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Noon.
「そろそろ勉強は止めにするわ。う~ん、そうね……朝ごはんは食べるの遅かったし、少しずらそうかしら。ねえ、聞いて……?」
そう言って目をキラキラ輝かせながら、彼女に語り掛ける。
だって、今日の英語のプリントは満点だったんだから。
「ほら見て、百点よ、例えばね”Disappear”って単語は”姿を消す”とか”なくなる”って意味があるの。だからすぐに記憶がなくなっちゃうっていうのは、”Memories disappear quickly”ってなるわけ。”Quickly”は”すぐに”って意味でしょう?」
自信満々に彼女に伝える。もちろんそんなの伝わるわけない。所詮彼女は一人の人形だから。
でも彼女だけは、普通の人形とは違う何かがある気がするんだ。
「そう、それからね、接続詞の勉強をしたのよ。文章を繋いだり分の初めに入れるの。”Because”で”なぜなら”とか、”But”で”しかし”とか、たくさんの意味があるのよ、とっても奥が深いわね」
また彼女はこくり、こくり、と頷きながら聞いてくれている気がした。
きっと、彼女には「全て」伝わっていると思う。