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第十三話 自由と黒色冒険者

ちょっと長くなってしまったので、分割します

変な所で切れてますが、ご了承下さい

 





 ――――――――

 ――――――――



 ジャスパーと取引をした日から数日後、ついに俺達は動き出していた。


 ジャスパーの働きかけでラリッツ達は商業連合の密室を使用できなくなると、予想通りラリッツとエミレアは別の場所で取引を行い始めた。


 クロウラの南側にある再開発地区。古い建物が多く、取り壊される予定の建物内で密会を行っているようだ。


 ラリッツは用心深いのか、二度ほどここを訪れたものの取引は行わず、簡単な話をするだけの様子見に留めていた。


 今日も様子見だけかと思いジャスパーと後を付けてみると、いつもと様子が違っていた。


 ラリッツとエミレアに変化はない。変化があったのは、廃墟をグルグルと周って辺りを警戒しているガラの悪い男が数人いる事だった。



「――――今日は当たりですかね?」


「どうだろうな? いよいよ本番を想定した最終チェックって可能性もある」



 廃墟を見渡せる位置で、ジャスパーと共に息を潜めていた。


 俺達の後ろには数人の冒険者が控えており、彼らはジャスパーが護衛として雇い入れている者達だ。



「余程ラリッツは警戒心が強いのですねぇ~」


「じゃなきゃ密室なんて使わないだろ?」


「そうですね。やはり非合法な商品の取引でしょうね」



 そう言うとジャスパーは冒険者の元へ行き、行動について再確認を始めた。


 俺はゴロツキとエミレア達から目を離さないように監視を続ける。


 ジャスパーは非合法な商品と言っていたが、それは間違いではないと思う。正確には、誰にも見られたくない商品という事だろう。


 神の聖典にいるエミレアの身内、その彼女の頭に触れた時に感じた違和感。それは直接この取引には関係ないと思う。


 このラリッツと神の聖典には繋がりはない。それが俺の予想だった。



「サージェスさん、確認が取れました。ラリッツの奴が、今まで持ってきていなかった木箱を携えているようです」


「そうか、じゃあ……」


「ええ、手筈通りに。証拠が十分そろった時は、合図を出します」



 後ろを見ると、ジャスパーの護衛が一人増えていた。恐らくこの者が斥候として動いたのだろう。


 顔はマスクで隠されているが纏う雰囲気と体形、目元から女性であるとの想像がついた。その者の様子をチラ見していると目が合ってしまう。



「あなた……何者?」


「そこのジャスパーの友じ……知人だよ」


「そう、もしかして冒険者?」



 そんな酷い事を言うなと騒ぐジャスパーを放っておいて、再度彼女の様子を確認してみる。


 自然体であるが隙が無い。俺の事を見る双眼に迷いは一切なく、自信に満ち溢れている。


 気配を感じさせないほどの優れた動き、気が付いた時には背後にいた。いくら警戒していなかったとはいえ、ここまで気配を消して動ける者は珍しい。



「まだ冒険者じゃないよ」


「そう、でも一般人でもなさそうね。正直、あなたが怖いわ」


「俺は人畜無害だぜ? そろそろマスクを取って顔を見せてくれよ」


「お断りよ」



 そう言ってソッポを向いてしまった女性。恥ずかしがっていると言う訳ではなく、本気で嫌がっているようだ。


 女性に怖いと言われた経験はほとんどない。どうして俺の事を怖いと言ったのが、少々気になる所ではある。



「じゃ、お名前は? そのくらい構わないだろ?」


「ッチ――――リステア・カーマインよ」


「舌打ちすんなよ……俺はサージェス・コールマンだ」



 かなり警戒をしている様子のリステア。もちろん初めて会ったし、そんなに警戒される理由が分からない。


 ジャスパーや他の冒険者に壁を作っていない所を見ると、男嫌いとかそういう事でもなさそうだ。



「そう……ならサージェス、私に触れようとしたら――――殺すわ」


「随分と物騒な事を言いますね? 安心しろよ、興味ねぇから――――そんなペチャパイ」


「ふ……ふふふ……死にたいようね? 変態のサージェス」


「もっと成長してから出直してこい、貧乳のリステア」



 二人が走らせた殺気に気づいたジャスパー達の顔が引き攣り始めた。


 ジャスパーはともかく、他の者は冒険者なのだからビビり過ぎだとも思ったが、リステアから放たれる殺気は常人のものではなかった。


 身のこなしから出来る女だとは思っていたが、少々侮り過ぎていたのかもしれない。



「……お前、色は?」


「黒よ」


「へぇ、ピンクとかの方が似合いそうなのにな」


「……なんの話をしているの?」


「下着」


「ッチ――――死ね、変態」



 混じりっけなしの純粋な殺気、ここまで一直線な殺気も珍しい。


 その殺気を受けて確信する。この女は暗殺者、それも凄腕の。


 殺すと言う気持ちにブレがない、迷いがない。ついさっき会ったばかりの男に、ここまでの殺気をぶつけられるなんて普通じゃない。


 だから多少、興味が湧いたのは仕方ない。


お読み頂き、ありがとうございます


GWの投稿は少ないと思います

執筆用のPCがお亡くなりになりました

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