Breakfast.
「ねえ、朝ごはんにしましょうか。」
返事はしないけれど、こくり、と彼女は頷いた気がする。
だって、もう何年も共に過ごしてきた存在だから。
魂くらい宿っていてもおかしくないと思う、まあそんなことあるわけないけど。
私は厨房に行って召使から朝食を受け取った。
「ねえ、ルシアの分はどこかしら。まさか用意してないなんて、そんなことやってないでしょ?」
「勿論ですお嬢様。こちらのプレートで大丈夫でしょうか。」
「ふふ、いつもありがとうね。」
そう言って厨房を後にした。
私は”いつも通り” ルシアと向かい合わせになりながら、朝食をとる。
「ねえ、今日の気分はどうかしら、ルシア。太陽も綺麗に照り輝いてるわよ、ほら見て。」
そう言って私はカーテンを少し開けた。
今までは窓越しで陽の光を浴びることすらできなかったのに、ルシアが来てからいっぱい、いろいろなことに挑戦するようになった。
今でも普通に外に出ることはできないけれど、こうやって太陽を見つめることができるだけで、私はとっても幸せだった。
ルシアは私のことを見つめながら、またこくり、と頷くように感じられた。
「ごちそうさまでした、ルシアもお腹いっぱいになれたかしら?」
うん、大丈夫、お腹いっぱいだよ。そう聞こえた気がする。
「ルシア、今から私は勉学に励もうと思うの、だからそばで応援してくれる?」
そんな願いに人形は、もちろんだよ、と快く受け入れてくれた。