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第14話 そうと決まれば

「残念ながら食材の用意はダンジョンで出来ないみたいだったから、こればかりは外へ買い出しに行かなきゃいけない」

「水とかガスとか出るのに食材ダメだったのか」

「そうなんだよ。自陣のダンジョンじゃないならモンスターからのドロップがあるんだろうけど」


 ネットでドロップに関する情報を見れば、そこにはかなり豊富な食材一覧が載っている。

 でも自分のダンジョンで生み出したモンスターではドロップがでない。


「こんな状況だからできるだけ外に出たくないし、仕事とかしてても給料どうなるのかが不透明だし……。ダンジョンだけで賄えたら最高だったんだけど……」

「でも圭、人間は日光浴とかしないと病気になっちゃうわよ? 知り合いの奥さんが、息子さんがそれで倒れたことがあるって話してたもの」

「それに翠さんも今はまだ水分補給だけで済んでるみたいだけど、ゆくゆくは日光浴だって必要なんじゃないかな」

「日光浴かぁ……地上の庭部分を温室にして椅子とかテーブルを用意しようか?」


 温室の作りでもダンジョンの一部になるから強度はある程度担保できる気がする。

 それに洗濯物や布団も天日干しできたら最高かも。

 これ、家と家の間の通路になる部分にも天井つけて、雨が降ってても温室まで濡れずに行けるとなお良しかな?


