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娼婦に婚約者の第二王子を奪われ、すべてを失った令嬢は、復讐のため第一王子と結婚して王妃になる。  作者: 林 真帆


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実技試験 その2

 入ってきたのはエキゾチックな風貌の美しい青年であった。


 身長はクロードと同じくらいだろうか。艶やかなゆるいウエーブがかった長めの黒髪を後ろで軽く結び、アメジスト色の瞳が褐色の肌によく映えている。


「彼はこの学校の在校生です」


 教師が簡単に紹介すると、


「よろしく」


 と青年がエリスに握手を求めた。


「あ……よ、よろしくお願い……します」


 エリスは、おそるおそる青年へ手を差し出したが、顔を上げて青年の顔を直視することができなかった。それは、赤面した自分の顔を青年に見られたくなかったからでもあった。


(どうしよう……耳まで赤くなってるみたい……。おかしな子だと思われているかも……)


 そう考えると、エリスは居ても立っても居られない気持ちになった。試験を放り出して、青年の前から走り去ってしまいたいくらいだった。


「アーサー君、試験を始めてもよろしいですか」


「は、はい……お願いします」


 教師の言葉で、エリスは一旦、現実に引き戻された。




(集中しないと……!)


 エリスは懸命に心を落ち着かせようとした。


 しかし、目の前に青年がいるかと思うと、どうしても意識が青年の方に向かっていってしまう。


(一体、どうすればいいの?)


 エリスは初めての感情に戸惑っていた。


(エドワードとの婚約が決まったときも嬉しかったけど、こんな気持ちになったことはなかった。それに胸がすごくどきどきしている……)




 勝負は一瞬で決まった。


 むしろ、勝負にならなかったと言った方が正しい。


「きゃっ」


 教師の開始の合図が終わるや否や、エリスは剣を払い落された挙句、勢い余って尻もちをついてしまうという失態を犯した。


 呆然として座り込んだままでいるエリスに、青年は近づいて手を差し伸べた。


「大丈夫? 怪我は?」


「だ、大丈夫です……」


 青年は、エリスを引っ張り起こした。


「悪いね、剣は得意なんだ――それにしても、さっきの叫び声といい、線の細さといい、君は女の子みたいだな」


 エリスはまたもや赤面し、恥ずかしさのあまり、うつむいたまま黙り込んでしまった。


 そんなエリスの様子を見て青年は、


「気を悪くしてしまったかな。君の合格を心より願っているよ。また会おう、レディ」


 とエリスに言い残し、講堂から出ていった。

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