな、

心配だ。一度エルマの店に行ってみたいな、それには平民の恰好をするのがいいだろうな、でも平民の恰好て俺持ってない。

マリアに行ったら止められるか、どうしたら・・・・・・・・>


とアドラスは考え込むのだった。

やがてアドラスはこれはという、本人は妙案だというアイデアを考え出した。


<冒険者ギルドでクエストを受けよう。でクエストを受けた帰りに、冒険者ギルドでエルマの店の情報を集めよう>


<どうせいつか冒険者ギルドデビューするつもりだったからな、いままでそれなりに魔獣の本を読んだり、薬草の本を読んで勉強してきたからな、あ、でも5歳児が一人では危ないか、お供がついててほしいな>


「今日の晩餐にでも話してみるかな」

アドラスはひょいと起き上がったのだった。


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