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第18話 今日も外へ

「……で? キサラギ自警団なぁ」


 なんか知らんうちにあっという間に団体名から業務形態まで決まっていた。

 なんで大人たちはそんなに働きたい意欲溢れる感じなんでしょうか。

 自分の名字使われてるのちょっと恥ずかしいんだけど。

 兄も多分私と同じような顔をしているが、両親はしらーっとしている。


「まぁ取り分とか予め決まってりゃ揉めずにすむわな」

「僕たち自身も社会が動いてる限りは買い物だって必要だし、学校に通わない間ぐらいちゃんと働かなきゃね」


 タケくんとソウくん、早速働く気満々だ。

 ざっと内容を聞いたけど、しっかり把握できたのは本人たちがもらえる給料は時給1500円で手渡し、食費とかは天引きってことしかわからなかった。


 あと色々な手続きは今は役所がどこもまともに動いてないので事後報告になるとか。

 まぁ自分たちに任せろと言うのだし、私はわからないしなので、大人しく全面的にお任せするのである。


「まぁ、とりあえず雇われることがあればってことで?」

「それはそうだ。ただいつでも契約できるように書類の元とか、今日中にコピー機的なものとかは作っておけばいいんじゃないか」

「コピー機ね。エセ機械で良ければ作れるだろうけど、多分紙までは無理だな。コピー機のインクまではダンジョン機能でいけそうだけど」


 このへんの塩梅は謎なのだが、インクは消耗品に入らないらしい。


「さて、そうしたらあとはこれからの午後をどう過ごすかだけど」

「はいはーい!!」

「はい、アリスどうぞ」

「わたし、外に出て戦ってみたい!!」


 あー昨日結局あのキューピットアロー使う機会なかったもんな。

 昼を食べながら魔法の話を共有したのもあって戦ってみたくなったみたいだ。


 ちなみに兄とアリスは魔法が使えたが、真奈美は駄目だった。


「駅前のダンジョンに潜ってみる? あとは公園のほうも何かありそうだったけど」

「そういや隣の家行く前にそんなことも言ってたなぁ」


 とりあえずすでに戦闘経験のあるタケくんとソウくんはここに待機かな。

 勧誘のやり取りなんかも忙しいだろうし。


 見渡して見ると、皆して私を見てくる。

 私の指示待ちのようだ。


「私と兄貴、アリス、真奈美は公園方面に向かってみようか。目的は近所の状況把握と、モンスターが居れば戦闘訓練って感じで。他はここに待機で。買い出しメモをコミュに出しといてくれれば何事もなければ買い物もしてくるよ」


 私と兄は昨日、物理での戦闘はこなしたが、今日は魔法を使用した戦闘がしたいところだ。

 アリスも魔法とキューピットアローの精度の確認。

 真奈美はモンスターを相手するときにスライムの体でどの程度戦えるかだな。


「レベルも上がってくれるといいんだけど」

「俺とお前は全然上がる気配ないからな。昨日かなりの数倒してると思うんだがなぁ」

「ソウくんもゴブリンを5体も倒してるのにレベル上がってないっていうし、経験値まわりはどうなってるんだろうね」


 熊吾さんが経験値分配だけでレベル3になってる。

 あとアリスは昨日応援しまくってるだけでレベル2だ。


「謎だよな。撃破したやつに関わってればなのか、戦闘行為さえしてればいいのか。等分なのか変動するのか。種族別の経験値テーブルがあるのか個人別なのか、さらには職業別という場合も」

