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第21話 鑑定してみよう

「えらい鑑定結果が出てしまった」


【人魚の魔石(劣悪)】

 通常の人魚から変異を遂げたため魔石に負荷がかかり、状態が悪化している。


【人魚の肉(最良)】

 人魚の魚肉。味は大変美味で、魔力が豊富。一切傷ついておらず1体分まるまるの分量がある。袋から肉を取り出すと袋は消滅する。


「ニンギョのギョニク……」

「えー? 魚肉部分なかったじゃんウケる~」


 これは確かにウケますよ。

 まじで骨しかなかったのにどこから出てきたその魚肉。


 まさかあのガリガリな上半身の肉じゃないだろうな。

 どのみち人形に近いモンスターの肉ってちょっと抵抗感があるぞ。


「なんだろうな。通常の人魚から変異を遂げるって部分の問題かね。変異して肉が無くなるからそれはアイテムになりましたよってか?」

「そんなんあり? いや、たしかにネットで見た食材一覧、ドロップ先がそれっぽいモンスターになってたみたいだけどさ」


 鳥モンスターからは鶏肉がドロップするとかね。


「なんでヘンイをとげたのかがしりたいよね」

「それな。でも分からなくてもあまり困らない感じもする」


 兄が肩をすくめて苦笑いを浮かべる。


「それこそさっきのモンスターは生物なのかどうか論と一緒だろうな」

「そうだなぁ。いずれ分かるときもあるのかもしれないし。さて、お次は噴水か」


 目視できてれば鑑定ができるし、生物相手じゃないから鑑定は楽なものだ。


「ふむ。この空間の情報も出るんだ。ここはアジサイ公園、噴水は魔障泉って名称だって。公園の名前の横にモンスター生成所ってついてる」

「マショウセン?」

「あーあれか。瘴気から魔物は生まれる的なやつ」

「えー? じゃあ噴水あるかぎりモンスターでてきちゃう?」

「説明的にはそうかもね。だとしたらあれを壊す権限なんて無いわけだし、放置するしかないかな」


 ちょっと未検証なことが多くてなんとも言えない感じだな。

 このまま放って置いたら強いモンスターが生まれて辺りを徘徊しはじめたかもしれないし、近寄らなければ出てくることがなかったのかもしれないし……。

 生み出す頻度とかも鑑定を見ただけでは情報が乗ってなくてわからない。


「ダンジョン以外にもこういう場所があるんだね。この情報ってネットに乗ってたりは――」

「ざっと検索しても出てこないよ~」

「はやい」

「スマホの操作マッハだわ。俺もパソコンなら負けねぇんだが……」


 ギャルってスマホ手放せないもんなのかね。

 私が気づかないうちにアリスの手にはスマホが握られてたわ。

 アリスのスマホ、めっちゃデコデコなんだよな……眩しい。


「こういう情報は地球陣営の役に立つよね? そしたら拠点帰ったら出せそうな情報まとめて出す?」

「そうだなぁ……でも魔王だってのは隠すんだよな? だとしたら親父たちが話してた自警団用のアカウントでも新しく作って、そこで出すのはどうだ」


 そうだなぁ。

 いやだってあんな映像出たのに魔王名乗って信用しろとか無理くない?

 自警団は自分たちのため、ひいては皆様のためって感じなわけだし、そういう情報出しててもおかしくなさそう。


「それのカンリもシュンにい?」

「いやー俺もこうやって戦闘したりで外出ること多そうだしどうすっかね」

「いっちーにお願いしたらー? たけっちが外に出そうとしないからちょっち暇そうだったしー」


 タケくんの妹の一華か。

 ざっと能力聞いた限りではバリバリの前衛タイプだったんだよね。

 あの能力じゃあ、タケくんが外に出したがらないのもわからんでもない。


 中学で生徒会に所属してるらしいし、面倒見が良さそうなんだよな。

 自警団関係のことを色々頼んでみてもいいかもしれない。


「そろそろ休憩終わりにして移動しようか。まずはあの噴水にもう一回魔力探知。その後はあっちに残ってるモンスターの退治ね」

「はーい」


 さて噴水に近づいて、目視で確認する限りでは特になんの変哲もない噴水っと。

 次に魔力探知で内容を探ってみると。


「んーなるほど。確かに噴水の流れに沿って大量の魔力が流れてるみたいだし、水溜まりには魔力が渦巻いてる」


 この感覚、覚えがあるな。

 異世界の創造主が独り言を言うときに感じる気配にひどく似ている。


 魔力探知をかけてもモンスターが飛び出てこない事を考えると、主体となるボスモンスターが現れないと雑魚は湧かない作りなのかもしれない。


「根本的にはどうしようもなさそう。何もない空間からモンスター出てくるのと同じなんじゃないかな。ただ魔力溜まりになってるからより強いモンスターが現れやすそうって感じだ」

