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Morning.
太陽の光が、遮光カーテンの隙間から差し込む。
「おはよう、ルシア、今日の気分はいかがかしら?」
私は”いつも通り”リュシエンヌに挨拶をした。
彼女に声をかけても、身振り手振りをしても何も帰ってくることはないけれど、身体の弱い私にとって、大切な家族である。
幼いころから太陽を浴びただけですぐ体調が悪くなったりする私は、到底、人並みの生活を送ることはできなかった。
裕福な家庭に生まれた私は、普段家から出ることなく、教師のものがわざわざ来て勉学を教えたり、たまに召使とカードゲームやチェスで遊ぶばかりだった。
そんな私が中学生になるはずの年になった時、母親が与えてくれたのが、等身大の人形。
私は彼女を「リュシエンヌ」__光という意味__と名付けた。
彼女が話したり動いたりすることはないけれど、
なにかいつも私のそばに居てくれる気がした。
彼女が私の人生の「光」となっていくこと、それが私の願いだった。