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僕は愛されていない?  作者: ぐいこす
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家出の結末

僕と両親は狩野さんと一緒に狩野さんの家に行くことにした。狩野さんは最初は帰るのを嫌がったが、渋々僕たちと一緒に家に向かった。


「ピンポーン」


お父さんが狩野さんの家のチャイムを鳴らした。


「こんな遅くに何の用ですか」


もう夜の12時を回っていた。不機嫌そうな女の人がインターホン越しに答えた。


「私はまゆさんのクラスメイトの佐藤広樹の父です。お宅の娘さんとうちの息子が家出しまして、今しがた発見しました。」


「ガチャ」


ドアが開いて狩野さんのお母さんが出てきた。

家の中は相当散らかっていて生ごみの嫌な臭いがした。お母さんからはアルコールのにおいがした。パジャマを着ていたが今慌てて着たような感じで乱れていた。顔は狩野さんに似ていて目が大きく鼻筋がすっきりしている、いわゆる美人と言われる顔立ちだった。


「あら、まゆ、どこか行ってたの?」


あろうことか娘が夜中までいなかったことに気づいてなかったのだ。


「お父様はご在宅ですか。」


僕のお父さんが尋ねた。その時、ヘラヘラした笑顔で明らかに若い茶髪の男がたばこを吸いながら出てきた。


「この人がまゆの父親です。」


僕たち親子は言葉をなくし、暫く2人を見ていた。


「今日はもう遅いのでまた後日お伺いします。それでは失礼します。」


僕のお父さんが言った。

その時狩野さんのお母さんが狩野さんの頭を叩いた。それは僕のお父さんが僕を殴った時と明らかに違っていた。とても冷たくて何の感情もこもっていないものだった。狩野さんは少しよろけて地面に膝をついた。その時に少しめくれたスカートから複数のあざが見えた。

そして狩野さんたちは廊下を歩いて行った。


「今日はどんなお仕置きをしようか。」

と楽しそうに男が狩野さんのお母さんに言った。

「そうね、どうする?」

と狩野さんのお母さんも楽しそうに答えた。


僕たち3人はその様子を見て、すべてを確信していた。

帰り道にお父さんとお母さんが何か話し合っていたが、僕は疲れと空腹で何を話しているのかわからなかった。今日起こったいろいろな事がぐるぐると頭の中を回っていた。


次の日、僕は何とか学校に行ったが、狩野さんは来ていなかった。

後日聞いた話によると僕のお父さんが児童相談所に連絡して狩野さんは施設に引き取られたそうだ。暫くして落ち着いたらまたこの学校に通う予定だそうだ。


狩野さんが僕に嫌なことを言ってきたのは仲間のようなものが欲しかったからだろうか。それとも自分の置かれている環境よりも僕の方が不幸だと思いたかったのだろうか。それとも僕に助けを求めたのだろうか。


僕はこの件で血の繋がりなんて関係ないことを確信した。良く考えてみれば喧嘩をしないのは僕が親の言いつけをきっちり守っているからだ。テストの点数も僕は80点以下をとったことがないので怒りようがない。僕があれこれと深く考えて勝手に不安に思っていただけだった。


とにかく僕は狩野さんが学校に来たら声をかけよう。そして友達になろう。キスの件もあって照れくさい気もするけど、僕に何かできることがあればしてあげたいと思う。

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