「なるほどなぁ」

「コンゴでてくるモンスターのナイヨウしだいだけど、レベリングにはいいバショかも?」

「あ、なるほどな。てかレベルか……あがってねぇわガッカリした」


 あぁ、レベル。

 私も上がってないわ。


「え? わたしふたつアガってたよ!」

「しゅーちゃん上がってないの? アリスも2つレベルあがったよー」

「二人は上がりいいな? 人魚もどきの経験値が良かったのかな」


 2人揃ってさあ、と答えてくる。

 そりゃ経験値の溜まり方とか目に見えないし実感もないからわからないよな。


「どうせゲームみたいになるなら、そういうところも数字化してくれりゃ良かったのによ」

「えぇ、私は嫌だよ。数字管理とか絶対出来ないし。経験値ブーストとかはあるんだからそのうちレベル上がるよ」


 私の称号、救済の魔王の内容はこうだ。


 ======================

 魔王その人である。その力はあらゆる形で救済を与える。救済を行った場合、経験値増加。

 ======================


 さっき人魚もどきを倒したときにうっかり解放してやるとか叫んじゃったけど、あれで経験値ブースト効いてなかったら色々な意味でつらい。

 あらゆる形でって書かれてるんだから、ちゃんと効き目があって欲しい。


 ただこれが私本人にしか効かなかったら兄のレベルは気長に見なければならないかもしれないが。


「噴水に関しては今できることはこれ以上ないかな。それじゃあっちのモンスター倒していこう」

「ねね、アリスの弓が連射どれだけできるか試してみてもいい?」

「なるほど、いいね。居るのはゴブリン3体と……こっちに居るのは角がついてるウサギ1体か」

「そしたらわたしも、とおくにショウネツエキとばすレンシュウをかねてもいいかな?」


 2人とも向上心の塊のようで偉いな。


「おー。じゃあ2人が倒しそびれたらあとは俺らに任せておけよ」

「さっきの人魚もどきより弱いからって油断しないようにね。それじゃあやろうか」


 一応リーダーポジとして注意はして促しておこう。

 こういうのはウザいかもしれないけど予め言っておくことに意味があるしな。


 ただそんな注意もまったく必要なかったかと思うぐらいモンスターはあっさりと倒すことができた。


 戦闘内容としてはアリスがゴブリン2体を倒すも、連射してると3射目から精度が落ちて当たらなくなることがわかった。


 真奈美の焦熱液もより遠くに飛ばすことはできても遠くなると威力が落ちるようだ。

 ただ、スキル発動時の体力消費を多くすれば威力増加が見込めるということで、距離と威力の塩梅は要検証だ。


 あとは打ち漏らされたゴブリンと、倒しきれなかったウサギを私と兄で倒して終わりである。


「さてと、それじゃあ今日のとこは目的も達成したし帰ろうか」

「お。買い物リストあがってるぞ。あと駅のほうに数家族到着してるから、他全員揃ったら案内してほしいってよ」

「早くない? 私は人が来るにしても、もっと時間かかると思ってたんだけど」


 全員が近場なわけじゃないんだからさ。

 これ、つまりは勧誘してすぐ荷物持って家を出た人たちが居るってことでは?


「それだけミリョクテキなおさそいだってことなんだとおもうな」

「そんなにか。いやまあ、それもそうか」


 一部では停電とか断水が起きてるみたいだしな。


「そもそもタケやソウのとこみたいに家に住めなくなってるパターンもあるだろうしな」

「確かに。ひとまず買い物を済ませて一旦帰ろう。そのあとソウくんとタケくん連れて駅に出迎えかな」


 今声掛けてるのは2人の知り合いなんだから、当事者が居たほうが話がスムーズだろう。

 私たちは敵が居なくなった公園を後にするのであった。

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