「わ~バーベキューとかできたら楽しそー!」

「アリスは今肉とか苦手になったじゃん」

「あぐっ。で、でもバーベキューって野菜も焼くから!」


 匂いでモンスター寄ってきたりしないかが心配なんだが。


「とりあえず後から追加したり拡張したりっつーのはコアに力が残ってりゃできるんだろ? だったらとっととそのコアってやつを用意しようぜ」

「モンスターを倒したら出てくる魔石使うんだっけ? ゴブリンを倒した時に咄嗟に拾ったやつなら2個ほどあるけど」


 そういえばその説明をしてなかったな。


「あぁ、コアになる魔石はすでにあるよ。私の心臓が魔石だから」

「お、お、おいぃ!? 圭! お前、自分の心臓使うつもりなのかよ!?」

「そりゃね? 私の心臓になってる魔石なら大きさもあるし、魔王になれるほどの魔力がすでにあるんだから」


 多分兄も私と同じ魔人なのだから心臓は魔石になっていて同じことができる気がするのだが、今のところ本人が気づいてなさそうなので言わずにいる。

 というか亜人変化した人たちの心臓は魔石なのではとも思っている。

 ただ私は魔王だからステータスにアイテムとして記載されているだけなのではなかろうかと。


「だいいち、壊れたらダンジョンの機能が停止するのに剥き出しで置いておくの怖くね?」

「それは確かにそうなんだが」

「ケイのシンゾウつかうっていうのはわたしもイマきいたけど。ケイのカラダにフタンはないの?」

「ない。多分ね。初めてのことだし、ネットとかに情報は載ってないから、やってみるしかない。感覚的にはこの程度のダンジョン規模は余裕そう」

「その、本当に大丈夫なの、圭。それに私たちも移る必要あるのかしら?」


 両親はかなり心配そうに私のことを見てきている。

 娘の心臓が動力源になりますって言われて平気そうにされるのもと思うので正常な反応だろう。


「この家の耐久性を上げるには家ごとダンジョンで覆わないといけないし……ダンジョンなら階層を増やしてそこにモンスター放つとかで防衛がある程度叶うところもある」

「なるほどなぁ……お父さんたちが安全な場所に居るというのも圭にとって助かることなんだろう。圭の負担にならないならお父さんは賛成しよう」

「圭はそのほうが安心できるのね? それならお母さんも賛成するしかないじゃない」

「ありがと」


 ひとまず家族の同意が得られて一安心だ。


「うん。どのみち圭くんはダンジョンを作るつもりでいるんだよね? そうしたら僕たちもお世話にならせて欲しいな」

「しっかり働くぜ」

「圭くん。小坂家も元々世話になる予定で組まれてたみたいだけど、改めてお願いするよ。特に翠には少しでも安全な場所に居てもらいたいしな」

「オッケー。とりあえずサクッとダンジョン作っちゃうか」


 部屋の追加と、庭の温室も増やした状態で一気に作ってしまおう。

 作る感覚も内装もミニチュアで1回経験してるから迷うこともない。


「ぅおお?! なんか揺れてんだけど」

「え~地震~?」

「ち、ちが。ケイがもうダンジョンつくってる!」


 うん? さっそく作るって宣言したと思うんだけど。


「今半分ぐらい出来てるからあとちょい待って」

「ダンジョンっつーのはインスタント並みに早くできるもんか」

「いやー、武くん。これ圭くんだからこの速さなんだと思うな。圭くんから流れ出る魔力の量がえぐい」


 ソウくんは魔法型なのか魔力の感知がしっかりできるらしい。


「……うん。こんなもんかな。それぞれの部屋はあとで希望聞いてインテリアとか決めよう」


 とりあえずデザインが決まってた私と真奈美の部屋はしっかり作り上げてある。

 それ以外の寝室はデフォルトとしてホテルっぽい作りにした。


「来客とかは上の家使う感じで」


 それぞれの家はダンジョンとは無関係のただの家なので、そちらに人が入る分にはダンジョンに気づかれることはないだろう。

 まぁ私みたいに見ただけでなんとなくわかるような場合、通路とか温室見られただけでダンジョンの存在がバレるけどね。


「なぁ、思うんだけどダンジョンって地下なんだよな。雨降った時とか平気なのか?」

「エントランスに続く階段はどうしても濡れるけど、階段下りきるぐらいには水はダンジョンに吸収される感じかな」

「ベンリだね」

「窓から外見れないのだけちょっと悲しみ~」

「ん-……リビングで外の様子映しとくぐらいならできるかも」

「え! すご! そうしたら外の様子映すモニターつけといて~! 窓代わりにするー!」


 確かに地下空間にずっと引きこもってたら、うつうつとしてしまうかもだな。


「さ、さすが天使……僕、外の景色みたいとか一切思わないんだけど……」


 そういえばソウくん、吸血鬼だったな。


「ソウくん、日光は大丈夫なんだね。ニンニクとか十字架も大丈夫?」

「ニンニク以外は大丈夫」

「てめぇは昔っからニンニク食うと腹下すってだけだろうが」


 昨日ちょこっとだけタケくんの家でニンニクチューブで試したら少しお腹が緩くなった程度で命に別状はないらしい。

 ニンニクだめって外食とか大変そうだな。


「さて、ダンジョン内に関してはあとで実際見ながら変更とかはできるから、全員揃ってるうちにこれから必要なこととかまとめようか」

「昨日からこんなんばっかだな」

「でも情報のまとめは重要だから」


 さて、これから必要なことを皆から意見聞きつつ羅列していくか。

 コミュにそのためのページを作れば全員あとで再確認も簡単になるだろう。


 必須事項は安全確保、食料調達。


 安全確保はダンジョンに戦力を必ず残す。


 食料調達に関してはひとまず社会が動いているうちは購入。

 また戦闘したときにモンスターからのドロップした場合はありがたくそれも頂戴することに。


 課題は金策、戦力確保。

 光熱費などが掛からない分、4家族の貯金を合わせれば金銭的余裕はある。


 だが消費する一方なのはということで、金策を考えねばならない。

 動画などでの収益を提案されたが、私が現時点で魔王として目立つのは得策ではないと思うので、それは却下となった。


 まぁ、そういう理由がなくても顔だし出演者とか御免被りたい。

 私は不特定多数を相手に愛想を振りまけるような性格ではないのだ。


 また戦力確保だが、ひとまず戦えるメンバーはこうだ。

 圭、隼也、真奈美、アリス、武、宗一郎、熊吾、一華いちか

 改めてステータスを確認してもらったところ、タケくんの妹である一華は覚醒者であることが判明したのだ。

 とはいえタケくんが一華が戦うことに猛反対したので、ひとまず熊吾さんと一華は防衛組ということになった。


 それと保護者組の呼び方に関して自分の親以外は名前で呼ぶことに。

 おじさんやおばさんと呼ぶと対象者がかぶり、困ったことになったのだ。


「明日は月曜だけど……流石に全員出勤とか通学はしないよね?」


 さすがにと思い聞いてみたが、学生は全員休むが、熊吾さん以外の会社勤め組は出勤するらしい。

 正気か日本人。

 ちなみに熊吾さんの会社が休業になったのは窓が割れた状態で危険だかららしい。

 修理依頼出してるんだって……働く気満々じゃん……。


「でもそれじゃあ皆の安全確保という面をどうするかだなぁ」


 出勤するのは父と、葉加瀬家の両親。

 それと母がパートに出る予定があるかたちだ。

 外に出る人たちの安全だって確保したい。


 翠さんも母とは別の場所で働いていたが今の状況では働くこと自体無理なので熊吾さんが出勤が不可能なことを連絡している。


「ん-……よし。ひとまずこんなもんで。話しの続きは夜にかな。内装の問題もあるし、ダンジョンに引っ越し作業といきますか」


 外をうろつくのも明るいうちが良いからね。

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