「キリないね。数字まわりとか考えたくない。考えてもしょうがないし、行こう」

「ドロップもマセキいがいがみれたらいいよねー」

「おいしーご飯ばっかり食べてるから運動もしなきゃ!」


 確かに運動不足もよくないもんな。


「残る皆も地下4階にトレーニングルームあるから、運動したかったらそこ使って」


 さて、そうしたら出る準備と。

 私が作った服を兄が触れることを確認し、ささっと兄の装備一式も用意する。

 私と兄は作った服や靴へと着替える。


 デザインとかブランドにこだわらなければ買う必要がないのは助かる。

 ただ下着は既製品がいいかも。

 魔力で作った服とか、万が一消失することがあったら社会的死亡は免れない。


 服などのついでに、刀にも鞘をしっかりと作ってみた。

 自分の姿に寄せて白い地色に紫の炎のような模様にしてみたが中々良い感じだ。

 抜き身の刀を持ち歩くのは倫理的に良くない気がしてたのでこれでその問題も解決だ。


「わっ。外明るくてまぶしっ!」

「テンキがいいときにソトへでるとよくそうなるよね」

「こればかりはダンジョンが地下で陽の光が入らないからしょうがないな」

「全員して普通のお出かけみたいなテンションだなぁ……」


 そういう兄はめちゃくちゃメイスを握りしめて辺りを警戒している。


「だってリビングのとこで外の映像見て、出口周辺は安全そうだってわかってるしさ」

「そーそー。しょーちゃん、ずっと頑張ってると疲れちゃうよ~?」


 ちなみに真奈美は兄の頭の上である。

 自分で這いずるにも飛び跳ねるにしても、どうしても人間の足より遅くなってしまう。


 しかし私の頭の上に乗せる場合、私が身体強化などで激しく動くと落ちてしまいそうということで、真奈美の位置は兄の頭上に落ち着いた。


「いや、まぁそうなんだがな。とりあえず公園向かいながら戦闘のシミュレーションぐらいはしとかないか?」

「そうだなあ。ただこういうの考えたりは得意なのは兄貴と真奈美だろうし、2人の考えを主軸にしたいかな」


 こういうのは、そういう分野に詳しい人達へ聞くのが一番だ。

 私もゲームとかある程度するけど、なんでもなあなあでやりがちだ。


「それならまかせて! きめとくのはタイレツ、セントウホウホウ、トウソウキジュン、ゴウリュウチテンとかだね!」

「へぇ~隊列と戦闘方法はなんとなくアリスもわかるー。でも逃走基準とか、合流地点って必要なん?」

「必要だろうなぁ。逃走基準は生き延びるために必要だし、逃げたとき合流地点が決まってればバラバラになっちまっても向かう先に困らないし」

「ケース・バイ・ケースなとこもあるだろうけど、決めないより決めといたほうが良いのは確かか」


 ひとまず端から順に決めていく。

 隊列は前衛が私、中衛が兄と真奈美、後衛がアリスという事になった。

 逃走時は中衛・後衛・前衛で私が最後尾、いわゆる殿というやつになる。


 戦闘方法に関しての基本のとりきめはこうだ。

 まずアリスのキューピットアローを率先して使ってもらう。

 その次にアリスが狙ってない奴や倒せなかった奴を兄と真奈美が魔法やスキルで撃破。

 近づいてきてしまった奴らは私が仕留めて、あぶれた場合は兄貴の物理や真奈美が食い止めるといった感じだ。


 今はここに居ないが、タケくんとソウくんが入った場合は前衛と後衛に入ってもらう形が良さそうだということになった。


「そろそろ公園に着くけど……アリス。逃走基準は?」

「あんまり攻撃がきかないけど足遅そうな奴の場合と、けーちゃんが逃げるぞって言ったときねー。攻撃きかないけど足速いやつは逃げるって言われるまでは死ぬ気で戦う!」

「よし、で合流地点は兄貴」

「俺にも聞くのかよ。はぐれたら、ここに来るまでの間にあったコンビニ前な。コンビニ前で落ち着けなさそうなら一気に拠点まで帰還だ」


 そういえば作ったダンジョンのことは拠点と呼ぶことに。

 家って言っても良いんだけど、それはそれで混乱しそうだったでそういうことになった。


「わたしはゼッタイだれかしらにくっついてなきゃ……」

「まなっちはいざとなったらアリスが空からヒョイって拾ってあげるー」

「っ! ありがとういざというときはヨロシク!」


 あぁ、アリスは飛行というパッシブがあるんだったな。

 ソウくんも羽だしてれば使えるらしい。

 私の滞空と違って、自在に空中を移動できるスキルだ。


「あ、まなっちで思い出した!」

「ん?」

「まなっちはねー、亜人変化するときにお洋服も一緒に体の一部になってるのと、硬化を極めてけば人の形をとることが可能でーす」

「エエエ?!」

「アリスちゃんその情報今言うことかっ!?」

「てへ? 言うの忘れてたなって」


 ふーむ、硬化を極めて人の形をとる、服は体の一部か。


「あくまで変形の範囲内なんだな。ソウくんみたいな擬人化とかじゃなくて、スライムの体のまま人の形で固めると」

「そーそー。で、ガチガチに固めるんじゃなくて、芯がある感じで弾力もありつつみたいな?」

「服は……人の形とると自動で表現されるのかな?」

「さー?」

「そ、それってアリスちゃんのカイセキでわかったってこと?」

「そうだよー」


 そういえばあの時は、すぐ大真面目な世界のことに話が流れたんだったか。

 言うタイミング逃すのもしょうがないな。


「硬化の強度は熟練度に依存、だっけ? そうしたら、真奈美は拠点にいる間は硬化のスキルを色々試してみるのがいいかもね」

「うん!」


 体重が変わらないところをみると、形状の維持ができるようになればいままでと同じ人間の姿をとることが可能なのだろう。

 日常生活も戦闘も、今の丸いボディのままより融通が聞くことを考えれば、頑張ってもらいたいところである。

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